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BS11 Research Memo(8):売上高150億円達成を最優先に位置付け、番組制作費や広告宣伝費を積極的に投下

2018/11/21 15:08 FISCO
*15:08JST BS11 Research Memo(8):売上高150億円達成を最優先に位置付け、番組制作費や広告宣伝費を積極的に投下 ■今後の見通し ● 2019年8月期決算の見通し (1) 個別業績 2019年8月期の個別業績について日本BS放送<9414>は、売上高13,500百万円(前期比12.4%増)、営業利益2,000百万円(同17.2%減)、経常利益2,000百万円(同17.4%減)、当期純利益1,400百万円(同16.2%減)と増収減益を予想している。 同社は2007年にBSデジタルハイビジョン放送を開始して事業が本格的にスタートし、2010年8月期に営業利益が黒字転換した。以来、増収増益を継続してきたが2019年8月期は初の減益見通しとなっている。表面の数字だけを見れば懸念が先に立つ業績予想となっているが、後述するように、この増収減益予想は同社の中長期成長戦略に沿ったものであり、懸念の必要はないというのが弊社の考えだ。 個別売上高は前期比12.4%増の13,500百万円を予想している。中期経営計画策定時に掲げた業績計画では2019年8月期の個別売上高を14,000百万円としていたが、2018年8月期実績を踏まえて500百万円引き下げられた。 収入別内訳では、タイム収入が前期比10.1%増、スポット収入が同12.7%増と、2ケタ増収基調に回帰する計画となっており、これが個別売上高全体の前期比12.4%増収の主因となっていることは明白だ。また、その他収入については前期比68.8%増と大幅増収を計画している。これは、前述のように、一部ショッピング企業の出稿先の変化などの事業環境変化への対応の一環として、放送外収入の強化を目指す取り組みを反映したものとみられる。 同社が広告収入(タイム収入、スポット収入)の2ケタ増収を予想する背景は、自社制作番組からの広告収入の増加だ。自社制作番組は、大きくレギュラー番組と特番とに分けられる。このうち特番については、着実に広告収入を獲得する流れが確立されてきているのは業績動向の項で述べたとおりだ。一方、レギュラー番組については同社の場合、放送当初は広告スポンサーが付かず、その後の視聴動向などを受けて広告スポンサーが付いてくる流れが一般的だ。同社は2018年10月の改編において、2018年4月改編時のレギュラー番組を原則としてすべて継続している。これらの継続レギュラー番組が、特番同様にスポンサー収入を獲得するというのが、売上高の2ケタ増収のメインシナリオとなっている。 弊社では、自社制作番組による広告収入拡大シナリオには十分説得力があると考えている。特番についてはこれまで繰り返し述べたとおりで、広告収入によって制作費を回収しかつ利益を生み出す流れが確立してきていると考えている。レギュラー番組は新規分については費用先行という構図は従来と大きくは変わらないとみているが、今期の増収エンジンと想定しているものは2018年4月改編もしくはそれ以前からの継続番組である点がポイントだ。同社が放送継続を決めた背景にはそれぞれの番組について一定の手応えがあったからこそと推測され、この“手応え”が今期は広告収入に結び付く流れは十分期待できるとみている。 また『マイナビBe a booster! B.LEAGUEウィークリーハイライト』は、スポンサーの冠が付いていることから明らかなようにスポンサー収入が放送当初から確保されている。前述のように、同社は営業部隊を再編成し、一般企業への直接営業を強化する方針だ。その成果として特に下半期以降はスポンサーの冠付きのレギュラー番組が増加してくることも十分期待できると考えている。 売上高の面でリスク要因を挙げるとすれば、2018年8月期決算で減収要因となったショッピング企業の出稿先の変化だろう。この環境の変化による影響はBS放送業界全体において一定期間継続する可能性がある。そのため同社自身、TVショッピング関連の広告収入については、従来と同じ高い成長率を持続できるとは考えておらず、良質な自社制作番組による新規スポンサーの獲得、イベントなどの企画・実施などによるその他収入(放送外収入)の拡大によってこの影響を埋め合わせる方針だ。