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日経平均は5日ぶり反発、FOMC無難通過も底打ちの確信深まらず

2022/6/16 12:15 FISCO
*12:15JST 日経平均は5日ぶり反発、FOMC無難通過も底打ちの確信深まらず 日経平均は5日ぶり反発。367.89円高の26694.05円(出来高概算5億6517万株)で前場の取引を終えている。 15日の米株式市場でNYダウは303.70ドル高と6日ぶり反発。イタリア国債利回りの急騰を受けて欧州中央銀行(ECB)が緊急会合を開き、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の償還金再投資に柔軟性を適用する方針を示したことが安心感をもたらした。一方、6月小売売上高やNY連銀製造業景気指数が予想外のマイナスに落ち込んだものの、金利が低下したことでハイテク株の買いに繋がった。その後、連邦準備制度理事会(FRB)が市場の予想通り連邦公開市場委員会(FOMC)で1994年以降最大となる0.75ptの利上げを決定し、インフレ抑制に努める強い姿勢を見せると一段と買いが広がった。また、パウエル議長が0.75ptの利上げが異例であることを強調し金利がさらに低下すると終盤にかけてハイテク株の買いが強まった。ナスダック総合指数は+2.50%と大幅続伸した。 欧米株高を受けて、日経平均は389.36円高と大幅上昇でスタート。朝方は買い戻しが先行し、午前中ごろには26947.70円(621.54円高)まで上昇した。しかし、アジア市況の軟調推移や、朝方大きく上昇していた時間外取引のナスダック100先物が上げ幅を縮めるに伴い、日経平均も前引けにかけては騰勢を弱めた。 個別では、レーティングの格上げがあったファーストリテ<9983>が大きく上昇し、ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、任天堂<7974>など値がさ株の上昇が大きめ。トヨタ自<7203>や三菱自<7211>など自動車株が大幅高で、三菱重工<7011>や川崎重工<7012>の防衛関連、三菱商事<8058>、三井物産<8031>の商社株、日本製鉄<5401>、住友鉱山<5713>など資源関連の一角も高い。中国南方航空が737マックス機のテスト飛行を実施したとの報道を受けて米ボーイングが買われたことで、東レ<3402>が急伸。岸田首相が「県民割」について7月前半から対象の旅行先を全国に広げると表明したことを好感し、エイチ・アイ・エス<9603>、エアトリ<6191>など旅行関連の一角が強い動き。今期見通しが好感されたコーセル<6905>、中計目標を引き上げたキョウデン<6881>もそれぞれ大きく上昇。 一方、ソフトバンクG<9984>や東エレク<8035>は高く始まったものの、その後失速し、小幅な上昇にとどまっている。リクルートHD<6098>、信越化学<4063>は朝高後に下落に転換。また、SHIFT<3697>やラクス<3923>、Sansan<4443>などグロ−ス株で寄り天井のものが多い。ほか、川崎汽船<9107>が大きく下落し、郵船<9101>、商船三井<9104>も軟調。メルカリ<4385>も冴えない動きで、レノバ<9519>は大きめに下落。ハイテク株では新光電工<6967>が大幅に下落。MSOL<7033>は決算を受けた前日の急落に続き大幅続落。レーティングの格下げがあったKLab<3656>も大きく下落している。 セクターでは水産・農林、輸送用機器、精密機器を筆頭にほぼ全面高の展開。一方、海運のみが下落となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の83%、対して値下がり銘柄は14%となっている。 FOMCでは約27年ぶりとなる0.75ptの利上げが決定された。FRBは先週までは6月会合では0.5ptの利上げを行う可能性が高いとし、5月のFOMC時点では0.75ptの利上げについては「積極的に議論していない」としてきたが、今回は事前のアナウンスを破る形で0.75ptの利上げに踏み切った。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙による事前の報道もあり、市場は0.75ptの利上げを織り込んでいたため、FOMCの結果公表直後の米国市場の反応は一時的に上下に振れたものの大きなものではなかった。ただ、その後、パウエル議長が記者会見で「次の7月会合では0.5ptか0.75ptの利上げに動く可能性が高い」としたうえで、「今回の0.75ptの利上げ幅は異例であり、この幅が普通になるとは見込んでいない」と説明した後から、株式市場は大きく上昇した。 市場は7月以降も0.75ptの利上げが行われる可能性が高いと警戒していたため、0.75ptの利上げは異例としたパウエル議長の説明を想定程にはタカ派でないと捉え、売り方の買い戻しが進んだようだ。 今会合では四半期に一度の政策金利・経済見通しが公表された。政策金利見通しの中央値は2022年末が3.4%と3月時点の1.9%から大幅に引き上げられ、23年末も2.8から3.8%へと大きく引き上げられた。一方、22年の経済成長率は3月時点の2.8%からトレンドとされる1.8%をも下回る1.7%にまで大きく下方修正され、23年の成長率も2.2%から1.7%へと引き下げられた。