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後場に注目すべき3つのポイント~景気懸念が広がるなかでの年内テーパリング観測

2021/8/19 12:19 FISCO
*12:19JST 後場に注目すべき3つのポイント~景気懸念が広がるなかでの年内テーパリング観測 19日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は反落、景気懸念が広がるなかでの年内テーパリング観測 ・ドル・円はしっかり、ドル買い継続で ・値下がり寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位がファーストリテイリング<9983> ■日経平均は反落、景気懸念が広がるなかでの年内テーパリング観測 日経平均は反落。191.48円安の27394.43円(出来高概算4億9000万株)で前場の取引を終えている。 18日の米株式市場でNYダウは続落し、382ドル安となった。7月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で年内にも量的緩和縮小(テーパリング)を開始する可能性が示唆され、引けにかけて売りに拍車がかかった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も0.9%の下落となり、「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は節目の20超に上昇。本日の東京市場でもこうした流れを引き継ぎ、日経平均は187円安からスタートすると、寄り付き直後に一時27357.54円(228.37円安)まで下落した。引き続き27500円を下回る局面では押し目買いや買い戻しの動きがあって下げ渋る場面もあったが、中国・上海株や香港株が軟調な出足となって再び弱含んだ。 個別では、レーザーテック<6920>、トヨタ自<7203>、ソニーG<6758>などが軟調で、郵船<9101>やソフトバンクG<9984>も小安い。三井物産<8031>が5%超下落し、日本製鉄<5401>やJFE<5411>の下落も目立つ。NY原油先物相場が大幅続落し、景気敏感色の強い市況関連株の売りにつながっているようだ。また、明治海<9115>、三菱製鋼<5632>、東海カ<5301>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、塩野義<4507>や中外薬<4519>は新型コロナウイルス治療薬・ワクチンの開発を巡り大きく上昇。ZHD<4689>も上げが目立つ。和洋菓子の値上げを発表した山崎パン<2212>が急伸し、米社とのライセンス契約締結を発表したわかもと<4512>はストップ高。MBO(経営陣の参加する買収)実施のオンリー<3376>はストップ高水準での買い気配が続いている。 セクターでは、鉄鋼、鉱業、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは医薬品と情報・通信業の2業種のみだった。東証1部の値下がり銘柄は全体の65%、対して値上がり銘柄は30%となっている。 本日の日経平均は海外株安が嫌気され、3ケタの下落で前場を折り返した。個別・業種別では、一昨日と同様に市況関連セクターが軟調。日本製鉄などの日足チャートを見ると足元の軟調ぶりが際立っている。海運業も買いが続かず失速する展開。一方、新型コロナ治療薬・ワクチンを巡る材料から医薬品が堅調だが、内需・(景気変動の影響を受けにくい)ディフェンシブセクターへの投資資金シフトも感じる。東証1部上昇率上位を見ても、ヘルスケアのSMS<2175>などが顔を出している。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりと低調。決算発表の一巡、それに26日からの米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前にした様子見ムードから積極的な売買は期待しづらい。 新興市場ではマザーズ指数が+0.71%と続伸。前日の朝方、昨年8月以来およそ1年ぶりに節目の1000ptを割り込む場面があったが、その後強いリバウンドを見せた。一昨日の当欄で示唆したとおり、決算発表通過で追い証(追加担保の差し入れ義務)発生レベルの急落銘柄が減ったことは安心感につながっているだろう。QUICK社の算出する信用評価損益率は13日申し込み時点で-10.24%と4週間ぶりに改善した。これまでの下落による値ごろ感に加え、マクロ経済の影響が相対的に小さいとみられる点なども新興株の買いを誘いそうだ。もっとも、マザーズ指数も前場中ごろに本日の高値を付けると伸び悩み。株式相場全体の地合いに抗うほどの強さまでは感じられない。明日は3週間ぶりのIPO(新規株式公開)があるため、その動向からも個人投資家のセンチメントを探りたい。 さて、前日のNYダウは引けにかけて下げ幅を広げ、日足チャートで長めの陰線を付ける格好となった。まだまだ「高値圏での調整」と捉える向きが多い一方、シクリカル(景気敏感株)、グロース(成長株)、ディフェンシブが揃って売られるなど引け味の悪さを懸念する声も聞かれた。