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ファンペップ Research Memo(1):2022年内に皮膚潰瘍向け治療薬と乾癬治療薬の治験結果が判明する見通し

2022/3/17 15:31 FISCO
*15:31JST ファンペップ Research Memo(1):2022年内に皮膚潰瘍向け治療薬と乾癬治療薬の治験結果が判明する見通し ■要約 ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャー。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、機能性ペプチドに関しては、化粧品向け等にも少量だが販売している。 1. 抗体誘導ペプチドの特徴と優位性 同社独自の技術である抗体誘導ペプチドは、キャリア※1となる機能性ペプチド「AJP001」に標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープ※2を組み合わせることで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体を体内で産生できることが特徴となっている。生物由来のキャリアを用いる他の競合技術は、反復投与時に効果が減弱する可能性があることや製造上の品質管理が難しいことに加え、副作用を引き起こす懸念があったが、同社の抗体誘導ペプチドはこれらの課題を解消できるといった優位性を持つ。また、抗体医薬品と比較すると製造コストが1割程度の水準と大幅に低減できる可能性があるほか、体内で抗体が自己生成されるため、薬効の持続性といった面でも優位性があると見られ、抗体医薬品の代替薬になることが期待される。 ※1 キャリアは自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を果たす。 ※2 エピトープは、抗原決定基とも呼ばれ、免疫系、特に抗体、B細胞、T細胞によって認識される抗原の一部。抗原の表面にある1~6個の単糖、または5~8個のアミノ酸残基で構成される。 2. 主要開発パイプラインの動向 機能性ペプチド「SR-0379」は、現在国内で皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を適応症とした第3相臨床試験を実施しており、順調に進めば2022年内にトップラインデータを開示できる見通しだ。結果が良好であれば導出先である塩野義製薬<4507>※と協議のうえ2023年に販売承認申請を行い、2024年にも上市される可能性があると弊社では考えている。また、抗体誘導ペプチドでは尋常性乾癬を適応症とした「FPP003」の第1/2a相臨床試験をオーストラリアで実施しており、こちらも2022年内に結果が判明する見通しとなっている。結果が良好であれば、北米での独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結している大日本住友製薬<4506>がオプション権を行使して開発を進めていく可能性がある。そのほか、「FPP005」については適応症の最終決定に至っていないものの乾癬を候補として2023年の臨床試験入りを目指している。 ※塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を2015年に締結(契約総額は100億円)している。 3. 業績動向 2021年12月期の業績は、事業収益で126百万円(前期は2百万円)、営業損失で745百万円(同564百万円の損失)となった。事業収益は、「SR-0379」の第3相臨床試験入りに伴うマイルストーン収入の計上が増加要因となった。一方で研究開発費が前期の363百万円から662百万円に増加したことで、営業損失が拡大した。2022年12月期業績見通しについては、研究開発の進捗状況や新規提携候補先等との交渉状況に依存しており、不確実性が高いことから現時点では未定としている。なお、研究開発費については1,200~1,600百万円を見込んでおり、事業収益の計上がなければ営業損失は1,400~1,800百万円程度となる見通しだ。2021年12月期末の現金及び預金の残高は3,007百万円と2年弱の事業活動資金を確保しているが、2021年12月に第三者割当による新株予約権を発行しており、資金調達も進めていく予定にしている。 4. 成長戦略 同社では、今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に、2年に1本のペースでパイプラインを拡充していく方針となっている。また、アカデミアや周辺技術を持つ企業との提携も積極的に推進していく方針だ。具体的な取り組みとして、2021年8月にメドレックス<4586>とマイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術開発に関する共同研究契約を締結し、動物試験でマイクロニードル技術による薬効の効果検証を行っている。注射投与と比較して薬剤の投与量を少なくできる可能性及び薬効を向上できる可能性があり、今後の開発状況が注目される。また、2022年1月にはEPS創薬(株)と中国での創薬事業の協業検討について合意したことを発表している。同社の保有するパイプラインの中国市場での開発の可能性を探っていく。抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の市場規模は大きく、「FPP003」「FPP005」と同じ標的を持つ抗体医薬品だけでも2020年の167億米ドルから2025年には280億米ドルに成長するとの予測がある※。このため、「FPP003」の開発が順調に進めば、同社の抗体誘導ペプチド技術に対する注目度も高まる可能性があり、2022年内にも発表見込みの第1/2a相臨床試験の結果が注目される。 ※Inforama「Datamonitor Healthcare」(2021年11月) ■Key Points ・皮膚潰瘍向け治療薬の第3相臨床試験は2022年内に終了、トップラインデータが判明する見通し ・乾癬治療薬「FPP003」は第1/2a相臨床試験が2022年内に終了し、その後は大日本住友製薬と協議のうえ開発方針を決定 ・抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の世界市場規模は約522億米ドルで成長ポテンシャルは膨大 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
関連銘柄 4件
4506 東証プライム
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時価総額 160,752百万円
住友化学傘下の製薬会社。2005年に大日本製薬と住友製薬が合併して誕生。精神神経領域、がん領域が研究重点領域。非定型抗精神病薬「ラツーダ」等が主力製品。2型糖尿病治療剤「エクア」などの販売拡大図る。 記:2024/06/11
4507 東証プライム
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時価総額 1,940,558百万円
製薬メーカー。抗HIV薬や抗インフル薬など感染症分野に強み。24.3期3Q累計は海外子会社及び輸出の売上が増加。セフィデロコルが欧米で伸びる。ロイヤリティー収入ではHIVフランチャイズ販売が堅調。 記:2024/03/05
4586 東証グロース
156
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+4(%)
時価総額 6,855百万円
独自の経皮吸収型製剤技術を用いて新薬を開発。マイクロニードルの研究開発も。今年1月に承認再申請の帯状疱疹後疼痛薬は7月までに審査完了予定。1b相治験に成功の痒性麻痺薬候補は2相準備へ。継続前提に重要事象。 記:2024/03/12
4881 東証グロース
181
7/5 15:00
+2(%)
時価総額 4,678百万円
創薬ベンチャー。機能性ペプチドを用いて医薬品の研究開発を行い、大阪大学や塩野義製薬などと共同研究を推進。アルツハイマー病ワクチンの研究を開始。研究開発費の減少等により、23.12期通期は損益改善。 記:2024/02/25