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日経平均は3日ぶり反落、米金利上昇が重し、インフレ懸念は強まる一方

2021/10/18 12:08 FISCO
*12:08JST 日経平均は3日ぶり反落、米金利上昇が重し、インフレ懸念は強まる一方  日経平均は3日ぶり反落。80.97円安の28987.66円(出来高概算5億5888万株)で前場の取引を終えている。  前週末15日の米株式市場でのNYダウは382.20ドル高(+1.09%)と大幅続伸。9月の小売売上高が前月比0.7%増と、予想(-0.2%)に反して2カ月連続で増加したことから景気回復期待が強まった。また、米金融大手ゴールドマン・サックスなどの好調な企業決算も投資家心理を向上させ、上げ幅を拡大。一方、米10年債利回りが再び上昇に転じたこともあり、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.49%高と上昇率が限定的となった。  週明けの日経平均は米株高を好感し25.19円高の29093.82円でスタート。ただ、商品市況の上昇や米長期金利の上昇が重しとなったほか、前週の大幅上昇の反動もあり、寄り付き直後から失速するとマイナスに転換。その後、下げ渋って上昇に転じる場面もあったが、29144.33(75.70円高)を高値に再び失速すると、前場中頃には29000円を割り込んだ。手掛かり材料難のなか方向感に欠ける動きが続き、前引けにかけては29000円を挟んだ一進一退となった。  個別では、業績及び配当予想の上方修正を発表したミタチ産業<3321>、業績予想を上方修正した住石HD<1514>がそれぞれ急伸し、東証1部値上がり率上位に並んだ。電力不足を背景とした非鉄金属市況の上昇を刺激材料に東邦亜鉛<5707>も急伸。そのほか、INPEX<1605>、JFE<5411>、住友鉱<5713>、三井金<5706>、大紀アルミ<5702>など資源関連株が大幅に上昇。1ドル=114円台にまで進展した円安を追い風に三菱自<7211>、SUBARU<7270>、スズキ<7269>、デンソー<6902>なども大幅高、11月生産計画の下方修正の発表があったものの、トヨタ<7203>も大幅に上昇している。  一方、米長期金利の上昇が重しとなり、レーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、ソニーG<6758>、エムスリー<2413>などのグロース(成長)株が軟調。第3四半期の営業損益が赤字に転落したマネーフォワード<3994>、上半期好決算も通期計画据え置きで出尽くし感につながったベイカレント<6532>がそれぞれ急落。業績予想の下方修正で一転減益見通しとなったRPA<6572>も大きく売り込まれている。  セクターでは医薬品、水産・農林業、食料品などが下落率上位となっている一方、鉱業、石油・石炭製品、輸送用機器などが上昇率上位に並んでいる。東証1部の値下がり銘柄は全体の54%、対して値上がり銘柄は40%となっている。  米国企業の企業決算が一足先に本格化するなか、日本企業の7-9月期決算が始まるのは来週からとなる。今週は決算シーズンの端境期となり、手掛かり材料難のなか、全体的にも方向感に欠ける動きとなっている。  前週は米国での各種物価指標の発表後、過度なインフレ懸念が後退したとの見方から、米長期金利が低下し、値がさハイテク株などを中心に全体的に大きく上昇した。岸田首相の金融所得課税引き上げについての発言を受けて、政権への過度なネガティブ視が後退するなか、衆議院解散から投開票日までの株高アノマリーを再び意識する向きもいたようで、海外勢の買い戻しも進んだ。  しかし、前週からの繰り返しにはなるが、長期金利の低下は一過性のものと思われる。前週、米長期金利が低下していた中でも、商品市況の上昇は継続しており、期待インフレ率の指標となる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)もむしろ上昇していた。長期金利の低下は、インフレ懸念の後退を映したものではなく、国債入札が好調だったことや物価指標の発表というイベント通過に伴う、債券の売り方の買い戻しが主体だったと考えられる。  実際、前週末には、米長期金利は1.51%から1.57%へと上昇に転じ、再び1.6%台を窺う水準にまできている。そして、目を引くのが米BEIの一段の上昇だ。