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ファンペップ Research Memo(5):乾癬治療薬「FPP003」は第1/2a相臨床試験が2022年内に終了

2022/3/17 15:35 FISCO
*15:35JST ファンペップ Research Memo(5):乾癬治療薬「FPP003」は第1/2a相臨床試験が2022年内に終了 ■主要開発パイプラインの動向 2. FPP003(乾癬、強直性脊椎炎) 「FPP003」は、大阪大学大学院医学系研究科及び大日本住友製薬との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IL-17Aを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-17Aは免疫反応に関するサイトカインの一つであり、幅広い免疫性疾患に関与しており、主なところでは乾癬や強直脊椎炎、乾癬性関節炎などの疾患原因となっている。同社はオーストラリアで乾癬を適応症とする第1/2a臨床試験を実施しており、国内でも適応症は明らかにされていないが医師主導治験の準備が始まっている。同社では従前、強直性脊椎炎での前臨床試験を行っていた。 (1) 乾癬 乾癬とは慢性の炎症性皮膚疾患のことで、その多くは尋常性乾癬と呼ばれる疾患となる。表皮細胞が異常増殖し、紅斑が現れて表面に鱗屑が付着して剥がれ落ちるなどの症状となる。患者数は国内で約43万人、米国で約800万人と言われている。治療法としては、軽症から中等症患者に対しては塗り薬などの局所療法が行われ、中等症から重症患者に対しては光線療法(紫外線照射)や内服療法(メトトレキサート、経口低分子医薬品等)が、また、これらの治療法が効かない患者には、抗体医薬品が使用されている。 同社の開発する「FPP003」は、抗体誘導ペプチドの特性から長期間にわたり治療効果が持続するものと考えられており、内服療法や抗体医薬品の患者層をターゲットとして「有効性」「安全性」「投与回数」により優位性を示すことで上市を目指している。作用メカニズムは抗体医薬品と同様のため、体内で十分な活性を持つ抗体を産生できれば上市まで進む可能性が高く、また価格面での優位性があるだけに抗体医薬品等の代替医薬品として市場に浸透していくものと弊社では予想している。抗IL-17A抗体医薬品としては「コセンティクス®」「トルツ®」などが販売されている。そのほか乾癬治療用抗体医薬品としては、抗TNFα抗体医薬品の「ヒュミラ®」や「レミケード®」なども使用されている。 前臨床試験における乾癬モデルマウスの薬効試験では、発赤や肥厚、白色鱗屑などの皮膚炎症状で有意な改善効果が確認されている。2019年4月よりオーストラリアで安全性と忍容性を確認する第1/2a相臨床試験がスタートしている。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で進捗が遅れていたものの、2022年内には臨床試験が終了し、結果が判明する見込みとなっている。同試験では乾癬患者を被験者としているため、薬効についてもある程度の結果が示されるものと思われる。このため、試験結果を分析してオプション契約先の大日本住友製薬が今後の開発方針を決定することになる。試験結果が良好なものであれば、大日本住友製薬がオプション権を行使して、北米での独占的開発及び販売ライセンス契約を締結したうえで、第2b相臨床試験を北米で進めていくものと予想される。同社はライセンス契約一時金やその後のマイルストーン収入を獲得できることになる。 (2) 強直性脊椎炎 強直性脊椎炎とは、青年期に発症する脊椎と仙腸関節を主な病変部位とする全身性の慢性炎症性疾患となる。病変部位では靭帯と骨との付着部位に炎症・骨化が起こり、疼痛、膨張、運動制限等がみられる。症状が進むにつれて、次第に脊椎や関節の動きが悪くなり、脊椎が強直(骨性に固まり動かなくなる)して日常生活能力が著しく低下するケースもある。原因は不明で国の指定難病にもなっている。治療法としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)が使用されているが、効果が不十分な場合や副作用の問題がある場合には、「コセンティクス®」や「ヒュミラ®」などの抗体医薬品が使用されている。 同社は2018年度よりAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、助成金(3年間で150百万円)により前臨床試験を進めてきた。脊椎関節炎モデルのラットを使った薬効試験では関節炎症状の改善効果が示されたことから、今後についても開発を継続していく考えだが、乾癬での開発を進めたい大日本住友製薬と協議のうえで決定していくものと見込まれる。 (3) 市場規模 乾癬や強直性脊椎炎等の治療薬となる抗IL-17A抗体医薬品の市場規模は、2020年の5,810百万米ドルから2025年には9,942百万米ドルと大きく成長することが調査会社で予測※されている。また、経口低分子医薬品「Otezla」(2020年2,200百万米ドル)も含めて考えると、2025年には12,000百万米ドルを超える市場規模となる。開発に成功すれば高額な抗体医薬品の代替として市場に浸透する可能性が高く、今後の開発の進展が期待される。なお、「FPP003」については2016年の開発当初から大日本住友製薬と共同研究を進めて研究開発リスクを共有してきた経緯から、マイルストーン総額の金額は一般的な水準よりも低く設定されているもようだ。一方、販売ロイヤリティ料率は一般的な水準と見られる。 ※Informa「Datamonitor Healthcare」(2021年11月) (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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創薬ベンチャー。機能性ペプチドを用いて医薬品の研究開発を行い、大阪大学や塩野義製薬などと共同研究を推進。アルツハイマー病ワクチンの研究を開始。研究開発費の減少等により、23.12期通期は損益改善。 記:2024/02/25