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明豊ファシリ Research Memo(4):粗利益ベースの受注高では3割増と過去最高を更新

2015/7/3 18:17 FISCO
*18:18JST 明豊ファシリ Research Memo(4):粗利益ベースの受注高では3割増と過去最高を更新 ■業績動向 (1) 2015年3月期業績動向 明豊ファシリティワークス<1717>の5月14日付けで発表された2015年3月期の業績は、売上高が前期比横ばいの8,244百万円、売上総利益が同12.6%増の1,840百万円、営業利益が同17.0%増の731百万円、経常利益が同46.0%増の562百万円、当期純利益が同57.1%増の350百万円となった。 売上高が伸び悩んだ格好となっているが、これはアットリスク方式で受注している大阪府立大学プロジェクトの売上が減少した影響によるもので、同社が社内で管理する粗利益ベースでの受注高では前期比3割増と過去最高を更新した。また、営業外費用として大阪府立大学プロジェクトにかかる売上債権売却損を計上しているため(売上高、営業利益で同額分を計上しており、営業外で相殺する決算処理を行っている)、同社の実質の収益力は経常利益ベースで見る必要があるが、経常利益も6期ぶりに過去最高益を更新するなど、好決算だったと言えよう。 好業績の背景には、建設業界全体が活況を呈していることもあるが、そのなかで同社を取り巻く環境が少しずつ変わってきたことも見逃せない。 特に公共工事に関する入札制度などは法制度面も含めて大きく変わりつつある。国や地方公共団体の財政状況が厳しいなかで、公共工事の発注方式を見直し、コストの最適化を進める必要性が高まってきたことが背景にある。2014年6月には建設工事の適正な施工及び品質の確保と、その担い手の確保を目的として、「公共工事品確促進法」が改正され、公共工事の発注者側が入札予定価格などにおいて、施工者が赤字にならないように適切な予算計上を行う義務が生じるようになった。これは工事の発注者側にも適切なコストを見積もるため、同社のようなCM事業者の必要性が増してくることを意味する。 また、国交省では2014年10月より、公共工事における多様な入札契約方式の導入を支援するモデル事業を5つの地方公共団体でスタートしており、従来の画一的な入札方式を改める取り組みも進めている。同モデル事業の1つである愛知県新庄市の新庁舎建築案件については、同社が国交省より発注支援に関わるアドバイザリー契約を受託したもので、2015年3月末に業務が完了している。 公共工事の受注案件では、2014年5月に千葉県市原市の新防災庁舎建設プロジェクトにおいて、基本設計段階からのコスト及び工期管理、庁舎付帯設備、機器、家具・什器等の基本計画並びにプロジェクトマネジメントまで、プロジェクト全体のCM業務を受注した。2015年4月に入札が行われ、当初予定価格を約1割下回る価格で落札されている。ここ1~2年は建築コスト高騰により、入札予定価格が低すぎて入札不調に終わるケースが目立っていたなかでの落札結果は、他の地方公共団体からも高い注目を浴び、「明豊のCM事業」の認知度向上にもつながったと言える。 実際、今期に入って地方公共団体からの問い合わせも増加している。2015年5月には、横浜市民病院再整備プロジェクト(総工費426億円、病床数650床、延べ面積6万平方メートル)のCM事業者として選定されている。2015年6月には、福島県電源地域振興財団のJヴィレッジ復興・再整備CM業務(福島県復興のシンボルとして2019年4月までに新たな価値を持った世界トップクラスの施設へと再整備する事業)の契約を締結している。人的リソースの問題からすべての需要に応えられないが、首都圏や近畿エリアなど主要都市部における公共工事においては、同社が活躍する場面が今後さらに増えていくことが予想される。 (2)事業別動向 ○オフィス事業 オフィス事業の売上高は前期比2.6%減の3,595百万円、セグメント利益は同29.2%増の321百万円となった。大手企業を中心とした事業再編の動きが継続しており、グループ企業の統廃合や地方拠点の集約化によるオフィス移転の需要が活発化するなかで、同社においては、オフィスビル新築同時入居など難易度が高い大型の事業移転において強みを発揮し、受注を拡大している。 