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ダイナムジャパンHD Research Memo(4):出玉をカードで記録するパーソナルシステムで効率的な店舗運営

2014/7/24 9:07 FISCO
*09:09JST ダイナムジャパンHD Research Memo(4):出玉をカードで記録するパーソナルシステムで効率的な店舗運営 ■会社概要 (3)ローコストオペレーションの分析 ダイナムジャパンホールディングス(06889/HK)が収入拡大の反対側で進めるのはローコストオペレーションの取り組みだ。この考え方の根底には、チェーンストア理論が流れているというのは、前述のとおりだ。これも前述したように、同社の収入増加策は、単位店舗当たりの収入は減少する。したがってこの戦略を採用するうえでは、合わせて店舗費用の削減を行い、利益を確保するという施策が必要不可欠となる。 同社のローコストオペレーションは、既存店と新規出店と両方に対して適用されている。まず、新規出店については、ゆったり館の業態で標準店舗モデルを大きく2種類(480台モデルと560台モデル)に絞り、商圏人口約5万人の地方都市に照準を合わせている。土地は20年の定期賃借とし、建物は木造とすることで初期出店コストを452百万円に抑えている。機械費はこれと別に約150百万円をかけて導入するが、資産計上はせずに経費として初年度に一括計上する。その結果、初年度は営業損失となるが2年目以降は黒字化し、開業から10年間の年平均ROIは28.9%を目標としている。 一方既存店に対する経費削減の内容は、人件費と機械費の削減だ。両者合計で店舗総費用の約60%を占めるだけに、コントロールができればインパクトは大きい。機械費削減について同社では中古機の活用、プライベートブランド(PB)機の導入及び設置コスト削減を中心に据えている。同社は本体に加えてグループ内の(株)ダイナムビジネスサポートでPB機開発を手掛けている。人件費削減については、パーソナルシステムの導入と情報システムによる一元管理がその内容だが、特にパーソナルシステムが重要だ。 パーソナルシステムとは、客が勝った分の玉(出玉)についてカードに記録して管理するシステムだ。箱を積み上げて通路に置いたり、計数のために台車で運んだりといった必要がなくなるため、より効率的な店舗運営ができるようになる。通常、1つのホールは正社員10名とアルバイト10名程度で、3交代で運営されている。アルバイト6~7人(1シフト当たり2名)を削減する効果があるとも試算されており、このシステムへの期待は大きい。同社はパーソナルシステムを全社で217店舗に導入済みで、ゆったり館と信頼の森業態での導入率は90%を超えている。新規出店でもこの導入を前提に収支計画を立てている。 同社のローコストオペレーションについては、全体として非常に理に適った、かつ、よく練られた説得力のある施策であると評価できる。細部においては、例えばPB機の導入について、効果は高い(弊社では1台当たり10万円前後、約20~30%の削減効果と推定)と期待されるものの、結局は客に受け入れられるかどうかが最大のポイントでありリスクの一つとみている。一方、中古機は実際の人気を見ながら機種を選定・調達できるため、失敗のリスクは低いと考えている。また、物流センターを整備して設置コストを削減するという施策は、パチンコホールにおける機種入れ替えの頻度を考えると、地味な施策でありながら効果は意外に大きいものとみている。 同社の新規出店モデルも順調にワークしているようだ。同社が過去2年間に新規出店した20店舗について収益状況の検証を行った結果、個々の店舗で多少のばらつきはあるものの、平均値としてはモデルどおりの収益の数値が確保できているようだ。この点は今後の同社の出店戦略推進において、大きな自信となるのは間違いない。 低採算の既存店舗に対する施策は、まず、第一義的には同社の進めるローコストオペレーションの徹底があろう。パーソナルシステムこそ導入が進んでいるが、中古機についてもPB機についても、本格導入はむしろこれからだ。パーソナルシステムもさらに進化させることでアルバイト等従業員数の削減幅を拡大する余地が生まれる可能性がある。他方、収入増という点では、1円パチンコから2円パチンコの切り替えという方向性が考えられる。効率よく遊びたいという客層は一定層あり、4円パチンコが依然として根強い人気があるのはそのためだ。1円から2円への切り替えで貸玉収入は倍増する。 マーケティング戦略という点ではシニア層の掘り起こしが考えられる。特にこれまでパチンコをしてこなかった層に対するマーケティングだ。現在、昼間のゲームセンターの主要客層はシニア層になりつつある。彼らが楽しむのは主としてメダルゲームである。店舗側もメダルの価格を下げて、客の滞留時間を長期化させることでトータルでの売上増加に結び付けることに成功している。これは低貸玉機の戦略と本質には同じ方向のものだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《FA》