「長期金利は比較的落ち着いている」との指摘はあるが、ミシガン大学の8月消費者態度指数が発表された先週末以降、株式が堅調な場面でも一貫して低下(債券価格は上昇)してきたためだろう。7月小売売上高の発表後に下げ渋る場面も見られたものの、反騰の兆しは見られない。原油先物相場の下落などからも世界経済の減速懸念が強まっていることが窺える。 実際、7月の米住宅着工件数が3カ月ぶりに減少するなど、このところ市場予想を下回る経済指標が目立つ。また、米バンク・オブ・アメリカ(BofA)が公表した8月の機関投資家調査では、世界の景気見通しを示す指数(「強くなる」から「弱くなる」の回答を引いたもの)が+27%と前月比20pt低下し、昨年4月以降で最も低い水準になったという。一方で、7月のFOMC議事要旨では年内にもテーパリングを開始する可能性が示唆された。年内のテーパリング開始観測自体は以前からあったが、むしろ足元で広がるのは「テーパリング開始時には既に景気後退局面入りしているのでは」という「政策エラー」への懸念だろう。 ちなみに前述の調査結果に絡んでかどうかは定かでないが、前日の先物手口ではBofA証券が東証株価指数(TOPIX)先物を売り越していた。短期筋のものとみられるクレディ・スイス証券の日経平均先物、TOPIX先物買い越しも観測されたが、景気減速懸念から米長期金利が伸び悩む局面で海外勢が日本株のエクスポージャー(投資残高)を高めるとは考えにくい。今秋の衆院解散・総選挙や、それに先立ち期待される経済対策による日本株持ち直しシナリオを描く市場関係者も多いが、筆者は懐疑的にみている。「日本株は割安」との主張も、見方を変えればそうと言えない。紙面の都合でこのあたりの詳細はまた後日説明したい。 さて、足元で香港ハンセン指数の下落率は1.5%前後まで拡大してきた。根強い押し目買いが入っているとはいえ、後場の日経平均も引き続き軟調な展開になるとみておきたい。(小林大純) ■ドル・円はしっかり、ドル買い継続で 19日午前の東京市場でドル・円はしっかりとなり、109円後半から110円前半に水準を切り上げた。前日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨はタカ派的な内容となり、ドル買いが継続。一方でクロス円の上昇は抑制され、アジア株安が警戒される。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円76銭から110円12銭、ユーロ・円は128円47銭から128円70銭、ユーロ・ドルは1.1684ドルから1.1719ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・ホットマン<3190>、北日本紡績<3409>など、7銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値下がり寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位がファーストリテイリング<9983> ■経済指標・要人発言 【経済指標】 ・豪・7月失業率:4.6%(予想:5.0%、6月:4.9%) ・豪・7月雇用者数増減:+0.22万人(予想:-4.31万人、6月:+2.91万人) 【要人発言】 ・豪統計局 「7月の失業率は労働市場の強さとみるべきではない」 ・オアNZ準備銀行総裁 「ロックダウンがなければ、政策金利を引き上げた可能性がかなり高い」 「政策金利を中立水準に向け徐々に引き上げる方針」 「18カ月で住宅価格を引き下げる計画」 <国内> 特になし <海外> 特になし 《CS》
関連銘柄 22件
2175 東証プライム
1,653
11/22 15:30
+48.5(%)
時価総額 144,740百万円
医療系職種向けキャリアサービス、介護・障害福祉系職種向けキャリアサービス等を手掛ける。介護事業者向け経営支援プラットフォーム「カイポケ」等も。カイポケは有料オプションサービスの利用拡大などで順調に成長。 記:2024/06/03
2212 東証プライム
2,837
11/22 15:30
+3(%)
時価総額 624,943百万円
国内最大の製パン会社。1948年設立。菓子パンに強み。コンビニ「デイリーヤマザキ」の運営等も。不二家、東ハトなどを傘下に持つ。配当性向30%目標。食パン部門は主力の「ロイヤルブレッド」などの販売が順調。 記:2024/06/25
3190 東証スタンダード
580
11/22 14:30
+2(%)
時価総額 4,220百万円
東北地盤のメガフランチャイジー。イエローハットを軸に、TSUTAYAやダイソーなども展開。冬タイヤ需要のある3Qが繁忙期。店舗数は120店舗超。TSUTAYA事業では書籍、文具の品揃え強化を図る。 記:2024/06/03
3376 東証1部
761
1/17 14:49
+1(%)
時価総額 4,545百万円
ビジネスウェアブランド「オンリー」が主軸のアパレル。オーダーメイドに強み。21.8期はコロナ長期化が痛手。経費削減も利益は水面下に。今年8月にMBOを発表。10月にTOB成立し、同社株は上場廃止の見通し。 記:2021/11/15
3409 東証スタンダード
76
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,633百万円
