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ダイナムジャパンHD Research Memo(6):マカオのカジノ運営会社へ出資し密接な関係を構築

2014/7/24 9:09 FISCO
*09:12JST ダイナムジャパンHD Research Memo(6):マカオのカジノ運営会社へ出資し密接な関係を構築 ■トピックス/投資テーマ (1)カジノに対する基本スタンス ダイナムジャパンホールディングス(06889/HK)はカジノに対する参入意思を非常に強く抱いている。参入する場合にはパチンコホール運営者として、カジノにおいてもオペレーターとしての立場での参入を目指す意向だ。それに向けて同社は2013年1月に香港に現地法人を設立し、そこをベースにカジノに関する情報収集を続けてきた。 ○同社の海外での動き 2013年6月に同社は、カジノオペレーターの「マカオ・レジェンド社」に3,500万ドルの出資を行った(その後さらに5,000万ドルを追加出資)。これに関連して、同社は、マカオ・レジェンド社が経営するカジノに、同社がパチンコ機器を設置し運営する契約を締結した。これはカジノ機ではなくあくまでもパチンコ機という位置付けだ。ただし、日本的な玉と釘のある機械ではなく、LCD画面を備えたまったく新しい概念の遊技機械となる予定である。このいわば「次世代パチンコ機」の開発のために、ダイナムはシンガポールの「IGGシンガポール社」と機器及びゲームの開発に関する覚書を締結するとともに、IGG社に1,500万ドルの出資を行った。本場であるマカオのカジノ運営会社へ出資、密接な関係を持っている点は、他社にはない強みであると言える。 マカオ・レジェンド社とIGG社への投資は両社の株価上昇で大きな成功となっている。2014年3月期決算において、IGG社の投資で23億円、マカオ・レジェンド社への投資で約56億円の含み益が発生している状況だ。これらの出資に関して何ら売却制限はなく、同社は好きなタイミングで両社の株の売却が可能な状況にある。 ○日本のカジノに関する取り組み状況 国内カジノ設置を認める複合型リゾート施設(IR)整備推進法案(以下、「IR法」という)は、6月18日の衆院内閣委員会で審議入りした。この法案は超党派のカジノ推進派議員による連盟(IR議連)が中心となり、自民党・日本維新の会・生活の党3党の共同で提出された。継続審議の手続きがなされており、今秋の臨時国会で本格的に論戦が行われ、最終的に衆院で可決される見込みとなっている。現状ではカジノ設置の根拠法となるIR法の内容が固まっていないため断言はできないが、カジノを含む複合型リゾート施設の候補地として、北海道、千葉、神奈川、大阪、長崎、宮崎、沖縄など複数の自治体が名乗りを上げている。 言うまでもなく、日本ではカジノは禁止されてきたため、カジノオペレーターとしての実績を有する日本企業はない。同社も含めて参入意欲を持つ日本企業は様々な形でノウハウの吸収に努めているが、一朝一夕にはいかないのも事実だ。したがって、米国のカジノオペレーターとの協力関係は不可欠であろう。海外オペレーターも日本のカジノ市場に対して参入意欲を強く有しており、大都市圏の候補地については参入競争が激化することが予想される。 そのような環境下、まだ詳細は明らかに出来ないとした上で同社の主たる狙いは大都市圏ではなく、自社の事業基盤や強みなどを活かした参入を考えているとした。 現時点においては、同社を始めとする日本企業がカジノに参入した場合の成否などを評価するステージにはないが、同社の姿勢はステークホルダーにとってはポジティブなことであると考えられる。日本のIR法が想定する複合リゾート型カジノは言うまでもなく、初期投資が膨大になる。首都圏など一部の場所については、兆円単位にまで膨れ上がる可能性も取りざたされている。そうした過大な投資負担を避け、さらに地の利や人脈などを総合的に判断した参入の考えが伺える。そうした、地に足がついた慎重なスタンスは前向きに評価されるべきものであろう。 日本のカジノでもう1つ考慮すべきポイントは、ラスベガスやマカオのような、世界のカジノファンにとって魅力的なカジノになり得るかどうか未知数だという点だ。それはとりもなおさず、ハイローラーと呼ばれる高額ギャンブラーを満足させることができるカジノになりえるか、ということだ。合法化されたカジノにおいては、この部分こそが規制リスク・制度リスクであり、規制内容によっては日本のカジノが魅力の乏しい、全くの期待外れに終わる可能性がある。この点もまた、今後の国会や規制当局の議論を待たねばならない。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《FA》