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日経平均は反落、「米金利・中国株への警戒継続」と「短期物色」

2021/8/3 12:18 FISCO
*12:18JST 日経平均は反落、「米金利・中国株への警戒継続」と「短期物色」  日経平均は反落。221.76円安の27559.26円(出来高概算4億6000万株)で前場の取引を終えている。  週明け2日の米株式市場でNYダウは続落し、97ドル安となった。超党派の上院議員によるインフラ投資計画法案の調整がほぼ完了したと伝わり、週内にも上院で可決されるとの期待からNYダウは一時256ドル高まで上げ幅を広げた。しかし、7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が予想外に低下し、新型コロナウイルス変異株(デルタ株)感染拡大への警戒感も相まって10年債利回りが再び1.2%割れまで低下。株式市場でも景気減速への懸念が広がった。前日に500円近く上昇した日経平均だが、本日は米株安を受けた売りに押され200円安からスタート。朝方下げ渋る場面もあったが、中国・上海株や香港株の軟調な出足が嫌気され、前場中ごろを過ぎると27492.40円(288.62円安)まで下落する場面があった。  個別では、任天堂<7974>が2%の下落となっているほか、ソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>が軟調。米金利低下で三菱UFJ<8306>などのメガバンク株が売られ、新型コロナ感染拡大の影響が懸念されるJAL<9201>やANA<9202>、このところ買われていた日本製鉄<5401>など景気敏感株の下げも目立つ。決算発表銘柄では大塚商会<4768>、ケーズHD<8282>などが大幅安。また、GMB<7214>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、米半導体株高を支えにレーザーテック<6920>が堅調。商船三井<9104>は4日続伸している。AGC<5201>は業績上方修正を好感した買い優勢。また、EG<6050>やダイトロン<7609>が東証1部上昇率上位に顔を出し、米社による買収観測が報じられたGCA<2174>はストップ高水準での買い気配が続いている。  セクターでは、空運業、鉱業、鉄鋼などが下落率上位で、その他も全般軟調。一方、海運業、精密機器、ガラス・土石製品など4業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の70%、対して値上がり銘柄は25%となっている。  本日の日経平均は海外株安を受けて軟調な展開となり、200円超の下落で前場を折り返した。まだまだ27000円台前半では底堅いと強調する市場関係者は多いが、むしろ日足チャートでは上値切り下げの三角もち合いに煮詰まり感が台頭しつつある印象。かねて当欄で指摘しているとおり、3月高値30485.00円(取引時間中)を付けてからは緩やかな上値切り下げトレンドが続いていたが、7月中旬を境に切り下げペースを加速してきた感がある。業種別では市況関連を中心とした景気敏感株が軟調。AGCなどの好決算銘柄も上値の重さが拭えない。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまり。新興市場ではマザーズ指数が-0.29%と小反落。朝方上昇する場面もあったが、5日移動平均線に沿った下落トレンドを脱せない。信用評価損益の悪化とともに個人投資家の資金回転が鈍っているのだろう。  前日の日本時間には米インフラ投資計画の成立に期待が高まったが、米国時間に入ると製造業景況感の低下や新型コロナ感染拡大への懸念がそうした期待を吹き飛ばしてしまった。米共和党のリンゼー・グラム上院議員の新型コロナ感染が判明し、週内のインフラ法案採決が難しくなるとの見方もあるようだ。結果、NYダウやナスダック総合指数といった米主要株価指数は日足チャート上で長めの陰線を引く格好となり、高値警戒感が意識されてきているという。  そして懸念していたとおり、ヘッジファンドの売り持ちが積み上がっていた米国債の利回り低下(債券価格は上昇)傾向にも歯止めがかからず、景気減速懸念につながっている。8月から復活した米連邦政府の債務上限問題への警戒感もくすぶっているようだ。原油先物相場の大幅下落を見ても、NYダウの下落幅以上に景気減速懸念は強いとみておいた方がいいだろう。  米金利動向とともに引き続き気掛かりなのが上海株や香港株だ。香港ハンセン指数は先週前半の急落時からやや値を戻したものの、ここ数日は早くも頭打ちといった様相。先週末の当欄で詳しく解説したが、政策の予見可能性に対する信頼が大きく低下したことで、中国国外の機関投資家の本格的な投資再開は当面期待しづらい。その分上値を切り下げるのは必至だが、下値を支えた個人投資家の信用買いは長く続かないだろう。戻りの鈍さに失望する売りが広がれば、再び値動きが不安定化する恐れもある。  これら外部環境の不透明要因に加え、日本でも新型コロナ感染者数が高止まりしており、東京市場の取引状況は活発とは言えない。先週末は4-6月期決算発表の第1のピークだったが、それを受けた前日の東証1部売買代金は2兆4572億円とさほど膨らんでいない。この日、東証1部売買代金トップは商船三井、2位は郵船<9101>となったが、ネット証券の買い注文額でも同様の傾向が見られた。なお、マザーズ売買代金は1059億円にとどまり、このことからも個人投資家の物色の矛先が決算を手掛かりに主力株へ向いたことがわかる。ただ、取引参加者の多くは決算内容以上に値動きを重視する短期勢と考えられる。一部メディアが「好決算後の株高が短命」などと指摘したこととも符合する。  夏季休暇期間で売買が細りがちとなる「波乱の8月」とあって、当面は不安定な相場展開を強いられるとの見方は変わらず。やはり短期の物色中心とならざるを得ないだろう。(小林大純) 《AK》
