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筑波精工 Research Memo(2):主力事業は電界を使った静電チャック。電気自動車向けに成長見込む

2022/6/13 16:02 FISCO
*16:02JST 筑波精工 Research Memo(2):主力事業は電界を使った静電チャック。電気自動車向けに成長見込む ■会社概要 1. 会社概要 筑波精工<6596>は、静電チャックの開発・製造・販売を行う研究開発型の企業である。同社が自社開発を行ってきた静電チャックの特色は、対象物に電荷を与えることなく低電圧で高吸着力を発生するとともに、コードレスで薄いCarrier型静電チャック「サポーター(以下、Supporter)」を実現したことにある。そのため、既存の静電チャックでは取り扱えなかった対象物素材(例えば極薄ウエハ等)が同社の事業対象に含まれるようになってきた。一方で、フラットパネルディスプレーのガラスの大型化やウエハの極薄型化などの技術の高度化により、他社の静電チャックでは対応が困難となる分野が拡大している。特に近年は電気自動車の出荷台数増加により、車載用半導体(IGBTやMOSFET)の薄型化は急激に進むと予想される。しかし、高性能化を目的として薄型化されたウエハの取り扱いは反りや割れという新しい問題に直面するだけでなく、ウエハが大口径化する動きもあり、扱いが一段と難しくなる状況にある。そうしたなか各半導体メーカー並びに台湾や中国のファンドリと呼ばれる半導体受託製造メーカーは、同社が独自技術で実現したCarrier型静電チャック「Supporter」を用いることで、生産プロセスにおいても薄型のウエハを取り扱うことが容易となるというメリットがある。 2. 沿革 同社は、電気機械器具の製造販売並びに電気機械器具の検査、測定、治工具及び金型の販売を目的として、1985年6月に栃木県真岡市熊倉町で設立された。当初は三洋電機の半導体の後工程を担う三洋シリコン電子(株)の外販部門として後工程関係の設備を設計・販売していた。並行して社内で開発を進めてきた半導体やガラスなどの絶縁体の保持が可能な静電吸着システムである静電チャックの開発に目途が付いたことから、2002年からは静電チャックの研究開発と静電チャック関連製品の販売に絞った事業展開を進めてきた。 この静電チャックの技術は、東京大学大学院工学系研究科樋口研究室が開発した技術をもとに、社長である傅寶莱(ポー・フォライ)氏が東京大学(博士課程)在学中に研究していた静電界形成技術で、当時の傅氏は同社から奨学金を得ていた。傅氏は卒業後すぐに同社に入社し、以後も静電チャックの研究・開発を続け、現在では社長として同社をけん引している。 この静電チャックの技術は、従来は吸着不可能とされてきた素材(半導体や絶縁材など)を吸着可能とするものであったが、当初の需要はフラットパネルディスプレーのガラスの吸着テーブルなどに市場が限られていた。しかし2010年代に入り、電気自動車向けインバータの中心部品である次世代低抵抗IGBT、5G通信基地局向け半導体等のパワー半導体市場が拡大し、これらの市場で要求される半導体はウエハ薄型化後の裏面のプロセスを安定させることが重要な課題となった。このような環境下で、同社製品のCarrier型静電チャック「Supporter」は、ウエハ裏面プロセスにおいて、薄型ウエハを安定保持するためのウエハキャリアとして機能する。なお同社は、2018年に東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場した。従業員数は20名(2021年9月末)である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《EY》