マーケット
7/5 15:15
40,912.37
-1.28
39,308.00
-23.85
暗号資産
FISCO BTC Index
7/6 0:33:27
9,089,767
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

ファンペップ Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで、抗体医薬品の代替医薬品の開発に取り組む

2022/3/17 15:32 FISCO
*15:32JST ファンペップ Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで、抗体医薬品の代替医薬品の開発に取り組む ■会社概要 1. 技術概要 ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科にて確立された機能性ペプチド※1のデザイン、創製、最適化の技術を実用化する目的で2013年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーである。社名のファンペップの由来は、機能(function)を持つペプチド(peptide)の可能性を追求し、新たな医薬品等の開発によって社会に貢献する企業になるとの想いを込めて名付けられたものである。同社の機能性ペプチドはヒト由来の抗菌ペプチド「AG30」※2を起源としており、安定性や製造コストの最適化に取り組むなかで現在の主要パイプラインの一つである「SR-0379」が開発された。また、アジュバント※3機能の最適化を進めるなかで、抗体誘導ペプチドのキャリアとなる「AJP001」※4が開発されている。なお、抗体誘導ペプチドは同社の登録商標となっている。 ※1 ペプチドとはアミノ酸が2~50個程度つながった化合物の総称で、アミノ酸がさらに多くつながった化合物をタンパク質と呼ぶ。ペプチドのなかにはインスリン、グルカゴンなど、ホルモンとして体内の器官の働きを調整する情報伝達を担う物質もあり、特定の機能があるペプチドを人工的に合成したものと機能性ペプチドと呼び、医薬品としても開発されている。 ※2 「AG30」はアミノ酸を30個つなげたペプチドで、血管新生作用や抗菌活性の機能を持つ。 ※3 アジュバントとはワクチン製剤に含まれ、免疫反応を増強する物質を指す。 ※4 「AJP001」は抗体誘導ペプチドを作るためのキャリア(自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を持つ)となり、標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープと組み合わせることで、多様な抗体誘導ペプチドを作ることが可能となる。 同社では「AJP001」を用いた抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」と呼んでいる。具体的には、「AJP001」と標的タンパク質のエピトープを組み合わることで抗体誘導ペプチドを創製する。この抗体誘導ペプチドを体内に取り込むことで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体が生み出され、疾患の症状を沈静化させるメカニズムとなる。それまで、ペプチドだけで抗体を作り出すということは免疫学の常識では考えられなかったことで、画期的な技術と言える。 抗体医薬品との違いは、抗体医薬品が「体外」で製造した抗体で高い薬効が見込めるものの、製造コストや薬価が高額な点が課題となっているのに対して、抗体誘導ペプチドは化学合成による大量生産が可能なため製造コストを低く抑えることができるほか、「体内」で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬効が長期間(数カ月間)持続する可能性のあることが優位点となる。即効性はないものの患者にとっては安価に治療でき、投与回数も少なくて済むと言ったメリットを享受できる。特に、製造コストについては抗体医薬品の1割程度の水準に抑えることが可能になると見られ、患者負担や医療財政負担の面からもメリットは大きい。 また、抗体誘導ペプチドの競合技術との比較では、既存の生物由来のキャリア(高分子)が抱えている課題点を解消できることも、「AJP001」の優位点として挙げられる。生物由来の既存キャリアについては、反復投与時に効果が減弱する可能性があること(標的タンパク質よりもキャリアに対して抗体が産生されるリスクがある)、製造上の品質確保の難易度が高いこと(生物由来で高分子のため品質管理が難しく、また、キャリアとエピトープの制御も難しい)、副作用リスクがあること(アレルギーやアナフィラキシー等が生じる可能性)などが挙げられる。 なお、知財戦略も進めており、「AJP001」に関する物質特許や用途特許が日米欧で成立または出願中となっているほか、各開発品の物質特許を取得または出願中となっている。直近では2021年6月に中国で「AJP001」の用途特許が成立したほか、同年9月に日本で「FPP003」の物質特許が成立している。 皮膚潰瘍治療薬で塩野義製薬とライセンス契約、乾癬治療薬で大日本住友製薬とオプション契約を締結 2. 会社沿革 同社は2013年に設立され、本格的に事業活動を始めたのは大阪大学との間で抗体誘導ペプチドの共同研究を開始した2015年に入ってからとなる。2015年10月には塩野義製薬との間で、機能性ペプチド「SR-0379」に関する全世界を対象としたライセンス契約を締結している。また、2016年9月には大日本住友製薬と標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチドの共同研究を開始したほか(2018年3月に開発コード「FPP003」としてオプション契約を締結)、2018年7月には塩野義製薬が「SR-0379」の皮膚潰瘍を適応症とする第2相臨床試験を国内で開始し、良好な結果を受けて同社が2021年6月より第3相臨床試験を開始している。「FPP003」についても乾癬を適応症とする第1/2a相臨床試験を、2019年4月からオーストラリアで進めている。直近では、2021年8月にメドレックスとマイクロニードル技術を用いた抗体誘導ペプチドの次世代製剤技術開発にかかる共同研究契約を締結したほか、2022年1月にはEPS創薬と中国での創薬事業の協業検討に合意したことを発表している。 また、創薬以外の分野として、化粧品や除菌スプレー等の成分の一部としてペプチド原薬の販売を行っている。具体例としては、2018年3月にファンケル<4921>が発売開始した「マイルドクレンジングシャンプー」で、特徴の一つとなっている「根活トリプル成分」の一つとして採用されたほか、2020年4月に(株)SMV JAPANが発売した「携帯アルコール除菌スプレー」等に採用されている。ただ、化粧品や除菌スプレー等での使用量は少なく、業績面への影響は軽微となっている。直近では2022年2月に次世代創傷用洗浄器の開発を目指し、ファインバブル技術のリーディングカンパニーである(株)サイエンスと共同開発契約を締結している。 なお、2020年12月に東京証券取引所マザーズ市場に株式上場を果たしており、2022年4月の市場区分見直し後は、グロース市場に移行する予定となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
関連銘柄 2件
4881 東証グロース
181
7/5 15:00
+2(%)
時価総額 4,678百万円
創薬ベンチャー。機能性ペプチドを用いて医薬品の研究開発を行い、大阪大学や塩野義製薬などと共同研究を推進。アルツハイマー病ワクチンの研究を開始。研究開発費の減少等により、23.12期通期は損益改善。 記:2024/02/25
4921 東証プライム
2,730
7/5 15:00
-15(%)
時価総額 355,864百万円
ファンケル化粧品、アテニア化粧品が柱の化粧品メーカー。サプリメントなど栄養補助食品関連事業等も手掛ける。機能性表示食品市場でトップクラスのシェア。ファンケルメンバーズアプリの登録者数は100万人超。 記:2024/05/02