関連銘柄 17件
2174 東証1部
1,396
11/1 15:00
±0(%)
時価総額 62,565百万円
独立系のM&A助言会社。日米欧、アジアにも拠点。北欧の同業を買収し、日本最大のM&A助言会社に。ESG分野のM&A強化。全地域で売上は増加。欧米はテクノロジー関連中心に売上増。21.12期2Qは黒字転換。 記:2021/09/26
4768 東証プライム
3,705
11/22 15:30
+85(%)
時価総額 1,407,915百万円
独立系SI大手。システム設計や開発、ネットワーク構築等を手掛ける。中小企業向けに強み。オフィスサプライ通信販売事業「たのめーる」等も。たのめーる、サポート事業「たよれーる」などのストックビジネスに注力。 記:2024/06/03
5201 東証プライム
4,623
11/22 15:30
+1(%)
時価総額 1,005,202百万円
1907年創立の素材メーカー。建築ガラスや自動車用ガラス、塩化ビニル等の化学品、医薬品・農薬等を手掛ける。フロート板ガラス、自動車用ガラスなどで世界トップシェア。26.12期営業利益2300億円目標。 記:2024/10/07
5401 東証プライム
3,125
11/22 15:30
+12(%)
時価総額 2,969,753百万円
国内最大、世界有数の製鉄会社。自動車用鋼板、電磁鋼板、高級シームレス鋼管で実績。日鉄エンジニアリングなどを傘下に収める。米鉄鋼大手USスチール買収へ。中国減速で需要や市況は伸び悩み。原材料高も響く。 記:2024/06/24
6050 東証プライム
1,798
11/22 15:30
+2(%)
時価総額 21,457百万円
投稿監視、風評調査等のソーシャルサポートサービスが主力。ソーシャルゲームのデバッグ業務、ネット広告審査業務なども手掛ける。チェンジHD傘下。配当性向は30%基準。ライブ配信障害検知システムを開発。 記:2024/10/22
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7214 東証スタンダード
1,042
11/22 15:30
+12(%)
時価総額 5,533百万円
独立系自動車部品メーカー。奈良県磯城郡に本社。駆動系部品のOEM供給、補修用部品の製造・販売等を行う。現代自動車が主要取引先。海外売上比率は8割超。配当性向25%目標。補修用部品市場では品揃え強化図る。 記:2024/08/20
7609 東証プライム
2,788
11/22 15:30
-2(%)
時価総額 31,103百万円
電子部品、アセンブリ商品、半導体等を扱うエレクトロニクス技術商社。ワイヤーハーネスなどオリジナル製品の開発・製造も行う。納入先は約5000社。グローバル生産体制の強化、新規事業の育成強化等に取り組む。 記:2024/09/02
7974 東証プライム
8,166
11/22 15:30
-37(%)
時価総額 10,605,103百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。海外売上高比率は7割超。新規タイトル、追加コンテンツの継続投入でプラットフォームの活性化を図る。 記:2024/07/28
8282 東証プライム
1,401.5
11/22 15:30
+10.5(%)
時価総額 266,285百万円
郊外大型店中心の家電量販店。北関東地盤。店舗数は550店舗超。家電の取り扱いに特化。現金値引、長期無料保証などが特徴。配当性向40%目標。25.3期は直営店11店の出店計画。既存店効率の再点検等も図る。 記:2024/08/09
1,825
11/22 15:30
+19(%)
時価総額 24,239,641百万円
三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJニコスなどを傘下に収める総合金融グループ。世界最大の金融機関の一つ。アジアプラットフォームの強靭化などに取り組む。 記:2024/07/29
9101 東証プライム
4,975
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 2,293,475百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
9104 東証プライム
5,430
11/22 15:30
-9(%)
時価総額 1,968,668百万円
海運国内2位。1884年創業。三井グループ。ドライバルク事業、エネルギー事業、製品輸送事業が柱。LNG船の所有・管理・運航で世界シェアトップクラス。配当性向30%目安。非海運事業のアセット積み増し図る。 記:2024/07/29
9201 東証プライム
2,413
11/22 15:30
+23(%)
時価総額 1,054,828百万円
大手航空会社。航空旅客事業や貨物郵便事業、マイル/金融・コマース事業などを展開。LCCのZIPAIR Tokyo、スプリング・ジャパンなどを傘下に持つ。スマホ決済「JAL Pay」のサービス拡充図る。 記:2024/08/30
9202 東証プライム
2,838
11/22 15:30
+0.5(%)
時価総額 1,374,426百万円
国内最大手の航空会社。全日本空輸(ANA)が中核。ピーチ、エアージャパンなども傘下に持つ。航空事業のほか、旅行事業、商社事業等も手掛ける。国際線、国内線ともに旅客需要増。貨物事業の拡大等に取り組む。 記:2024/08/02
9983 東証プライム
49,020
11/22 15:30
+550(%)
時価総額 15,599,193百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17