5月10日付けた2.54%を手前に、一段の期待インフレ率の上昇は考えにくいとの見方も一部であったようだが、実際には、15日に米BEIは2.56%と、5月高値を上回り、8年9カ月ぶりの高値を記録した。NY原油先物価格も期近物で7年ぶりとなる高値を連日のように記録。相場のモメンタムに追随する商品投資顧問(CTA)に倣ったトレンドフォロー型の戦略を採用するファンドでは、一段の金利上昇とドル高に賭けて、米債ショート・ドルロングのポジションを積み増しているとも伝わっている。  世界的な電力不足も未だ解決の目処が立っているとはいえない。電力高騰を背景にロンドン金属取引所(LME)での亜鉛やアルミニウムの先物価格は記録的な上昇基調が続いている。液化天然ガス(LNG)の在庫不足を背景とした代替需要から、原油先物価格の上昇も継続中。ラニーニャ現象により厳冬が想定される冬季シーズンに向け、商品市況の上昇やインフレ懸念再燃による長期金利の上昇には依然として警戒が必要そうだ。今日の東京市場で上昇が目立っているものも、ほとんどが商品市況の上昇の恩恵を受ける非鉄金属など資源関連のセクターだ。市場のインフレを巡る思惑は当面続くと想定される。  さて、後場の日経平均は、中国株や香港株も軟調ななか、時間外の米株価指数先物などの動きに振らされそうで、引き続き29000円台を挟んだ動きとなりそうだ。ただ、午前中に発表された中国の経済指標では、7-9月期国内総生産(GDP)が市場予想並みとなったほか、9月の鉱工業生産が市場予想を下回った一方、小売売上高が市場予想を上回るなど、まちまちながらも波乱のない内容となったことは目先の安心材料となりそうだ。直近下げが大きかった中国売上比率の高い銘柄などには見直し機運が高まる可能性もあろう。 《AK》
関連銘柄 21件
1514 東証スタンダード
824
11/22 15:30
+2(%)
時価総額 48,528百万円
住石マテリアルズを中核とする持株会社。石炭の輸入販売が主力。人工ダイヤなど先端素材の製造・販売、砕石の採取等も。麻生と資本業務提携。新素材事業部門では化合物半導体関連企業との関係強化などに取り組む。 記:2024/06/09
1605 東証プライム
2,005
11/22 15:30
+25(%)
時価総額 2,524,568百万円
国内最大の石油・天然ガス開発会社。旧社名は国際石油開発帝石。石油元売り大手などが主要取引先。イクシスLNGプロジェクトなど世界約20カ国でプロジェクト展開。再生可能エネルギーの安定収益化などに取り組む。 記:2024/07/29
2413 東証プライム
1,425
11/22 15:30
-12.5(%)
時価総額 967,675百万円
医療従事者専門サイト「m3.com」を運営。製薬企業の薬剤プロモーション・マーケティング支援、薬剤師向け求人情報サイト「薬キャリ」の運営等も。メディカルプラットフォームでは医療現場のDX化支援が順調。 記:2024/07/29
3321 東証スタンダード
1,130
11/22 15:30
-1(%)
時価総額 9,000百万円
電子デバイス専門のエレクトロニクス商社。取り扱いメーカーは700社超。自動車分野が主要取引先。自社ブランド開発なども。愛知県名古屋市に本社。モビリティ分野の取り組みを強化。27.5期売上1000億円目標。 記:2024/10/24
3994 東証プライム
4,330
11/22 15:30
-104(%)
時価総額 236,743百万円
経理・確定申告、人事労務等の「マネーフォワード クラウド」が主力。家計簿アプリや事業用プリペイドカード、企業間請求・決済代行サービスなども。課金顧客数は35万超。企業間請求・決済代行サービスは好調。 記:2024/10/28
5411 東証プライム
1,757
11/22 15:30
+7.5(%)
時価総額 1,123,493百万円
国内2位の鉄鋼メーカー。日本鋼管と川崎製鉄の経営統合により発足。鋼板を中心に多数の高付加価値製品を抱え、自動車用高級鋼板に強み。価格転嫁進める。高付加価値製品比率高まる。構造改革と海外拡大も進める。 記:2024/06/25
5702 東証プライム
1,070
11/22 15:30
+5(%)
時価総額 46,683百万円
1922年創業のアルミニウム二次合金メーカー。合金事業や原料事業、ダイカスト事業等を展開。生産量は世界トップクラス。大手自動車メーカーなどが主要取引先。新生産システムの構築、原料の自力回収力の強化図る。 記:2024/10/24