ただ、22年比で横ばいであるほか、一部では1.5%まで下方修正されて、景気後退を伴うハードランディングが示唆されるのではないかという懸念もあったため、やや安心感を誘ったようだ。しかし、景気をある程度犠牲にしてでもインフレ抑制を優先する姿勢が示唆されたという意味で、内容的にはタカ派色が濃い。 それでも市場はFRBのインフレ抑制への決意を評価したとみられるが、結局、インフレのピークアウトが見通せないなか、今後の物価指標次第では再び利上げペースの引き上げの可能性があるわけで、不透明感が払しょくされたわけではない。株式市場も売り方の買い戻し以上に買いが入るとは考えづらく、相場が底を打ったと判断するには時期早々だろう。実際、本日の東京市場ではハイテク・グロース株で朝高後に失速しているものが多く見受けられ、投資家の疑念は根強い様子。 また、FOMCに隠れてあまり話題になっていないが、前日に発表された米5月小売売上高は前月比-0.3%と予想(+0.3%)に反して5カ月ぶりにマイナスとなったほか、前回、市場予想を大幅に下回った6月NY連銀製造業景気指数も前月からは改善したとはいえ、-1.2と市場予想(+2.3)を下回った。FRBの経済見通しと合わせて考慮すれば、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)のリスクは更に高まったと考えられる。 市場の見方はまだ覚束ないところがあり、先行きについては不安定さが伴う。また、今年はFOMC直後に上昇してもその後に安値を更新する展開が多いため、今回も同様な展開にならないか注視する必要がある。投資家はイベント通過後の上昇に油断することなく慎重な対応が引き続き求められよう。 午後の日経平均は外部環境が不透明ななか、今晩の米国市場の動向を見極めたいとの思惑もあり、前引けにかけて失速した流れが続きそうだ。今晩には英国で金融政策委員会が予定されているほか、明日には黒田日銀総裁の記者会見もある。総裁から円安をけん制するような発言が出るか注目され、イベント前に上値も重くならざるを得ないだろう。(仲村幸浩) 《NH》
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8035 東証プライム
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時価総額 11,017,981百万円
大手総合商社。原料炭や銅、液化天然ガスなど資源分野で世界有数の優良権益を有す。非資源分野は食品卸売に強み。自動車・モビリティ、複合都市開発等も。総還元性向40%程度目処。LNG事業の拡張などを図る。 記:2024/07/07
9101 東証プライム
4,973
11/25 15:30
-2(-0.04%)
時価総額 2,292,553百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
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海運国内2位。1884年創業。三井グループ。ドライバルク事業、エネルギー事業、製品輸送事業が柱。LNG船の所有・管理・運航で世界シェアトップクラス。配当性向30%目安。非海運事業のアセット積み増し図る。 記:2024/07/29
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2,131.5
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-23.5(-1.09%)
時価総額 1,439,129百万円
海運国内3位。1919年設立。自動車船事業などの製品物流部門が主力。ドライバルク事業等も。持分法適用関連会社にコンテナ船事業を行うONE社。LNG船等は順調推移見込む。27.3期経常利益1600億円目標。 記:2024/06/17
9519 東証プライム
812
11/25 15:30
+12(1.5%)
時価総額 74,045百万円
再エネ発電所を開発・運営。太陽光を軸にバイオマス、洋上風力発電事業も。小規模分散型の太陽光発電所も順次運転を開始したことで、発電量は順調に増加。東京ガとの間で資本業務提携、第三者割当増資で資本増強。 記:2024/08/26
9603 東証プライム
1,871
11/25 15:30
+33(1.8%)
時価総額 149,420百万円
旅行会社大手。海外旅行に強み。「変なホテル」等の運営を行うホテル事業も。九州産業交通HDなどを傘下に収める。ハウステンボスは22年に譲渡。26.10期売上4300億円目標。グローバルマーケットの強化図る。 記:2024/06/09
9983 東証プライム
50,730
11/25 15:30
+1,710(3.49%)
時価総額 16,143,351百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,874
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+288(3.35%)
時価総額 13,044,736百万円
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