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アーバネット Research Memo(8):事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す

2024/3/6 14:58 FISCO
*14:58JST アーバネット Research Memo(8):事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す ■今後の方向性と進捗 循環的な景気変動への懸念のほか、インフレの進行や金融緩和政策の先行き不透明感など、外部環境は不確実性が高まりつつあるものの、今後の成長戦略の方向性に大きな見直しはない。ただ、2023年8月24日付けの新株予約権に関する開示文書に記載のとおり、既存事業の拡大とストックビジネス等の強化とともに、M&Aによるシナジー効果を期待しつつ、成長にはずみをつけようとする姿勢が明確となってきた。既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の強化により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図る考えだ。 1. 既存事業の拡大 既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す方針である。子会社の(株)アーバネットリビングに有効活用課を設置し、時間をかけて権利調整を行うビジネスを展開しているほか、独自のビジネスモデルと安定した財務基盤を生かして、大型プロジェクトや東京都心以外での開発も検討しているようだ。特に、業務提携やM&A等を通じて、開発エリアの拡大(川崎、横浜等)や用地情報力の強化にも取り組んでいく。 2. ストックビジネスの強化 ストックビジネスの強化については、ここ数年、賃貸収益物件を自社保有することにより安定収益源や融資担保の確保に取り組んできた。現在の賃貸収益物件は8棟(他にも戸別保有あり)に上り、年間の不動産収入は500百万円水準(弊社推定)にまで拡大している。今後も、流動資産の活用により安定稼働が期待できる賃貸収益物件を着実に増やす計画である。また、駅近好立地での開発力を生かして参入した「ホテル事業」については稼働率の向上と客室単価の適正化が進み、いよいよ軌道に乗ってきたが、今後はストックビジネスとして保有するか、販売チャネルの拡大を目的として売却するのか、長期的視点で検討する方針である。 3. BtoC事業の拡大 アーバネットコーポレーション<3242>の中核事業である投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売では、物件竣工後のマンション販売会社への物件引き渡しで事業のルーチンが完了する。同社が開発してきた分譲用マンションにおいても、戸別分譲後のマンション管理等については管理会社に引き継いで終了としてきた。つまり、賃貸管理並びにマンションビル管理等の収益については対応しておらず、取りこぼしてきた感があるが、アーバネットリビングにより、ボリュームビジネスと言われるこの分野にも積極的に推進する。また、ケーナインのM&Aにより獲得したBtoC分野の経営資源(販売要員やノウハウ、顧客基盤など)の活用やシナジー創出にも取り組んでいく。 4. 弊社による注目点 弊社では、東京都心における投資用ワンルームマンションは、循環的な景気変動の影響や一時的な相場調整等により強弱を繰り返しながらも、周辺エリアへの波及を含めて持続的な成長が可能な市場であると見ている。特に、コロナ禍収束後においても、国際都市として発展を続ける東京の居住環境の改善及び進化には大きな可能性が残されている。また、ファンドやリート、クラウドファンディングなどを含め、投資対象(金融商品)としての不動産(特に、安定したキャッシュ・フローを生み出す賃貸収益物件)に注目が集まるなかで、優良物件の開発に定評のある同社の役割はますます重要なものになってくるだろう。その一方で、事業ポートフォリオの拡充及び安定収益源の確保は同社にとって重要な中長期的テーマである。とりわけ財務基盤の安定化は、リスク対応力はもちろん、新たな成長に向けた投資の原動力となるため、今回の新株予約権の発行をはじめ、業務提携やM&Aの実現は、持続的成長に向けた具体的な道筋をつけるものとして大いに評価できよう。 長期的な視点からは、国内人口が減少傾向をたどるなかで、持続的な成長を実現するために、新たな需要を取り込める分野へのチャレンジも視野に入れる必要があると考える。弊社では、これまで都心及び好立地にて、小さくても快適な居住空間を開発してきた同社にとって、そのノウハウやネットワークが生かせる宿泊施設やシニア向けマンションへの進出は成功確率が高いと見ている。また、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、同社ならではの取り組みも今後のカギを握るであろう。とりわけZEH仕様マンションの開発は、今後の方向性と新たな成長ポテンシャルを示すものとして期待したい。同社の設計・開発における強みを生かせる領域であるうえ、社会的な要請や政府の動きにも沿ったものであることから、景気変動にかかわりなく、着実に事業機会を創出できる可能性が高いと見ている。また、様々なパートナーとの協働により価値共創を図っていく事業スキームは、今後の事業拡大に向けたモデルケースとしても今後につながるものとなろう。新たなM&Aや業務提携の動きをはじめ、これまで専門領域に特化し、少数精鋭でやってきた同社が、どのように事業基盤を強化し拡大していくか注目していきたい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《SI》
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都市型賃貸マンションなどの不動産開発販売を手掛けるマンションデベロッパー。東京23区が主要開発エリア。ホテルアジール東京蒲田の運営を行うホテル事業も。販売先、不動産開発販売事業の多様化等に取り組む。 記:2024/10/11