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個人ブロガー三竿郁夫氏:【2023年 GXの最前線が動き出す】【FISCOソーシャルレポーター】

2023/1/6 17:00 FISCO
*17:00JST 個人ブロガー三竿郁夫氏:【2023年 GXの最前線が動き出す】【FISCOソーシャルレポーター】 以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人ブロガー三竿郁夫氏(ブログ「IA工房」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。 ---- 2022年は、2020年から続くコロナ禍と新たな惨劇“ロシアのウクライナ侵攻”に世界の国々が翻弄され経済活動にも大きな影響が生じた年であった。2021年まで、“カーボンニュートラル”をキーワードに国連やIPCCからの情報発信、各国のCO2削減目標設定の動きが多いに加速し、重点項目である再生エネルギーやEV関連企業からも続々とアグレッシブな発表が相次いだ。しかし、2022年“ロシアのウクライナ侵攻”がもたらしたエネルギー危機や経済制裁が、グローバル物流の停滞・混乱をひき起こし多くの産業がさらなる激動の時代に入った。2022年石油や天然ガス不足問題を抱えた国々は、CO2削減を棚に置き、あらゆる手段でエネルギー危機を乗り越えようとする動きに出た。 地球環境問題を代表する温暖化抑制対策の重要性とその対策の方向性は本質的には変わっていないのだが、最近は“カーボンニュートラル”という言葉よりも “GX(グリーントランスフォーメーション)”という言葉が多く使われるようになった。どの産業もデジタル技術を駆使した変革に期待がかかり、DX関連株に続きGX関連株という言葉も使われ始めている。環境問題解決のための世界経済の大きな流れとして、ESG投資、SDG投資、GX投資等々、いろいろな言葉が乱れ飛び、2023年度の政府予算では、DX・GXという言葉が重要枠になっている。 “カーボンニュートラル”の実現や“エネルギー安全保障”の問題は、複雑でグローバルな課題が山積みで2023以降、どの業界の企業もGXの動向に大なり小なり業績が影響されていくことは間違いなく、それぞれの企業がこの新しい動きの中でどの立ち位置にあり、どう対処していくべきかの模索が続くだろう。ロシアへのエネルギー依存率の高いヨーロッパに比べれば日本への影響は少ないように思えるが、これからの株式市場を予測する上で、ヨーロッパ、米国、アジアのそれぞれの状況の複雑な絡み合いやそれぞれの地政学的なインフラ・プロセスの大きな変革とそのリスクをしっかりと見極め“DXを活用したGX”がどのような企業で動き出しているかに注目したい。“GXを牽引する動き”という視点で最前線の情報を集めてみる。 < GXを牽引する動き (DXの活用にも注目) > 1.地球を覆うCO2の吸収・回収を目指す動き ・戸田工業<4100>は、CO2を吸収する特殊材料ナトリウムフェライトを活用したCO2吸収装置のビジネスに取り組もうとしている。現在1日1トンの吸収能力を持つ装置が開発されているが、その1トン回収経費は、現在6000円程度。そのビジネスの行方は、その経費の削減が、CO21トンあたりの炭素税やカーボンプライシングの金額 (1トン当たりの着地点)に見合うかどうかにかかっている。 ・膨大な熱処理を行う基幹産業では、多量のCO2を排出している。自責として回収・貯蔵するCCS/CCUS技術の導入が求められている。日本製鉄<5401>は、年間CO2排出量約1億トンを、2030年までに30%(2013年比)の削減を目指してきた。その一つ“COURSE50”プロジェクトでCO2分離回収技術の開発と実用化を目指している。ここでも1トンあたりの分離回収コストが重要となるが、1トン2000円程度の見通しを得たようだ。 ・森林はCO2を吸収するが、政府が予算を組んでいるスマート林業の取り組みにも期待したい。 住友林業<1911>は、ICTプラットフォーム会社 ASロカス株式会社<未上場>と提携して、航空レーザー計測を基に森林の資源量解析、森林管理、森林計画を支援している。 ・こういったCO2吸収/回収の動きとDXはどう関連するのか? CO2吸収・回収関連のビジネス化には、カーボンプライシングやカーボンオフセットの可視化や取引マッチングのインフラの構築が重要となってくる。そこに目をつけた株式会社Linkhora<未上場>のようなプラットフォーム会社も出現している。 2.需要側の必要エネルギーを減らす省エネルギーおよび需給調整最適化の動き ・ ロシアのウクライナ侵攻により引き起こされたヨーロッパでのガス危機で、ロシアのガスに頼らない暖房が見直され、ダイキン工業<6367>の省エネ機器、ヒートポンプ暖房の需要が増えている。 ・再生エネルギー比率が向上すると電力の需要と供給のバランスが大きな課題になる。そこで注目されているDXが自動デマンドレスポンス(ADR)や仮想発電所(VPP)だ。NEC<6701>や富士通<6702>、東京電力HD<9501>グループの東京電力ベンチャー<未上場>がその開発に取り組んでいる。 ・Jパワー<9513>は、愛知県春日井市の水道施設での電力需要を制御するデマンドレスポンスによる電力の有効利用を開始している。 3.石炭・石油・ガスをクリーンエネルギーに代替えすることを推進する動き ・海運大手は、重油に変わる代替燃料で運行する船への切り替えを推進する。川崎汽船<9107>は、 GoodFuels社(オランダ)からバイオ燃料を調達し、試験航行を行なった。 ・ユーグレナ<2931>は、バイオ燃料“サステオ”を開発製造し、東京都とバイオ燃料導入促進事業に係る協定を締結した。 ・住友商事<8053>は、タイの化学メーカーGGCと提携し、農産物の搾りかすなどを活用しバイオエタノールの量産を検討している。 ・ANA<9202>は、代替燃料も推進しているが、それに加えて、IT技術を駆使して、飛行ルートや運行方式を入念に修正し、CO2の低減に努めている。 代替燃料を使用する場合、一般的にその混合比率を評価しながら徐々に変えていく。 その時のプロセスデータや品質データの評価にはIoT/AI技術を活用したDXが有用である。 4.再生エネルギー比率向上のためのコストや効率の難題に挑戦する動き ・太陽光発電では、設置効率を上げていくフィルム型ペロブスカイトの実用化が重要技術だ。積水化学<4204>は、発電効率15%のフィルム型太陽電池の製造に成功し、東京都の下水道施設への適用性検証に入った。 ・NEC<6701>は、分散するエネルギーリソースをICTで統合制御する技術を活用した「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」で企業や自治体に自己託送(*1)する新メニューを2023年4月から提供開始する。 (*1) 自己託送 : 自家用発電設備を保有する者が、自家用発電設備を用いて発電した電力を一般送配電事業者が保有する送配電ネットワークを介して、別の場所にある事業所等に供給すること 5.“ひと”と“もの”の移動に変革をもたらす“顧客中心のサービス”MaaSの動き フィンランドの環境政策とITS戦略から生まれた“MaaS”Whim(*2)が世界的に注目され、日本のMaaSも動き始めた。EV比率を高めることもCO2削減には重要だが、MaaSの登場で自動車という巨大産業が他の産業と連携して産業構造・社会構造に変化をもたらすことが予想され、“シェアエコノミー”にもつながるGXの大きなテーマともなっている。 (*2)Whim: 1つのアプリでバス、タクシー、自転車シェア、カーシェアなど様々な交通手段を組み合わせて、最適な移動体験を提供するフィンランドで生まれたサービス。 ・ソフトバンクG<9984>とトヨタ<7203>の共同出資会社MOMETは、顧客中心のモビリティサービス (医療MaaSや行政MaaS等)の事業を開始している。 ・三井不動産<8801>は、Whimアプリを提供するMaaS Global (フィンランド)と提携し、“不動産+MaaS”のサービス「&Move」を三井不動産グループが開発・運営する商業施設・ホテル・マンションへ導入する。 ・ENEOS<5020>は、EV化/MaaSの流れに沿ってガソリンステーションの立地を生かし、電動自転車、スクーター、超小型 EV の貸出返却拠点となるシェア型マルチモビリシティステーションを埼玉県で展開している。 日本のMaaSの動きは、まだほんの入り口で、2030年のMaaS市場規模は400億米ドルとの予測も出ている(2022年3月リサーチステーションの予測)。 上記で挙げた“GXを牽引する動き”の例のように重要な課題に挑戦している会社に期待をかけ、今後もその動向に着目した情報を発信していきたい。 執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表 ブログ名:「IA工房」 《TY》
関連銘柄 17件
1911 東証プライム
5,360
5/2 15:00
+1(%)
時価総額 1,078,512百万円
住宅メーカー大手。木造建築に強み。国内外に社有林を有す。木材・建材製造も。海外は米・豪を軸に開拓。木材建材事業は足踏み。資源環境事業は売上堅調。23.12期通期は増収。24.12期は増収増益見通し。 記:2024/04/13
2931 東証プライム
521
5/2 15:00
-5(%)
時価総額 70,163百万円
ミドリムシを使用した健康食品や飲料、サプリメント等のヘルスケア商品に加え、化粧品、バイオ燃料を研究、開発、販売する。青汁のキューサイを傘下に持つ。23年12月期は新規連結化やバイオ燃料が寄与。損失は縮小。 記:2024/04/08
4100 東証スタンダード
2,054
5/2 15:00
-23(%)
時価総額 12,527百万円
金属化合物素材メーカー。磁性粉末材料や顔料、環境材料の機能性顔料と、磁石材料や誘電体材料等の電子素材を提供する。二次電池正極材も手がける。今期3Q累計は機能性顔料の需要回復が遅れた。電子素材も足踏み。 記:2024/04/14
4204 東証プライム
2,229.5
5/2 15:00
-44(%)
時価総額 1,033,389百万円