5706 東証プライム
4,772
11/22 15:30
+57(%)
時価総額 273,827百万円
1874年創業の非鉄金属大手。機能材料部門、金属部門が柱。亜鉛に強み。半導体パッケージ基板向け極薄銅箔、二輪用触媒などで世界トップシェア。機能材料部門では既存分野の深耕、環境貢献製品の創出等に取り組む。 記:2024/08/10
5707 東証プライム
812
11/22 15:30
+15(%)
時価総額 11,032百万円
1937年創業の非鉄金属メーカー。鉛で国内トップシェア。亜鉛は国内シェア3位。環境・リサイクル事業、電子部材・機能材料事業、資源事業等も。鉛事業ではリサイクル原料比率の引き上げによる生産増強を図る。 記:2024/07/26
5713 東証プライム
3,823
11/22 15:30
-41(%)
時価総額 1,111,782百万円
総合非鉄素材メーカー。1590年創業。住友グループの源流。資源開発、銅など非鉄金属の製錬、機能性材料の製造・販売等を行う。材料事業では車載用電池材料の需要が底堅い。資源部門では菱刈鉱山が順調な操業継続。 記:2024/07/02
6532 東証プライム
5,469
11/22 15:30
+81(%)
時価総額 849,943百万円
大手経営コンサルティング会社。全体戦略や事業戦略の立案など経営課題を解決するサービスを提供。24年9月に持株会社に移行、M&A推進。採用活動を積極化。コンサルタントの増加により人件費増も案件拡大で堅調。 記:2024/10/31
6572 東証プライム
210
11/22 15:30
+3(%)
時価総額 13,073百万円
RPAサービス「BizRobo!」や業務自動化クラウドサービス「RoboRobo」等のインテリジェントオートメーション事業が主力。アドオートメーション事業も。配当性向40%目安。導入企業数は順調に拡大。 記:2024/10/26
6758 東証プライム
2,948
11/22 15:30
-3.5(%)
時価総額 18,404,653百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
6861 東証プライム
65,660
11/22 15:30
-20(%)
時価総額 15,969,037百万円
センサや測定器、画像処理システム、制御・計測機器等を手掛けるFAの総合メーカー。製造は国内外の協力会社に委託。取引先は全世界に35万社超。グローバル直販体制が強み。販売力の強化などで海外事業の拡大図る。 記:2024/10/12
6902 東証プライム
2,267.5
11/22 15:30
-19(%)
時価総額 7,146,661百万円
トヨタ系自動車部品メーカー。1949年にトヨタから分離独立。サーマルシステム、パワトレインシステム等を手掛ける。インバータで世界トップシェア。FA関連等の非車載事業も。電動化製品、安心・安全製品を拡販。 記:2024/10/07
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
7211 東証プライム
439.3
11/22 15:30
+2(%)
時価総額 654,681百万円
SUV・4WD技術に強みを持つ自動車メーカー。仏ルノー及び日産自動車と提携。海外売上高比率は7割超。アセアンの販売台数比率が高い。26.3期営業利益2200億円目標。アセアンで新商品の連続投入計画。 記:2024/06/17
7269 東証プライム
1,638
11/22 15:30
-38(%)
時価総額 3,217,992百万円
四輪車、二輪車メーカー。1909年創業。静岡県浜松市に本社。軽自動車に強み。四輪車はインドでトップシェア。船外機なども手掛ける。日本、インド、欧州が主要事業地域。インドは四輪車の累計生産が3000万台超。 記:2024/10/10
7270 東証プライム
2,450.5
11/22 15:30
+8.5(%)
時価総額 1,847,437百万円
1917年創業の中堅自動車メーカー。北米の販売台数比率が高い。トヨタと資本業務提携。アイサイトなどに特徴。航空機の中央翼などの製造を行う航空宇宙事業も手掛ける。28年、米国でBEV販売40万台目標。 記:2024/10/10
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17