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日経平均は反落、経済対策巡り売り買い交錯、火種なおくすぶる

2020/3/11 12:17 FISCO
*12:17JST 日経平均は反落、経済対策巡り売り買い交錯、火種なおくすぶる  日経平均は反落。159.49円安の19707.63円(出来高概算9億8000万株)で前場の取引を終えている。  10日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに大幅反発し、1167ドル高となった。トランプ大統領が共和党議員に対し年内の給与税免除を打診したことなどが伝わり、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気対策への期待が高まった。ただ、東京市場の取引開始前にトランプ氏が経済対策に関連した会見に出席しなかったことが伝わり、市場の期待は後退。本日の日経平均108円安からスタートすると、朝方には押し目買いが入りプラスへ転じる場面も見られたが、前場中ごろを過ぎ円相場の下げ一服や米株価指数先物の下落を受けて一時19552.62円(314.50円安)まで下落した。  個別では、ソニー<6758>が2%下落したほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、任天堂<7974>などがさえない。KDDI<9433>が4%超下落しており、東エレク<8035>などの半導体関連株も前工程装置投資額見通しが下方修正されたことを受けて下げが目立つ。また、第1四半期の大幅減益決算が嫌気されたグッドコムA<3475>はアイル<3854>などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。一方、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>といったメガバンク株が揃って2%前後上昇し、トヨタ自<7203>もしっかり。資生堂<4911>は3%超上昇した。2月工作機械受注の底堅さが買い材料となった菱洋エレク<8068>や、業績修正を発表したマイネット<3928>は急伸し、ジンズメイト<7448>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。  セクターでは、不動産業、サービス業、医薬品などが下落率上位。半面、水産・農林業、電気・ガス業、海運業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の51%、対して値上がり銘柄は46%となっている。  本日の日経平均は3ケタの下落で前場を折り返した。ここまでの上下の値幅は422円と、前日(1078円)ほどではないが荒い値動きとなっている。日米の経済対策を巡る思惑から売り買いが交錯しているようだ。米政権が経済対策に給与税免除を盛り込むと伝わり、米長期金利が急騰。注目される原油先物相場もひとまず反発し、一定の安心感につながったとみられる。国内でも政府・与党が新型コロナの状況を見て追加の経済対策を検討する方向を示している。6日、9日の2営業日で日経平均が1600円超下落したあとだけに、こうした経済対策への期待から目先的な買い戻しや押し目買いが入りやすいところだろう。  しかし、日経平均がプラス圏で推移していた時間はごくわずか。米国の給与税免除を巡っては、当初こそサプライズとして受け止められたものの、次第にその実現に懐疑的な見方が広がっているようだ。そもそも株価急落の主因である新型コロナの世界的な感染拡大はなお終息が見通せず、原油相場についても需給改善の兆しが見えてきたわけでない。減産協議でロシアと対立したサウジアラビアはシェア争いに傾く姿勢を崩していないもよう。サウジとしても原油相場急落の悪影響は大きく、交渉の席に戻るとの期待は根強いが、現在のところ希望的観測に過ぎないと言わざるを得ない。  原油安は産油国の財政や米シェール企業等の業績の悪化を通じ、金融市場にも混乱を与える可能性がある。新型コロナで実体経済が落ち込むなか、金融不安の火種がくすぶる点には注意が必要だろう。当面は不安定な相場展開が続くとみて、耐性が高い銘柄を選別するなど慎重な対応を心掛けたい。(小林大純) 《AK》
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