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ヘリオス テクノ Research Memo(3):各事業部門の詳細(1)

2015/7/3 18:09 FISCO
*18:09JST ヘリオス テクノ Research Memo(3):各事業部門の詳細(1) ■業績の推移 (1)ランプ事業 ランプ事業は同社の創業事業であり、フェニックス電機と(株)ルクスの2社が手掛けている。現在は、プロジェクター用ランプ、ハロゲンランプ、LEDランプ、露光装置用光源及び商品の5つの商品種類に分かれている。露光装置用光源は2014年3月期までは「露光装置用光源ユニット」という名称で、光源自体と光源を筐体に組み込んでユニット化したものとが含まれていたが、2015年3月期から光源だけをランプ事業とし、筐体の部分は後述の検査装置事業へと移管された。これは光源ユニットを、検査装置事業を担う日本技術センターが製造している実情に合わせたためと思われる。 成長期待が大きく収益貢献も大きいのが露光装置用光源(MLS)だ。これはLCDカラーフィルター製造装置用のもので、光源単体(主として補修用)もしくは筐体に組み込んでユニット化したもの(主として新規装置用)として、大手製造装置メーカーに納入している。MLSのメーカーは同社ともう1社しかない寡占体制で、納入先となる製造装置メーカーも2社の寡占体制でそれぞれペアを組んでいる状況だ。同社が組む相手は新規参入に近いが、LCD製造プロセスの中の一部分で高シェアを有する企業であり、その事業とのシナジーで製造装置事業を成長させる計画だ。 LEDランプも堅調だ。かつての主力商品であったメタルハライドランプや水銀灯(高天井、投光器、看板照明等向け)、ハロゲンランプ(店舗照明用)、ミニクリプトン球、ビーム電球などのランプ製品について、LEDを用いた代替製品のラインアップを完了し、LEDへの代替需要取り込みに取り組んでいる。2014年3月期から2016年3月期にかけて売上高が上下するのは、大手アミューズメント業者から店舗のLEDランプ更新の大口受注を相次いで獲得し、その売上計上のタイミングによるものである。 プロジェクター用ランプは減少基調が続いている。オスプレイ社の特許切れを受けて、ヘリオス テクノ ホールディング<6927>もこれまでの直流に加えて交流ランプを発売する計画だ。製品自体は開発完了済みで、2016年3月期からの本格発売を計画し、新市場参入による売上拡大を狙っている。にもかかわらず、2016年3月期の売上高計画が前期比10%減の887百万円となっているのは、海賊版メーカーの登場で補修用マーケットが浸食されることを懸念したためである。プロジェクター用ランプの再生プランは注意が必要になってきた。 ランプ事業全体としては、2015年3月期は売上高3,928百万円(前期比1.9%減)、営業利益217百万円(同20.5%減)だった。2016年3月期は売上高5,075百万円(同29.2%増)を計画している。前述のように露光装置湯光源とLEDランプがけん引役になると期待されている。LEDランプへの交換に伴う工事売上高も売上高を押し上げるとみられる。 (2)製造装置事業 製造装置事業はナカンテクノが手掛ける事業だ。製品の種類としてはフレキソ印刷機、高精細印刷機(HRP)、プラント(中古のLCD製造装置等の売買)などがあり、向け先としては、液晶ディスプレイ(配向膜製造装置)、タッチパネル(絶縁膜形成、メタルトレース、ブラックマスク)などがある。 同社の得意分野としてはLCDの配向膜製造装置だ。ナカンテクノはフレキソ印刷技術を応用した配向膜製造装置を展開している。フレキソ印刷技術による配向膜製造装置のメーカーはほとんどなく実質的に同社のシェアは100%となっている模様だ。他にはインクジェットプリンター技術による配向膜製造装置もある。それぞれ一長一短がある中で、フレキソ印刷型はガラスサイズの8.5世代あたりまでの領域で優位性があるようだ。 タッチパネル向けでは、同社の持つインクジェット、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷の技術を総動員して、タッチパネル製造の様々なプロセスに向けて機器を提供している。