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後場に注目すべき3つのポイント~「リスクオフ」でなく「リスクヘッジ」?

2020/10/29 12:51 FISCO
*12:51JST 後場に注目すべき3つのポイント~「リスクオフ」でなく「リスクヘッジ」? 29日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は4日続落、「リスクオフ」でなく「リスクヘッジ」? ・ドル・円は小じっかり、米国株の反発期待で ・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がソフトバンクG<9984> ■日経平均は4日続落、「リスクオフ」でなく「リスクヘッジ」? 日経平均は4日続落。156.53円安の23261.98円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。 28日の米株式市場でNYダウは大幅に4日続落し、943ドル安となった。欧米で新型コロナウイルス感染が再拡大しており、ドイツやフランスが行動規制を強化したことで欧州株は大幅に下落。米国株も欧州株安を嫌気したうえ、大統領選を巡る不透明感が重なって大きく値を下げた。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで247円安からスタート。ただ、寄り付きをこの日の安値に下げ幅を縮めると、23200円台でもみ合う展開となった。ソニー<6758>などの好決算銘柄に買いが入ったほか、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れによる相場下支えが期待されたようだ。 個別では、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>、日本電産<6594>などがさえない。第3四半期決算が減益となった花王<4452>は売りが先行したものの下げ渋り。今期予想が市場コンセンサスに届かなかったサイバー<4751>は3%超の下落。また、今期大幅赤字見通しが嫌気されたぐるなび<2440>は東証1部下落率上位に顔を出している。一方、前述のソニー<6758>は売買代金トップで6%を超える上昇。今期営業利益見通しを従来の6200億円から市場予想コンセンサスを上回る7000億円(前期比17.2%減)に上方修正している。コマツ<6301>や日立<6501>も決算を受けて堅調。大日住薬<4506>やNRI<4307>はソニーと同様に大幅高となり、メルコ<6676>はストップ高を付けている。 セクターでは、証券、石油・石炭製品、鉄鋼などが下落率上位で、その他も全般軟調。半面、電気機器、医薬品、銀行業の3業種は上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の79%、対して値上がり銘柄は18%となっている。 前日の欧米株は独DAXが-4.17%、仏CAC40が-3.37%、米NYダウが-3.43%と軒並み大幅な下落を強いられた。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は40.28(+6.93)と6月中旬以来の水準に上昇。一昨日の当欄でも述べたが、直近のVIX先物の投機筋による持ち高推移を見ると、買い持ち高がじりじり減少する一方、売り持ち高はやや増加。差し引き10万枚超の売り越し(ネットショート)となっていた。11月の米国の大統領選及び議会選で野党・民主党が圧勝し、大規模な財政支出のもと経済が上向くとのシナリオが有力視される場面があったため、金融市場は楽観(弛緩とも言っていい)に傾き過ぎていたのだろう。VIX上昇に伴う米国株の波乱はある程度想定されたものでもある。 新型コロナ再拡大に伴い、仏政府は全土で1カ月の外出制限を実施。独政府も飲食店や娯楽施設などの営業禁止を発表した。米大統領選を巡っては、期日前投票の集計遅れなどから11月3日の投開票日に大勢が判明しない可能性があるなどと指摘され始めた。「債券王」の異名を持つ米ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は前回同様に現職・トランプ大統領の再選を予想しつつ、「今回ははるかに不透明」などと述べている。こうした動きが金融市場の楽観を修正しつつあるのだろう。 ただ、前日の連鎖株安の震源地となった欧州で、トレーダーからは比較的落ち着いた発言が出ているという。新型コロナ流行初期は行動規制導入により経済への影響に対する懸念が強まったが、これまでの新型コロナとの戦いにより、今回は影響がある程度見通せると受け止められているようだ。また、政府・中央銀行による更なる支援策が見込めるとの思惑も透けて見える。それだけに本日の欧州中央銀行(ECB)理事会や11月4~5日の米連邦公開市場委員会(FOMC)への注目度が急速に高まったとも言える。ともかく、大方の投資家は米大統領選を前になお持ち高を大きく傾けてはいないと考えられる。 これらを踏まえると、足元の金融市場の動きは「リスクオフ」というより「リスクヘッジ」、つまり「リスクに身構え始めた」ものと考えられる。もちろん米大統領選の行方は不透明であるし、新型コロナ再拡大も憂慮すべき事態だ。しかし、4年前の大統領選で大方の予想に反してトランプ氏が勝利した際や、新型コロナ流行初期に比べれば、金融市場の備えが進みつつあるとも解される。 さらに、東京市場では日経平均が前引け時点で0.67%の下落にとどまっている。朝方は23000円近辺での攻防を予想する向きも多かったが、ふたを開けてみれば寄り付きの23170.76円をこの日の安値に下げ渋る展開だ。一昨日の当欄で述べた「米国株が多少荒れ模様でも、日本株はこう着ムードが続く」との見立てどおりだろう。日銀のETF買いとともに、日本企業の収益改善などが背景にあると考えられるが、長くなってきたのでこのあたりの話はまた次回以降としたい。 ■ドル・円は小じっかり、米国株の反発期待で 29日午前の東京市場でドル・円は小じっかり。