具体的には“アニメに強いBS11”をもっと前面に出してアニメ関連売上高を拡大することや、各種イベントの強化、ラジオ局等外部とのコラボレーション企画などで増収を目指す方針だ。 一方、営業利益は前期比20%近い大幅減益を予想している。この理由として同社は、1)新規レギュラー番組の投入に伴う費用の増加、2)広告関連費用の増加、の2つを挙げている。 自社制作番組の中のレギュラー番組に関しては、費用先行型の収益モデルという実態にあるのは前述のとおりだ。2018年10月の改編においては、「歴史科学捜査班」「フランス人がときめいた日本の美術館」「太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選」の3本を投入した。他の継続レギュラー番組でもリニューアルを実施しており、2019年8月期の番組関連費用は前期比大幅に増加する可能性があると弊社ではみている。これらの番組関連費用の増加には広告収入が期待できる特番の制作費も含まれており、費用増加分がそのまま利益圧迫要因となるわけではない。 広告関連費用についても、これまで以上に積極的に投下し、同社の認知度向上、ひいては広告収入の増大へとつなげていく方針だ。同社自身は具体的な数字を明らかにしていないが、2019年8月期の広告関連費用は前期比より急拡大する可能性もあると弊社では推測している。 こうした大幅減益予想ではあるが、前述のように懸念する必要はないというのが弊社の考えだ。中長期成長戦略の項で述べたように、同社は今中期経営計画の重点施策『5本の矢』の1つとして“自社制作番組の充実と拡大”を掲げている。また、今中期経営計画における最重要の計数目標は、2020年8月期における個別売上高150億円の達成であり、そのためには一時的な減益を甘受してでも先行投資として費用を投下する方針を明確にしている。2019年3月期の自社制作レギュラー番組強化と、それによる減益予想はこうした同社の中長期成長戦略を着実に実施することの当然の帰結と言うことができる。広告関連費用についても同様だ。 言い方を変えれば、2019年8月期は布石を打つ年ということだ。したがって、2019年8月期の業績の評価軸は利益ではなく売上高ということになる。しっかりと先行投資的に費用をかけ、それを売上高(広告収入)の拡大につなげることができるかどうかということだ。繰り返しになるが、最も広告収入の成長余地が大きいのは自社制作番組、とりわけレギュラー番組である。しかしこれはある程度のタイムラグが必要なのが現在の実情だ。このラグが縮まることで売上高が予想を上回って着地することがあれば、それはベストシナリオケースということができるだろう。同社への投資を考える立場からは、今期は同社の自社制作番組(とりわけ平日ゴールデンタイム枠の各番組)をじっくりと鑑賞しながら広告収入拡大戦略の進捗状況を見守りたい。 (2) 連結業績 同社は2018年1月に児童出版社2社を子会社化した結果、2018年8月期第2四半期以降は連結決算に移行している。この連結子会社2社の業容は売上高10億円弱、営業利益数百万円という水準で、将来的にもここから上下に大きく変動しないとみられる。 2019年8月期の連結業績予想は、売上高14,000百万円、営業利益2,005百万円となっている。すなわち連結子会社の業績は売上高500百万円、営業利益5百万円ということだ。2019年8月期はフル連結(2018年8月期は8ヶ月弱の取り込み)であるにもかかわらず連結子会社の売上高について500百万円しか織り込んでいない点については、同社がある程度余裕を見た結果と弊社では考えている。したがって連結決算だけに注目すると肝心の売上高の評価において数値を読み誤る可能性がある。同社自身、決算説明はBS放送事業を正確に表している個別業績をベースに行っており、投資家の立場からも同様に、個別業績をより注視すべきだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《MH》
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ビックカメラ傘下の無料BS放送局。子会社で児童書の出版も。タイム収入は通販枠の強化・拡充により堅調。スポット広告収入が足踏み。アニメ強化に向けた費用増は重し。配当性向4割目安。コンテンツ価値の最大化を図る。 記:2024/07/31