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アウトソシング Research Memo(8):次期中期経営計画では売上規模1兆円の実現を目指す

2019/4/1 15:08 FISCO
*15:08JST アウトソシング Research Memo(8):次期中期経営計画では売上規模1兆円の実現を目指す ■成長戦略 1. 中期経営計画 アウトソーシング<2427>は、2020年12月期までの中期経営計画「VISION 2020:新フロンティア創出への挑戦」(2016年12月に増額修正)を推進している。国内メーカーによる生産拠点の海外移管(国内生産の縮小)や国内労働人口の減少、産業構造のパラダイムシフトなど、国内外のマクロ環境が目まぐるしく変化するなか、従来のビジネスモデルは崩壊し、その延長線では大きな成長が望めないばかりか、変化に対応できずに淘汰される可能性が高まっている状況に対応すべく、これまでの景気変動の影響を受けやすい事業特性からの脱却を図るとともに、いかなる事業環境にも打ち克つ企業体へと進化させていく方針である。 「国内製造系アウトソーシング事業」はPEOスキームに特化することで長期事業領域への転換を図るとともに、外国人活用に関連するビジネスの拡大にも取り組む。その一方で、IT及び土木建築分野(国内技術系アウトソーシング事業)など製造とサイクルの異なる分野や、米軍施設向け(国内サービス系アウトソーシング事業)や公的サービスの民間委託分野(海外技術系事業、海外製造系及びサービス系事業)など景気の影響を受けない分野を伸ばす計画である。すなわち、PEOスキームにより景気悪化時に雇用を維持してもグループ全体で黒字を確保し、景気回復時には正社員派遣により即対応できるグループ体制の構築を目指す。また、各事業を成長させることにより、「国内製造系アウトソーシング事業」(旧セグメント※)のEBITDA構成比率は全体の10%以下に下げ、残り90%については、製造とサイクルの異なる分野や、環境変化及び景気の影響を受けない分野で、今が黎明期となるアウトソーシング事業をグローバルに拡大する方針としている。 ※2018年12月期より、「国内管理アウトソージング事業」及び「国内人材紹介事業」が「国内製造系アウトソーシング事業」に統合された。ここでは統合前の旧セグメントである「国内製造系アウトソーシング事業」を指す。 最終年度である2020年12月期の目標として、売上収益を4,410億円、EBITDAを344億円と意欲的な水準を掲げている。 2. 中期経営計画の進捗とその先のビジョン これまでの進捗を振り返ると、2017年12月期、2018年12月期と2期連続で計画を上回り、2019年12月期も上振れのペースで推移する見通しとなっている。また、最終年度となる2020年12月期の目標達成についても、追加的なM&Aの実現を含めて、高いハードルとはみていない。むしろ、中期経営計画に掲げた意欲的な目標を最低限クリアしながら、計画を上回った部分については、さらにその先の業績拡大に向けた先行投資に回す構想を描いている。特に、国内人口が減少する一方、世界の人口は大きく拡大し、グローバルで人材の流動化が進むことが予想されるなかで、その成長機会(ポテンシャル)を最大限に取り込むためには、世界No.1を視野に入れた体制構築を早めることが重要であると認識しており、今後策定していく中期経営計画においては、その通過点として、売上規模1兆円の実現を目指す考えである。すなわち、再投資資金の要らない従来の派遣型ビジネスでの過当競争には参加せず、以下に掲げる3つの成長軸について、独自の戦略を進めていく方向性である。 (1)国内事業 製造系・技術系で、環境変化や顧客ニーズの変化に対応した新たなアウトソーシングビジネスへ進出し、エンジニアや外国人活用等の長期ニーズが期待できる分野での成長を加速、圧倒的な国内トップ企業を目指す。 (2)海外事業 製造系・技術系で、グローバルな人材流動化によって、現在の75億人から100億人へと増加する人口のポテンシャルの獲得と、政府系・公共事業のグローバル展開を加速し、国内以上のさらなる成長を目指す。 (3)米軍施設向けアウトソーシング事業 これまで国内(沖縄等)のみだった事業を環太平洋(グアム、ハワイ、アラスカ等)へ展開し、安定的な長期成長を目指す。 3. M&Aに関する考え方 同社は、前述のとおり、引き続きM&A(特に、海外事業の拡大)にも積極的に取り組む方針であるが、1)同社グループとのシナジーで今後大きく成長が見込まれる分野をターゲットにすること、2)取得コストを足元のEBITDA に対して原則7倍以内に抑えることをM&A実施への社内ルールに定めている。 弊社では、外部要因及び内部要因の両方がプラスに働くことにより同社の中期経営計画は十分に達成可能であると判断している。特に、今回の公募増資による財務基盤の強化は、更なる成長に向けて大きな前進と言えるだろう。また、相次ぐ大型M&Aに伴って増加してきた「のれん」に対する減損リスクを懸念する見方もできるが、同社のM&Aは各国政府や米軍施設向けのアウトソーシング分野など、固定資産を保有せず、キャッシュ・フローが安定的にプラスになっている企業が対象となっており、回収期間が短い上、景気変動の影響を受けにくいことから、財務リスクも小さいものと捉えている。また、2017年12月期から本格的に取り組んでいるグループガバナンス体制の強化も、PMI(買収後の統合プロセス)の精度向上やリスクマネジメントの両面において効果が期待できるうえ、今後のグローバルなM&A実現に向けても大きなアドバンテージとなろう。前述のとおり、足元業績は計画を上回るペースで進捗しており、中期経営計画の見直し(増額修正)の動きにも着目したい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《HN》
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製造業向け人材派遣・業務請負が柱。M&Aを活用して国内外で事業拡大。昨年12月に発表したMBOの一環として米投資ファンドのベインが1株1755円でTOB実施。今年3月にTOBが成立し、同社株は上場廃止へ。 記:2024/04/10