前日の米国株急落を嫌気した円買いが先行した後、時間外取引の米株式先物のプラス圏推移を受け円買いは後退した。また、月末を控え国内勢が割安感からドル買いを進めたようだ。ただ、先行き不透明感から、円買いは根強い。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は104円28銭から104円50銭、ユーロ・円は122円51銭から122円73銭、ユーロ・ドルは1.1744ドルから1.1759ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・リネットジャパングループ<3556>、メルコホールディングス<6676>など、4銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がソフトバンクG<9984> ■経済指標・要人発言 【要人発言】 ・関係筋 「英国と欧州連合(EU)の通商交渉が前進、11月初旬までに合意可能」 ・メルケル独首相 「休業強いられるビジネスに100億ユーロを供給」 「対小規模企業対策で、収入の75%を支援」 「11月2日から30日まで、バー、レストラン、映画館、ジムは休業」 ・マクロン仏大統領 「新型ウイルスは予想外のペースで拡大」 「全地域で警戒態勢は最高水準」 「全国的な閉鎖へ、今週30日金曜から12月1日まで」 【経済指標】 米・9月卸売在庫速報値:前月比‐0.1% (予想:+0.4%、8月:+0.3%←+0.4%) 米・9月小売在庫:前月比+1.6% (予想+0.5%、8月+0.5%←+0.8%) 米・9月前渡商品貿易収支:−794億ドル (予想‐845億ドル、8月‐831億ドル←‐829億ドル) <国内> ・日銀金融政策決定会合(最終日) ・15:30 黒田日銀総裁会見 <海外> 特になし 《HH》
関連銘柄 14件
2440 東証プライム
330
11/22 15:30
+2(%)
時価総額 18,778百万円
国内最大級の飲食店情報サイト「楽天ぐるなび」を運営。楽天グループが筆頭株主。訪日外国人向け観光情報サイト「LIVE JAPAN」の運営等も。楽天ID連携会員数は870万人超。飲食店運営のDX支援強化図る。 記:2024/08/02
292
11/22 15:30
-1(%)
時価総額 4,264百万円
ネット中古書店「ネットオフ」の運営、パソコン・小型家電の回収等を行うリユース・リサイクル事業が主力。障がい者グループホームの運営等も。ネットオフは会員数が500万人突破。ソーシャルケア事業に注力。 記:2024/07/05
4307 東証プライム
4,400
11/22 15:30
-8(%)
時価総額 2,557,465百万円
大手システムインテグレーター。金融ITソリューション、産業ITソリューションが柱。戦略コンサル、IT基盤サービスも。業界トップクラスの収益力が強み。26.3期営業利益1450億円目標。DX事業の推進図る。 記:2024/10/25
4452 東証プライム
6,208
11/22 15:30
+10(%)
時価総額 2,892,307百万円
トイレタリー国内最大手。衣料用洗剤や食器用洗剤、サニタリー製品、スキンケア製品、化粧品のほか、油脂製品等のケミカル事業も手掛ける。バスクリーナーは高付加価値製品が好調。ヘアケア製品などは売上が順調。 記:2024/06/11
4506 東証プライム
609
11/22 15:30
-2(%)
時価総額 242,321百万円
住友化学傘下の製薬会社。2005年に大日本製薬と住友製薬が合併して誕生。精神神経領域、がん領域が研究重点領域。非定型抗精神病薬「ラツーダ」等が主力製品。2型糖尿病治療剤「エクア」などの販売拡大図る。 記:2024/06/11
4751 東証プライム
1,008.5
11/22 15:30
-4.5(%)
時価総額 510,648百万円
インターネット広告事業が主力。運用型広告で国内首位。検索連動型広告に強み。ABEMA等のメディア事業、ゲーム事業、投資育成事業等も手掛ける。ABEMAはスポーツコンテンツの拡充、マネタイズを強化。 記:2024/08/26
6301 東証プライム
4,116
11/22 15:30
+67(%)
時価総額 4,008,206百万円
世界2位の総合建設機械メーカー。1921年設立。自動車産業向け大型プレスなど産業機械も。エンジンなどは国内で自社開発。海外売上比率は8割超。配当性向40%以上目安。坑内掘りハードロック事業の拡大図る。 記:2024/10/07
6501 東証プライム
3,821
11/22 15:30
+71(%)
時価総額 17,716,330百万円
総合電機大手。金融ソリューションや社会インフラITシステム、原子力関連ビジネス、鉄道システム、ビルシステム等を手掛ける。日立エナジーは受注残が増加。デジタルシステム&サービスはLumada事業が拡大。 記:2024/06/15
6594 東証プライム
2,858
11/22 15:30
-50(%)
時価総額 3,408,362百万円
総合モーターメーカー最大手。旧社名は日本電産。京都府京都市に本社。精密小型モーター、車載・産業用モーター、商業・産業用ロボットなどを手掛ける。電動パワステ用モーターなどに強み。車載向けは収益性最優先。 記:2024/10/14
6676 東証スタンダード
2,183
11/22 15:30
+21(%)
時価総額 33,400百万円
パソコン周辺機器メーカーのバッファローを中核とする持株会社。メモリ製品やストレージ製品、ネットワーク製品等を手掛ける。ダイワボウ情報システムなどが主要取引先。PC周辺機器の値上げなどで収益改善を図る。 記:2024/08/10
6758 東証プライム
2,948
11/22 15:30
-3.5(%)
時価総額 18,404,653百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
9983 東証プライム
49,020
11/22 15:30
+550(%)
時価総額 15,599,193百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17