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鴻池運輸 Research Memo(8):2030年に目指す姿に向けた基盤づくり(2)

2018/7/5 15:08 FISCO
*15:08JST 鴻池運輸 Research Memo(8):2030年に目指す姿に向けた基盤づくり(2) ■中長期の成長戦略 3. 新中期経営計画の概要 (1) 新中期経営計画の位置づけ:「2030年のビジョンに向かって」 鴻池運輸<9025>では、今回の新中計を2030年に向けた基盤づくりの期間と位置付けている。つまり、2030年に向けたビジョンの定性的、定量的な目標の具現化に向けて、この新中計の3年間(2019年3月期から2021年3月期)は徹底的に強い事業基盤を構築していく。すべての経営資源を最大限に活用し、以下に述べる「5つの具体的取組み」に着手する。そのため、2019年3月期は減益を予想しているが、目先の定量的な果実(売上高、利益等)よりも基盤づくりを優先的に進めていくとの方針でいる。この新中計のイメージを図で表すと以下のようになる。 (2) 新中期経営計画の取組み事項~2030年に向けた「確固たる基盤づくり」~ 1) 将来を見据えた事業基盤の充実 a) 人材採用・育成の強化 通常の人材育成に加え、圧倒的に不足している現場での管理監督者を今後養成していく。現場での対応力・設計力を高めていく。 b) システム投資による生産性の向上 大きく二つの重点的なシステム投資を行う。一つ目は、現在は個別に行っている対顧客システムへの対応を一括で行えるようなシステム構築だ。これにより、対顧客対応の生産性が向上する。二つ目は、経営情報を統括するためのシステム投資で、これにより多くの役員・管理職等が経営情報を共有することが可能になり、下記に述べるようなグループ連携や経営監督が強化される。これらのシステム投資を強化するために、ICT推進本部を新規に設置した。 c) 安全品質への取組みの強化 同社の事業の基盤である、安全と品質を強化するために、営業部門と管理部門を横断した経営品質本部を設置した。 2) 経営基盤の再構築 a) 同社グループに相応しいガバナンス体制の強化 単に上場企業としてのガバナンス体制を整備するのでなく、同社の業歴と品格に相応しいガバナンス体制を構築する。 b) 権限委譲の推進 権限の委譲を加速することで柔軟かつ筋肉質な企業体質を構築する一方、責任の所在を明確化する。 c) 経営監督(モニタリング)の仕組みの構築 経営に対する監督機能の実効性確保を図る。 3) 資本コストをさらに意識した経営への取組み a) 経営指標にROICを導入 同社は以前からROIC(Return on Invested Capital=投下資本利益率)を意識した経営を行ってきたが、今後はこの考え方を経営上層部だけでなく、各本部にまで浸透させ、ROICを意識した経営を徹底させる。単に量的な拡大を目指して投資を行うのでなく、資本コストに見合う投資を行っていく。 b) 事業ポートフォリオの見直し 将来有望な事業を伸ばすべく事業の新陳代謝を進める。当面は既述のように、より資本コストを意識した経営を進める中で既存事業の見直しに着手すると同時に、事業分離による成長セクターの育成強化、新規事業の開拓を加えることで既存事業から一部を分離・独立させ、事業ポートフォリオを再構築する。 4) 部門の垣根を越えた成長の促進 a) 新設した営業本部によるグループ内連携の強化 グループ内の連携を一段と強化し、顧客に対してグループ全体で価値を提供していく。 5) 新たな中核事業の発掘・育成と価値革新への取組み a) 新事業開発本部主導での新たな中核事業の発掘・育成への取組み 時代の変化から生まれる新たな機会を捉えて、次世代の中核事業となりうるような事業を発掘・育成していく。この新規事業の発掘には、新事業開発本部自らが当たる。 b) 新技術の導入等による価値の革新 新たな技術を既存事業にも取り入れ、同社がサービスを通じて提供する価値をさらに進化させる。 これらの施策を実行し、かつ目標を達成していくために最も重要なことは、全員の意識の改革と変革であろう。経営陣から現場の最前線で活躍する一人ひとりが「これまで」に囚われず「変わるという覚悟」を持つことが必要である。 (3) 新中期経営計画(19/3期~21/3期) 売上高/営業利益のイメージ 新中計期間内は、上記の5つの取組み実行のために一時的に減益になるが、最終年度である2021年3月期には史上最高利益(営業利益118億円)を目指す。しかしながら、人手不足への対応など新中計後もコストとなるであろう。この間の売上高、利益の定量的計画、イメージは下図のようになる。 (4) 5つ目のターニングポイント 同社では、今回の2030年に向けたビジョンの達成には「第5のターニングポイント」の獲得が不可欠だととらえている。周知のように同社は1880年に鴻池忠治郎氏によって労務供給業・運輸業を提供する個人企業として創業したが、その歴史を振り返ると過去には4つの大きなターニングポイントがあった。 第1のターニングポイント:1900年、工場構内での請負業務を開始した。(現在の鉄鋼関連事業) 第2のターニングポイント:1945年、鴻池組から分離独立し、鴻池運輸を設立した。 第3のターニングポイント:その後、1990年代にメディカル関連、空港関連事業を開始し、2010年には空港関連でM&Aを実施、サービス請負のフィールドで本格的な事業領域を確立した。 第4のターニングポイント:2013年にIPOを行って株式を公開し、上場企業として新しい成長に向けて歩み始めた。 そして今回の2030年ビジョンを同社では、第5のターニングポイントが必要だと。何故ターニングポイントなのか? 現状のままの延長では、2030年あるいはそれ以降に同社グループの将来が危惧される。したがって将来も生き残り、さらに成長を続けるためには、今こそ変革が必要であると考えているからだ。つまり「変革、特に社員の意識変革なくして将来はない」との考えだが、経営トップから新入社員に至るまで全社員が覚悟を持って「意識を変えられるか、変わるか」が重要なポイントとなる。 以前のように単に定量的な変化ではなく、今回は定性的な変化、特に意識の変化が求められている。しかしその達成なくして将来はない、と同社自身が高い目標設定をしたのが今回の2030年に向けたビジョンの達成に向けた新中期経営計画なので、今後のこれら計画・施策の達成動向は要注目である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《MH》
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総合物流企業。1880年創業。食品、鉄鋼、化学など製造業向け請負、物流業務、流通加工業務、国際物流等を手掛ける。日本製鉄等が主要取引先。適正単価の収受、業務効率化進める。31.3期営業利益250億円目標。 記:2024/06/24