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カドカワ Research Memo(4):出版事業が大きく伸長、アニメ・ゲーム事業も好調に推移

2021/6/7 15:54 FISCO
*15:54JST カドカワ Research Memo(4):出版事業が大きく伸長、アニメ・ゲーム事業も好調に推移 ■KADOKAWA<9468>の業績動向 2. 事業セグメント別動向 (1) 出版事業 出版事業の売上高は前期比10.5%増の129,576百万円、営業利益は同105.5%増の12,841百万円と大きく伸長した。紙書籍については業界全体が微減にとどまる※なかで、コロナ禍においても新刊点数でほぼ前期並みの水準を維持したこと、人気シリーズのコミックやライトノベル、児童書などの販売が好調だったことにより、売上高は前期比6.8%増となった。ジャンル別では、一般書が19%増、コミックスが6%増、ライトノベルが13%増、文庫が1%増とすべてのジャンルにおいて増収を達成している。 ※公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所調べ:2020年の紙書籍販売額は前年比0.9%減。 また利益面では、増収効果に加えて返品率が前期の32.3%から27.4%と大幅に低下したことも大幅増益に寄与した。返品率の改善要因としては主に2つ挙げられる。1つ目は、書店の過剰発注を削減すべく受発注システムのデジタル化にここ数年取り組んでおり、自動追送システムと書店専用発注端末(DOT)の導入店舗数が増加してきたこと、2つ目は在庫を持たないECストア経由の販売が前期比30%増と大きく伸長したことによる。 一方、電子書籍・雑誌については、売上高で前期比29.6%増の44,827百万円となり成長が加速した。市場全体が伸長している※ことに加えて、自社ストアの「BOOK☆WALKER」の新規ユーザー獲得を図るため、積極的なマーケティング施策を展開したこと、規模はまだ小さいものの海外向け売上も前期比22%増と順調に成長していることなどが要因だ。また、女性向けでは異世界転生ジャンルのコミックスも販売が好調だった。販路別の売上動向を見ると、「BOOK☆WALKER」経由の構成比が約2割、増収率で前期比29%となり、Amazon等の外販の構成比が約6割、増収率で同46%、残りがNTTドコモとの協業である「dマガジン」経由での販売となっている。 ※公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所調べ: 2020年の電子書籍販売額は前年比28.0%増。 (2) 映像事業 映像事業の売上高は前期比8.2%減の31,314百万円、営業利益は同7.1%増の2,274百万円となった。コロナ禍により一時的に映画館が休業あるいは座席数を制限しての営業を強いられたことにより、デジタル映画鑑賞券「ムビチケ」の販売やスタジオ事業の売上が落ち込んだことが減収要因となった。コロナ禍による売上高へのマイナス影響額は、約80億円と同社では試算している。 一方、利益面ではアニメ事業におけるメディアミックス戦略が奏功し、増益となっている。自社IPの海外権利許諾収入や他社ゲームへのIP活用などによる国内権利許諾収入の拡大が増益要因となった。北米、中国向けでは「Re:ゼロから始める異世界生活」「デカダンス」等が、国内他社ゲーム向けでは「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」「この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ」などが貢献した。 (3) ゲーム事業 ゲーム事業の売上高は前期比16.9%増の16,636百万円、営業利益は同114.6%増の2,744百万円となった。世界的なゲーム市場の拡大を受けて、「ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX」や「SEKIRO : SHADOWS DIE TWICE」「DARK SOULS」シリーズ等のリピート販売及び共同・受託開発事業が好調に推移したことや、海外権利許諾収入も伸長したことが増収増益要因となった。 なお、第4四半期(2021年1月~3月)だけで見ると、売上高で前年同期比4.6%増の4,261百万円、営業損失で202百万円(前年同期は201百万円の損失)と伸び悩んだ格好となった。売上面ではリピート販売が減速したこと、利益面では好業績を反映した人件費の増加(インセンティブ費用の増加)などが要因となった。 (4) Webサービス事業 Webサービス事業の売上高は前期比11.0%減の22,008百万円、営業利益は同24.8%減の2,096百万円となった。「ニコニコ」関連事業については、プレミアム会員数が減少(前期末比10万人減の153万人)したものの、有料生放送や「ニコニコチャンネル」等、多面的な課金機会の拡大により減収傾向に歯止めが掛かり、売上高は前期比横ばい水準となった。一方、費用面ではユーザーの利便性向上のためのサイトリニューアルへの投資、売上増加を企図したコンテンツの制作・獲得等に費用投下した。 一方、ライブ事業はコロナ禍によるリアルイベントの中止及びオンライン開催に切り替えた影響により、売上高で約22億円の減収要因となった。ただ、同事業はプロモーション的な位置付けとなっているため、利益への影響は軽微となっている。なお、オンラインで開催したイベント「ニコニコネット超会議2020」「ニコニコネット超会議2020夏」「Animelo Summer Night in Billboard Live」などは好評を博した。モバイルコンテンツ配信ビジネスについては減収減益となったが、利益は確保している。 (5) その他事業 その他事業の売上高は前期比10.4%減の17,463百万円、営業損失は4,491百万円(前期は2,583百万円の損失)となった。教育事業については、インターネット上の通信制高校「N高等学校」で生徒数が順調に増加し、ドワンゴによる同校などへの教育コンテンツ提供が拡大したほか、クリエイティブ分野のスクール「バンタン」の生徒数も順調に推移したことで、売上高は前期比15.7%増の8,777百万円と過去最高を更新した。利益面でも、バンタンの新校舎設立など投資が拡大したものの、「N高等学校」向けビジネスの貢献で順調に推移した。 コトビジネスでは2020年11月に「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)をグランドオープンし、アニメホテルなど新規事業の売上が貢献したものの、その他のインバウンド関連事業がコロナ禍で低調となった。また、MD事業についてもコロナ禍の影響で、イベント参加権付きCDの発売延期等で大幅減収となった。コロナ禍による売上高へのマイナス影響額は、コトビジネスで約10億円、MD事業で約45億円となった。利益面でも、減収による売上総利益減に「ところざわサクラタウン」の立ち上げ費用が加わり、損失拡大要因となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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出版大手。旧KADOKAWAとドワンゴが経営統合して発足。映像制作やゲーム開発、グッズ販売なども手掛け、コアファンを抱えるIPを多数保有。出版セグメントで国内市場縮小の影響もあり、3Q累計は利益足踏み。 記:2024/02/09