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日産東HD Research Memo(4):収益バランスの良い事業構造となっている

2023/7/7 13:34 FISCO
*13:34JST 日産東HD Research Memo(4):収益バランスの良い事業構造となっている ■事業概要 1. 事業内容 日産東京販売ホールディングス<8291>は電動車※1を主軸に、カーライフに関するサービスをワンストップで提供しており、事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備、その他に細分される。2023年3月期における自動車関連事業の売上高構成比は約88%と大半を占め、そのうち半分以上が新車販売となっているが、利益は新車、中古車、整備、収入手数料、情報システムその他のバランスが良好である。日産自動車と日産東京販売の関係は、日産東京販売が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するというだけでなく、EVやプロパイロット、e-POWER※2、e-4ORCE(電動駆動4輪制御技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の拡充などを通じて、日産東京販売が日産自動車と消費者をつなぐ役割も担っている。 ※1 電動車:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER及びハイブリッド車を指す。 ※2 e-POWER:日産独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。 (1) 自動車関連事業 日産東京販売は日産自動車の新車を販売しており、もちろん取扱車種は日産車全車種である。一時期、他社ブランドと比べて日産自動車による新型車投入が少なかった期間もあるが、近年、日産自動車が積極的に新型車を投入するようになって、販売が活性化し新規顧客も増加傾向にある。これに伴い同社は、先端技術車の試乗を体感できるNISSAN TOKYO Virtual testdrive※を導入したり、多様化する顧客の期待やライフスタイルに合わせた「ニッサン・リテール・コンセプト(NRC:Nissan Retail Concept)」という新世代型店舗へのリニューアルを進めたりしているところである。なお、ルノー車については、日産東京販売社内においてルノー車専門のバーチャルカンパニーとして販売店5店舗を運営、全国のディーラーでNo.1の販売台数という実績を誇っている(2022年度ルノー・ジャポン(株)調べ)。 ※NISSAN TOKYO Virtual testdrive:パナソニックシステムズ(株)などと共同開発した、VRゴーグルを使用することなく、大型モニターによってバーチャルな試乗ができるシステム。ショッピングモール内の常設展示場に設置済み。先進技術の「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や、高速道路で使用できる運転支援技術「プロパイロット」、日産が誇るスペシャリティスポーツカーである「NISSAN GT-R」の迫力ある走行など、通常では味わえないクルマのワクワクをバーチャルで体験できるシステム。 (2) 個人リース「P.O.P」 少子高齢化や人口減少、自動車保有率の低下傾向などを背景に、全国で500万台程度と新車販売台数が横ばいで推移する時代になり、ディーラーが企業として成長するには、スケールメリットや集約化によって新車や中古車販売の収益性を高めるとともに、新車や中古車以外の成長ドライバーによる独自戦略を展開する必要がある。そこで注目されるのが、25年以上の歴史があり、東京都で約40%という高いシェアを誇る同社の個人向けカーリース「P.O.P」である。「頭金ゼロ・コミコミ・定額」の「P.O.P」は、特に自動車を所有するモノというより利用するモノと考える現代の消費者にとって、非常に利便性の高いサービスとなっている。また、同社にとっても、通常の買い替えサイクルが一般的に10年と言われるなか、個人リース「P.O.P」は7割以上の顧客が3年で次の新車に乗り替えるうえ、リピート率が9割以上に達するため、非常に販売効率の良いビジネスとなっている。同時に、保有期間が一般の半分以下という良質な中古車の仕入先にもなるというメリットがある。こうした個人リースの特徴に加え、シェアリングやリーシングの考え方が消費者は自動車業界に波及してきたこともあり、近年、他社も個人リースを強化しはじめた。消費者にとって選択肢が広がり、市場活性化につながることが期待され、同社の個人リースにとって追い風となると考えられる。 (3) 新車以外の自動車関連事業 新車のほか、中古車の買取・販売、その他整備・車検なども行っており、新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成している。中古車の買取・販売については、収益の1つの柱であると同時に新車の販売促進という側面も持っている。買取は、同社を含めた日産ディーラーネットワークが運営する「日産カウゾー」で、中間マージンを排除した高価買取を行っている。販売は、厳しいサービスレベルをクリアした同社のような「クオリティショップ」が、日産自動車による認定中古車を取り扱っており、充実した保証やアフターサービスも提供している。なお、日産自動車公式中古車サイトでは、20,000台近い中古車を比較検討することができる。 整備については、日産東京販売のストックビジネスの柱として展開しているが、子会社の大規模総合自動車整備会社エヌティオートサービスで、専業としての確かなサービス品質と最新鋭の設備によって板金・塗装や車検整備、納車整備などまで行っており、グループの整備を集中的に扱うセンター的な役割を果たしている。事業所は東京に7拠点、埼玉に1拠点あり、高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備40,172台、板金・塗装総台数17,964台という実績を誇る(2023年3月期)。車検については、日産東京販売のほかノンブランドの車検専門店「車検館」でも扱っている。「車検館」は東京、神奈川、埼玉、千葉に12店舗のネットワークを有し、全店が最新設備をそろえた指定工場で、国家資格を持つ検査員が確かな技術で検査することをセールスポイントにしている。 このほか、損害保険・生命保険の代理店や車両輸送・登録代行業務、日産車をベースにしたキャンピングカー専門のディーラー、不動産賃貸などを行っているが、こうした自動車販売周辺の事業へと多角化することで、グループとしてシナジーを高め、幅広いユーザーの獲得につなげている。 (4) 情報システム関連事業 東京日産コンピュータシステムは、マネージドサービスカンパニーとして全国の自動車ディーラーに対し、ハードウェアや統合型マネージドサービス「ITte(イッテ)」などソフトウェアの販売、及びデータセンターなどの情報資産の管理や運用・監視業務、業務効率化・生産性向上の支援を行っている。東証スタンダード市場に上場する東京日産コンピュータシステムは、同社の子会社(同社持分53.8%)だが、同社グループへの依存度が非常に低く、ほぼ独り立ちしている状態といえる。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、コロナ禍で進んだオンラインシフトや社会全般のDXを背景に成長を続けている。このような事業環境のなか、「お客様の未来を考えビジネスを共創するICTソリューション企業」をビジョンに、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、取引先の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。一方、DXが求められる同社に対して、顧客やこれまで販売してきた自動車、様々な使用状況など、グループで集積したビッグデータをビジネスに活かしていく仕組みを提供している。東京日産コンピュータシステムは、同社の販売効率化にとって非常に心強い存在ということができる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《SI》
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時価総額 28,720百万円
国内最大級の日産ディーラー「日産東京販売」を中核とする持株会社。ルノーNT販売、車検専門店「車検館」なども傘下に持つ。35万件の顧客基盤などが強み。サクラなどは受注順調。27.3期売上高1550億円目標。 記:2024/07/04