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後場に注目すべき3つのポイント~中国株急落の「本質」を再確認

2021/7/30 12:20 FISCO
*12:20JST 後場に注目すべき3つのポイント~中国株急落の「本質」を再確認 30日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は大幅反落、中国株急落の「本質」を再確認 ・ドル・円は戻りが鈍い、ドル売りは一服 ・値下がり寄与トップは、ファナック<6954>、同2位がファーストリテイリング<9983> ■日経平均は大幅反落、中国株急落の「本質」を再確認 日経平均は大幅反落。373.16円安の27409.26円(出来高概算5億3000万株)で前場の取引を終えている。 29日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、153ドル高となった。4-6月期の国内総生産(GDP)速報値は実質ベースで前期比年率6.5%増と市場予想を下回ったが、個人消費の強さが好感された。連邦準備理事会(FRB)が当面のあいだ金融緩和策を維持する姿勢を示したことや、堅調な企業決算も相場を押し上げた。ただ、日本では29日の新型コロナウイルス新規感染者数が初めて1万人を超え、感染拡大による経済停滞への懸念から本日の日経平均は104円安からスタート。また、注目される中国・上海株や香港株が反落スタートとなったことで日経平均も下げ幅を大きく広げ、前場中ごろを過ぎると27294.05円(488.37円安)まで下落する場面があった。 個別では、ソフトバンクG<9984>やソニーG<6758>が軟調で、レーザーテック<6920>と任天堂<7974>は3%前後の下落となっている。決算発表銘柄では、ファナック<6954>が業績上方修正にもかかわらず、材料出尽くし感や部品調達への懸念から5%超の下落。富士通<6702>は9%近く下落しているが、受注の回復が鈍いとみられているようだ。また、大日住薬<4506>やアンリツ<6754>も売りがかさみ、東証1部下落率上位に顔を出している。一方、決算が好感されたキーエンス<6861>は5%超、ZOZO<3092>は7%超の大幅上昇となっており、村田製<6981>やルネサス<6723>も買い優勢。業績上方修正のTOWA<6315>などは東証1部上昇率上位に顔を出している。 セクターでは、医薬品、その他製品、空運業などが下落率上位で、その他も全般軟調。一方、海運業、ゴム製品、鉄鋼など4業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の78%、対して値上がり銘柄は18%となっている。 本日の日経平均は軟調な展開となり、下げ幅を500円近くに広げる場面もあった。このところ月末の波乱に警戒する市場参加者は多いが、本日も週末・月末要因が重なった影響はありそうだ。とはいえ、やはり国内で新型コロナ感染者数がなお増加傾向にあること、また中国株の先行き不安が拭えないことも大きいだろう。前日から決算発表件数が増え、好業績銘柄の一角に買いが入っているとはいえ、東証1部銘柄の8割近くが下落。ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりで、閑散というほどではないが取引活発でもない。新興市場ではマザーズ指数が-2.26%と大幅反落。小型材料株や直近IPO(新規株式公開)銘柄の一角を除き、積極的な買いが入っている印象は乏しい。 さて、中国当局が教育産業の引き締めを巡る市場の懸念払しょくに動いたこともあり、前日の上海総合指数は5日ぶりの反発、香港ハンセン指数は続伸となった。セルサイドからは「教育産業以外への規制の広がりは限定的」との見方が多く出ており、個人投資家にもひとまず株価下落に歯止めがかかったことに安心する向きがあったようだ。しかし、中国企業の株価がこれで落ち着きを取り戻すとみるのは早計と言わざるを得ない。今回の株価急落の「本質」がどこにあるか、改めて確認しておきたい。 情報があふれかえる昨今、誤解する向きも多いが、本来投資とは単に「夢を買う」のでも「値動きに着目して売買する」のでもない(金融関係者や投資のために勉強を重ねた読者には釈迦に説法で大変恐縮である)。「当該資産の期待収益(キャッシュフロー)から妥当な価格を見積もり、現在価格がそれより割安なら買う」のである。機関投資家らは日々こうした分析を重ね、投資を行っている。 この「期待収益から妥当な価格を見積も」るという点が極めて重要である。繰り返し述べているが、今回、中国政府の通知1本で教育産業のビジネスモデルが根本から覆されてしまった。これにより機関投資家らに強く意識されたのは「中国における政策の予見可能性は極めて低いと言わざるを得ない」ということ、また「発生しうる損失があまりに大きい」ということだろう。これで期待収益や妥当な資産価格が正確に測れるだろうか。米アーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド氏が中国ハイテク企業の見通しについて「バリュエーションがリセットされた」「恐らく(バリュエーションは)下がったままになるだろう」などと述べたのはまさにそういうことなのだ。 ゴールドマン・サックスのストラテジストが「顧客から中国株は『投資不可能』という言葉がよくささやかれるようになった」などと述べたことが海外メディアで報じられているが、中国国外の機関投資家が中国株への投資を本格的に再開するまでには相当な時間を要するものと考えられる。 一方、本日の上海株や香港株は売りが先行するも下げ渋る展開となっているが、相場を下支えしているのは株価水準を重視する傾向にある個人投資家の押し目買いだと考えられる。ただ、信用取引で買い向かう向きが多く、既にかなり高水準のレバレッジがかかっているとの話も伝わっている。当面は不安定な展開が続くことも想定しておく必要があるだろう。 後場の日経平均もそんな上海・香港株の動向睨みとなりそうだが、国内でも新型コロナ感染者数の増加が続き、また本日は決算発表の第1のピークを迎える。これらを見極めたいとの思惑が相場の重しとなり、戻りの鈍い展開になるとみておきたい。 (小林大純) ■ドル・円は戻りが鈍い、ドル売りは一服 30日午前の東京市場でドル・円は序盤からドル売りが進み、一時109円30銭台に下落。