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日経平均は3日ぶり反発、「深押しなければ戻り鈍い」だろう理由

2021/8/5 12:17 FISCO
*12:17JST 日経平均は3日ぶり反発、「深押しなければ戻り鈍い」だろう理由  日経平均は3日ぶり反発。94.71円高の27678.79円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。  4日の米株式市場でNYダウは反落し、323ドル安となった。ADP社の7月雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った。新型コロナウイルス・デルタ型が世界的に流行していることに加え、クラリダ連邦準備理事会(FRB)副議長が資産購入の縮小(テーパリング)や利上げに関する見通しを示したことも相場を下押しした。一方、長期金利の伸び悩みでハイテク株比率の高いナスダック総合指数は小幅に3日続伸。本日の日経平均はNYダウ下落を受けて57円安からスタートしたが、値がさハイテク株や好決算銘柄に買いが入り、朝方には27741.55円(157.47円高)まで上昇する場面があった。しかし、中国・上海株や香港株が反落スタートとなったこともあり、買いが一巡すると伸び悩んだ。  個別では、売買代金トップの郵船<9101>が9%近い上昇、商船三井<9104>は6%の上昇となっている。その他売買代金上位ではレーザーテック<6920>、ソニーG<6758>、任天堂<7974>、東エレク<8035>などが堅調。持分法適用会社だった米社の完全子会社化を発表した楽天グループ<4755>は7%超上昇し、決算発表銘柄ではユニチャーム<8113>やテルモ<4543>が大きく買われている。また、シュッピン<3179>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、前日の取引時間中に決算発表したトヨタ自<7203>が小幅ながら続落。ファーストリテ<9983>も小安く、ソフトバンクG<9984>などはさえない。決算発表銘柄ではいすゞ<7202>などに売り。また、リコー<7752>が急落し、新日科学<2395>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。  セクターでは、海運業、鉄鋼、精密機器などが上昇率。一方、パルプ・紙、鉱業、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の40%、対して値下がり銘柄は53%となっている。  本日の日経平均は朝安後に切り返したが、上値を追う動きは限られ、伸び悩む展開となっている。日足チャートでは27900円手前に位置する200日移動平均線水準を回復できない状況が続いており、上値切り下げの三角もち合いも脱せない。東証1部全体としては値下がり銘柄が半数を超え、ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまり。新興市場ではマザーズ指数が-0.65%と3日続落。朝方上昇する場面があったが、5日移動平均線に沿った下落基調が続いている。  日経平均は2月16日に年初来高値30714.52円(取引時間中)を付けており、日足チャート上でもち合いに煮詰まり感が生じてきたこともあり、信用高値期日にかけて短期的な波乱も警戒しておく必要があると筆者はみている。逆に言えば、こうした深押しがなければその後の戻りも限られてしまう可能性があるだろう。  市場全体の信用買い残(東京・名古屋2市場、制度・一般信用合計)の推移を見ると、2月19日申し込み時点で2兆8183億円だったのが、7月30日申し込み時点で3兆5519億円となっている。ちなみに3兆5000~6000億円規模となるのは2018年3~4月以来である。つまり、2月高値以降の株価調整局面でも信用買いは積み上がっていった格好だ。株式需給の改善は大方の期待より遅くなる可能性がある。一方、信用売り残は2月19日申し込み時点の9106億円に対し、7月30日申し込み時点では6548億円。また、7月30日時点の裁定取引残高は差し引き1050億円の買い越しだ。今年2月までの上昇局面と異なり、売り方の買い戻し余地は乏しいことも再強調しておきたい。  QUICK社の算出する信用評価損益率は7月30日申し込み時点で-10.03%と、3月5日時点以来およそ5カ月ぶりの水準に悪化したという。上値追いが続く海運株の取引(このところネット証券売買代金ランキングでは海運株が上位にある)で個人投資家の投資損益は足元改善した可能性もあるが、マザーズ指数が下落基調を脱せないのは気掛かり。個人を中心とした純投資家が取引主体のマザーズは時おり意外な先見性を発揮することがある。  ちなみにその海運株だが、感染対策で港湾施設等の能力が低下しているほか、船数を短期間で増やすことも難しいだろう。また、コロナ禍で各種規制が維持・再強化されれば財からサービスへの需要シフトも先送りされる。そう考えると海運セクターは足元の環境下で好パフォーマーとなる素地があったわけで、単純な景気敏感株とみるべきでないのかもしれない。  最後に、ここにきて海外大手証券から日本株に対する強気の見方が出てきている。米シティが日本株の投資判断を「オーバーウェイト」に引き上げたほか、米ゴールドマン・サックスなども強気の見方を示しているという。米国株に高値警戒感がくすぶり、中国株も政策不安が拭えないなか、消去法的な買いが期待できるとの見方も背景にあるだろう。ただ、前提として「景気回復の継続と米長期金利の再上昇」が置かれている。3月以降の米長期金利の低下局面も4~5カ月に達し、そろそろヘッジファンド等の売り持ち解消の一服が期待できそうだが、結局のところそれも新型コロナ感染状況次第だろう。また、秋以降の国内政治情勢について市場がやや楽観的なのも気になるところ。来年夏には参院選があるため、今年の衆院選の結果責任は厳しく問われかねないことが見過ごされているように思う。  さて、足元の香港ハンセン指数は小じっかりといったところ。週末発表の米7月雇用統計を見極めたいなどといった思惑も出てくるとみられ、後場の日経平均はプラス圏でもみ合う展開が続きそうだ。(小林大純) 《AK》
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7203 東証プライム
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