同社の装置のアピールポイントは省プロセス、材料(インキ)使用量抑制、環境負荷低減(薬液廃棄処理コスト低減)などであり、これらを突破口に販売を伸ばしている。 製造装置事業の中で今最も注目されるのがプラントだ。これは、液晶パネルやタッチパネルの中古製造装置の売買だ。中古機器の発生源は日本や台湾で、同社はそれらを買い取り、中国企業に対して販売及び装置据え付けを行っている。同社は機器の販売のみならず移設まで行うため、この事業のリスクは決して低くない。また、中国の事業者を相手とするビジネスでは、資金回収でトラブルになることも多いとされている。このような事情もあって、中古設備の対中国販売は、需要が多いのは認識されていても実際にそれを行う業者は決して多くはない。 同社は2009年のナカンテクノ発足以来この中古装置移設事業を行ってきた。同社がこの事業に取り組んでいる理由は、ナカンテクノの代表取締役社長 佐藤良久(さとうよしひさ)氏の中国における人的ネットワークがあるためだ。こうした背景があるだけに、中古ビジネスは相手国を中国に絞りこんでリスク回避を試みている。事業開始後当初の数年間は数億円から10億円程度で推移していたが、2015年3月期に100億円を大きく超える大口案件を受注するに至った。しかし、こうした大型案件はあくまで例外的なものであって、基本的には数億円前後の案件が寄せ集まってこの事業を形成していくと考えるべきであろう。 中古機ビジネスにおいて、同社は半導体製造用露光装置(ステッパー、スキャナ)の取り扱いにも取り組む意欲を見せている。これが現実化すれば1台で数十億円の商談になるとみられ、収益インパクトは大きいと考えられる。しかし、半導体用露光装置は微細加工のレベルが液晶パネルやタッチパネルの製造装置とはケタ違いのため、要求される技術レベルと事業リスクが一気に高くなると想定される。ステッパー関連ビジネスがすぐに立ち上がり収益に貢献するといった期待を抱くのは避けるべきで、今後の推移を見守るというスタンスが妥当だと弊社では考えている。 製造装置事業の中に、最近、新たな動きが出てきている。それは機器のメンテナンス需要だ。配向膜製造装置や絶縁膜形成装置などは、これまでの累計販売台数が50台を超えてきたようだ。既に同社に対して、メンテナンス、交換部品、改造等の要望が多数寄せられており、同社としては製造装置事業の中の収益源の1つとなるポテンシャルがあるとの手応えを感じている。 業績動向は、2,015年3月期は売上高6,258百万円(前期比14.3%増)、営業利益664百万円(同49.2%増)だった。主力のフレキソ印刷機とメンテナンス需要がけん引した。2016年3月期は売上高18,120百万円を見込んでいる。このうち13,200百万円はプラント、すなわち中古製造装置ビジネスで、さらにそのうちの11,700百万円は1件の大型案件の売上計上によるものである。主力のフレキソ印刷機は前期比横ばいの2,900百万円を計画しているが、今進行中の商談が順調に進めば上乗せされてくる可能性は大いにありそうだ。 業績面で気になるのは大型商談がなくなる2017年3月期の動向だ。売上高は2016年3月期予想から当該大型案件を除いた6,420百万円を軸に、どの程度上下してくるか、ということになろう。いずれにしろ大幅減収は避けられない。しかし利益面では増益も期待できそうだ。同社によれば、当該大型案件の利益寄与は当初予定した営業利益率10%という水準を大幅に下回る100百万円~200百万円にとどまる見通しだ。理由は、製造装置の運搬費用が当初の想定を大きく上回るためである。したがって、2017年3月期に当該大型案件が消滅しても減益インパクトは100百万円~200百万円にとどまり、その程度であれば他の製品・案件で十分カバーは可能であるとみられるためだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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時価総額 21,667百万円
フェニックス電機、ルクス、ナカンテクノなどを傘下に収める持株会社。配向膜印刷装置等の製造装置事業が主力。露光装置用光源ユニット用ランプ等も。産業用LEDなどは量産化に対応した生産体制の確立等に取り組む。 記:2024/08/06