アラミド繊維原料など合繊紡績糸の製造・販売を行う。帝人からの受託生産が多い。中東向け民族衣装用生地なども手掛ける。中部薬品工業を傘下に収める。防犯防災セキュリティ管理システム販売でリコーリースと業務提携。 記:2024/10/28
4507 東証プライム
2,094.5
11/22 15:30
+35.5(%)
時価総額 1,863,334百万円
製薬会社大手。1878年創業。抗HIV薬、抗インフル薬など感染症分野に強み。自社創薬比率が高い。HIVフランチャイズなどロイヤリティー収入が収益源。国内における急性呼吸器感染症薬の販売拡大などを図る。 記:2024/08/06
4512 東証スタンダード
238
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 8,291百万円
医療用眼科用剤等を手掛ける医薬事業、強力わかもと等のヘルスケア事業、グローバル事業等を展開。1929年設立。29.3期ROE8%以上目標。グローバル事業では乳酸菌事業の拡大、強力わかもとの販路拡大図る。 記:2024/07/26
4519 東証プライム
6,270
11/22 15:30
-113(%)
時価総額 10,527,694百万円
大手製薬企業。1925年創業。スイス製薬大手のロシュ傘下。がん領域医薬品、抗体医薬品で国内トップシェア。独自の抗体エンジニアリング技術などが強み。成長領域や新規領域へ集中したリソース投入などを行う。 記:2024/08/01
4689 東証プライム
415
11/22 15:30
-3.4(%)
時価総額 2,967,084百万円
ヤフー、LINEなどの再編で2023年に誕生。グループ会社にアスクル、出前館、PayPay、ZOZOなど。LYPプレミアムは有料会員の拡大図る。「LINE Pay」は25年4月末に国内サービスを終了予定。 記:2024/06/28
5301 東証プライム
933.9
11/22 15:30
+6(%)
時価総額 210,074百万円
炭素・黒鉛製品メーカー。黒鉛電極、カーボンブラックで国内トップシェア。ファインカーボン事業、アルミ電解用のカソード等も手掛ける。ファインカーボン及び工業炉に積極投資。26.12期売上高4580億円目標。 記:2024/10/20
5401 東証プライム
3,125
11/22 15:30
+12(%)
時価総額 2,969,753百万円
国内最大、世界有数の製鉄会社。自動車用鋼板、電磁鋼板、高級シームレス鋼管で実績。日鉄エンジニアリングなどを傘下に収める。米鉄鋼大手USスチール買収へ。中国減速で需要や市況は伸び悩み。原材料高も響く。 記:2024/06/24
5411 東証プライム
1,757
11/22 15:30
+7.5(%)
時価総額 1,123,493百万円
国内2位の鉄鋼メーカー。日本鋼管と川崎製鉄の経営統合により発足。鋼板を中心に多数の高付加価値製品を抱え、自動車用高級鋼板に強み。価格転嫁進める。高付加価値製品比率高まる。構造改革と海外拡大も進める。 記:2024/06/25
5632 東証プライム
1,400
11/22 15:30
+16(%)
時価総額 21,993百万円
三菱グループの特殊鋼メーカー。1917年創業。自動車や建機、鉄道向け等の特殊鋼鋼材、ばねが柱。素形材事業、磁力選別機などの機器装置事業等も。25.3期はばね事業で精密部品の大型案件の量産開始等を見込む。 記:2024/07/26
6758 東証プライム
2,948
11/22 15:30
-3.5(%)
時価総額 18,404,653百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
8031 東証プライム
3,305
11/22 15:30
+35(%)
時価総額 10,005,514百万円
大手総合商社。鉄鉱石や原油・LNGなど資源分野に強み。機械・インフラ、化学品、生活産業などの事業を多角的に展開。インドネシアのパイトン発電事業の持分売却は完了。中計では26.3期当期利益9200億円目標。 記:2024/06/04
8035 東証プライム
22,250
11/22 15:30
+470(%)
時価総額 10,493,834百万円
世界的な半導体製造装置メーカー。TBSの出資で1963年に設立。塗布現像、ガスケミカルエッチング、拡散炉などで世界トップシェア。配当性向50%目処。研究開発投資を積極化。固定費の最適化などにも取り組む。 記:2024/07/07
9101 東証プライム
4,975
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 2,293,475百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
9115 東証スタンダード
698
11/22 15:30
-3(%)
時価総額 25,128百万円
LNGタンカーや自動車専用船などの保有・運航、船舶管理等を行う外航海運業が主力。1911年創業。ホテル関連事業、不動産賃貸業も。今期はホテル関連事業部門の増収増益見込む。旅行需要の回復が引き続き寄与へ。 記:2024/06/18
9983 東証プライム
49,020
11/22 15:30
+550(%)
時価総額 15,599,193百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17