その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けたドル売りは一服し、ドル・円は109円半ばに戻した。ただ、アジア株安でリスク回避的な円買いは根強く、ドルの戻りは限定的に。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円36銭から109円60銭、ユーロ・円は130円02銭から130円22銭、ユーロ・ドルは1.1879ドルから1.1894ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・ジー・スリーホールディングス<3647>、菊水電子工業<6912>の、2銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値下がり寄与トップは、ファナック<6954>、同2位がファーストリテイリング<9983> ■経済指標・要人発言 【経済指標】 ・日・6月有効求人倍率:1.13倍(予想:1.10倍、5月:1.09倍) ・日・6月失業率:2.9%(予想:3.0%、5月:3.0%) ・日・6月鉱工業生産:前月比+6.2%(予想:+5.0%、5月:-6.5%) 【要人発言】 ・パネットECB理事 「景気過熱やインフレ高進リスクは限定的」 ・デギンドスECB副総裁 「ECBはインフレが来年低下し、低水準で推移すると予想」 「将来のPEPPプログラムを決定する時間がある」 <国内> 特になし <海外> 特になし 《CS》
関連銘柄 16件
3092 東証プライム
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3647 東証スタンダード
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4506 東証プライム
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11/21 15:30
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6315 東証プライム
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6702 東証プライム
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国内最大のITサービス企業。1935年設立。通信インフラやストレージ、サーバー、電子デバイスを展開。官公庁、金融向けに強み。成長領域のサービスソリューションに注力。欧州の構造改革は25年度に完了予定。 記:2024/10/20
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6754 東証プライム
1,175.5
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時価総額 159,716百万円
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時価総額 18,426,504百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
6861 東証プライム
65,680
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時価総額 15,973,901百万円
センサや測定器、画像処理システム、制御・計測機器等を手掛けるFAの総合メーカー。製造は国内外の協力会社に委託。取引先は全世界に35万社超。グローバル直販体制が強み。販売力の強化などで海外事業の拡大図る。 記:2024/10/12
6912 東証スタンダード
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時価総額 12,474百万円
電子計測器、電源機器の専業メーカー。直流電源や電子負荷装置、安全関連試験機器、耐電圧・絶縁抵抗試験器等を手掛ける。中国など海外でも事業展開。ソリューション提案営業を積極化。原価低減などにも取り組む。 記:2024/10/10
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時価総額 1,629,262百万円
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6954 東証プライム
4,101
11/21 15:30
+29(%)
時価総額 4,082,213百万円
CNCシステムなどのFA事業、ロボット事業、ロボマシン事業を展開。富士通のNC部門が分離・独立して1972年に誕生。CNCで世界シェアトップクラス。海外売上高比率は8割超。配当性向は60%が基本方針。 記:2024/09/02
6981 東証プライム
2,570
11/21 15:30
+9(%)
時価総額 5,115,875百万円
大手電子部品メーカー。コンデンサやインダクタ、EMI除去フィルタ等を手掛ける。チップ積層セラミックコンデンサ等で世界トップシェア。海外売上高比率が高い。コンデンサはモビリティ向けなどで販売増を見込む。 記:2024/06/04
7974 東証プライム
8,203
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-23(%)
時価総額 10,653,154百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。海外売上高比率は7割超。新規タイトル、追加コンテンツの継続投入でプラットフォームの活性化を図る。 記:2024/07/28
9983 東証プライム
48,470
11/21 15:30
-1,190(%)
時価総額 15,424,172百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,550
11/21 15:30
-96(%)
時価総額 12,568,457百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17