高機能樹脂、環境・ライフライン、住宅が柱。医療事業などメディカル事業も手掛ける。高機能プラスチックス部門は堅調。モビリティ分野は自動車関連の需要が回復。特別利益計上。24.3期3Q累計は2桁最終増益。 記:2024/03/04
5020 東証プライム
704.7
5/2 15:00
-3.4(%)
時価総額 2,276,380百万円
大手エネルギーグループ会社。石油元売りトップ。サービスステーションの運営や石油・ガス開発、金属資源開発、製錬を行う。今期3Q累計は原油価格や金属価格の下落が影響も、在庫影響を除き営業増益となった。 記:2024/04/16
5401 東証プライム
3,473
5/2 15:00
-3(%)
時価総額 3,300,465百万円
国内最大、世界有数の製鉄会社。自動車用鋼板、電磁鋼板、高級シームレス鋼管で実績。日鉄エンジニアリングなどを傘下に収める。製鉄部門は増収。システムソリューション部門は堅調。24.3期3Qは2桁増収。 記:2024/02/25
6367 東証プライム
22,090
5/2 15:00
+55(%)
時価総額 6,474,888百万円
エアコン世界首位。世界で唯一、空調と冷媒の両方を手掛け、インバータ搭載機に定評。フッ素樹脂も展開。換気や除菌機能搭載商品、IoT活用サービスなどにも注力。業容好調で売上高、営業利益ともに過去最高を更新。 記:2024/02/06
6701 東証プライム
11,170
5/2 15:00
-25(%)
時価総額 3,047,735百万円
大手ITサービス会社。システム構築やコンサル、サポート等のITサービスと、テレコムサービスや航空宇宙防衛の社会インフラが柱。通信インフラで国内トップ。今期3Q累計はITサービスと航空宇宙防衛が堅調に推移。 記:2024/03/09
6702 東証プライム
2,463
5/2 15:00
+33(%)
時価総額 5,101,139百万円
国内最大、世界有数のITサービス企業。通信インフラやストレージ、サーバー、電子デバイスを展開。官公庁、金融向けに強み。24.3期2Qは小幅増収。サービスソリューションが売上下支え。コンサル等の需要が拡大。 記:2024/01/16
7203 東証プライム
3,581
5/2 15:00
-24(%)
時価総額 58,423,968百万円
自動車メーカー最大手。自動車生産台数で世界トップ。コンパクトカーやセダン、SUV、ワゴン、商用車、トラックを製造、販売する。ダイハツや日野を傘下に持つ。今期3Q累計はHEVを中心に販売台数が増加した。 記:2024/02/29
8053 東証プライム
4,300
5/2 15:00
+180(%)
時価総額 5,381,760百万円
総合商社大手。鋼管、メディアなどの非資源に強み。資源は非鉄金属が柱。24.3期3Q累計は自動車や建機が堅調。だが非鉄・化学品の市況が軟化。人件費増も利益の重石に。通期最終益反落を計画も連続増配を継続予定。 記:2024/02/07
8801 東証プライム
1,618.5
5/2 15:00
+30.5(%)
時価総額 4,549,011百万円
大手不動産会社。オフィスビルや商業施設の賃貸を主力に、マンションや住宅の分譲、不動産仲介、管理、ホテルやリゾート施設の運営も行う。今期3Q累計は売上高、利益ともに過去最高を更新した。賃貸と施設営業が増加。 記:2024/04/01
9107 東証プライム
2,142.5
5/2 15:00
+11.5(%)
時価総額 1,531,305百万円
海運国内3位。持分法会社にコンテナ船のONE社。ドライバルク船や自動車船・内航海運に実績。倉庫管理や陸上輸送等も。LNG船や電力炭船、大型原油船等は順調に稼働。24.3期3Qはエネルギー資源部門が増収。 記:2024/02/10
9202 東証プライム
2,996.5
5/2 15:00
-4.5(%)
時価総額 1,451,187百万円
大手航空会社。国内線と国際線トップの全日空が中核。国内線や国際線、貨物運送を展開する。傘下にLCCのピーチやエアージャパン。今期3Q累計は国際線、国内線が好調だった。営業益は過去最高を大幅に更新した。 記:2024/03/03
972.8
5/2 15:00
+23.8(%)
時価総額 1,563,307百万円
電力事業を行う東京電力グループの事業持株会社。福島第一原発の廃炉作業や賠償・除染事業に重点。フュエル&パワー部門は黒字転換。燃料費調整制度の期ずれの影響が好転。営業費用減少。24.3期3Qは黒字転換。 記:2024/02/25
9513 東証プライム
2,688
5/2 15:00
+6.5(%)
時価総額 492,041百万円
電力会社への電力供給を展開。大規模石炭火力発電所や大規模水力発電所を手掛け、風力発電所の建設で国内トップレベルの実績。送変電や広域送電線の運営・開発も事業領域。販売電力量の減少もあり、3Q累計は足踏み。 記:2024/02/04
9984 東証プライム
7,793
5/2 15:00
+4(%)
時価総額 13,426,981百万円
大手投資会社。傘下にビジョンファンドや通信会社、LINEヤフー等を持ち、AIやインターネット等の分野の企業に投資。今期3Q累計は増収、利益は改善傾向となった。デリバティブ関連や公開投資先の株価上昇が寄与。 記:2024/02/10