売上高は若干の減収となったものの、これは工事原価を含むアットリスクCM案件の出来高が減少したことによるもので、実質ベースでは順調に拡大しており、営業利益も順調に拡大した。 ○CM事業 CM事業の売上高は前年同期比11.0%減の3,263百万円、セグメント利益は同26.8%減の227百万円となった。労務費や資材の高騰による建築予算超過に悩む顧客からの引き合いや、工場、研究所、医療施設等の新規事業のプロジェクトなどの受注を獲得したほか、バブル期に建設された建物の老朽化による空調・電気設備の更新案件なども、民間、公共機関含めて幅広い顧客から受注が拡大した。 主な公共分野での受注案件としては、2014年4月に大阪府立大学の学舎整備事業を5年連続で受注したほか、5月に千葉県市原市の防災庁舎建設、9月には大阪府立環境農林水産総合研究所建て替え整備工事などのCM業務を受注している。2015年5月には、横浜市民病院再整備プロジェクト(総工費426億円、病床数650床、延べ面積6万平方メートル)のCM事業者として選定されている。2015年6月には、福島県電源地域振興財団のJヴィレッジ復興・再整備CM業務(福島県復興のシンボルとして2019年4月までに新たな価値を持った世界トップクラスの施設へと再整備する事業)の契約を締結している。 売上高に関してはアットリスクCM案件である大阪府立大学プロジェクトの出来高が減少したことにより減収となっているが、社内で管理している粗利益ベースによる受注高は順調に拡大している。また、営業利益に関しても同プロジェクトの減少により2期連続で減益となったが、営業利益段階で計上されている売上債権売却益(営業外では売上債権売却損として相殺)を除いたベースでは、若干の減益にとどまっている。主に人件費の増加が減益要因となっているが、現段階は「高品質なサービスを提供」していくことによる「ブランド価値の向上」に注力している段階であり、先行投資期間とも位置づけられる。 ○CREM事業 CREM事業の売上高は前期比56.7%増の1,386百万円、営業利益は同180.3%増182百万円と大幅増収増益となった。同社のCM手法を使った工事コスト管理や、顧客保有資産のデータベース化による資産情報の集中管理(「多拠点同時進行プロジェクト管理システム」)など、顧客ニーズに合わせて事業性を高めることができる同社の専門性、マネジメント能力が着実に評価を高めており、金融機関や流通企業など全国に多数の拠点を有する既存顧客からのリピート需要が拡大した。また、建物の基幹設備の老朽化による空調・電気設備の更新需要なども引き続き好調に推移した。同事業に関しては、複数年のプロジェクトにわたる事業を多いため、今後も安定した成長が見込まれている。 (3)財務状況について 同社の2015年3月末の財務状況は、総資産が前期末比55百万円減少の3,713百万円となった。受取手形・完成工事未収入金が49百万円増加した一方で、現預金が90百万円減少した。 負債は前期末比339百万円減少の1,611百万円となった。有利子負債が221百万円減少したほか、工事未払金が170百万円減少した。また、純資産は利益剰余金が282百万円増加したことに伴い、前期末比283百万円増加の2,101百万円となった。 経営指標を見ると、有利子負債の削減に伴い流動比率や自己資本比率、有利子負債比率など安全性指標がいずれも改善し、収益の拡大とともに財務体質の改善が進んでいることがうかがえる。また、ROEやROAなども利益の増加に伴い、それぞれ10%を上回るなど収益性が向上している。今後、「ピュアCM方式」の事業構成比率が高まっていけば、資産効率もさらに向上するため、収益性の一段の向上が見込まれる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YF》
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時価総額 11,345百万円
建築・オフィス移転プロジェクトの施工管理を発注者側の立場で行う。DX実現支援や脱炭素化支援を育成中。24.3期3Q累計発注者支援が堅調。受注粗利率も最高水準まで回復し、二桁増収増益に。配当性向55%目安。 記:2024/04/16