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三井化学 Research Memo(7):販売数量を着実に伸ばして高稼働率を維持

2018/7/5 15:07 FISCO
*15:07JST 三井化学 Research Memo(7):販売数量を着実に伸ばして高稼働率を維持 ■中長期成長戦略と進捗状況 5. 基盤素材の事業ビジョンと進捗状況 (1) 基盤素材の使命と事業ビジョン 基盤素材の事業ビジョンは競争力の強化と収益安定性の増大だ。同事業は石化製品・化学品の外販が事業の柱であるが、同時に、三井化学<4183>のほかのセグメントに対して様々な種類の素材を提供するという重要な役割があり、この部分での競争力なしには同社の成長戦略は成り立たない。製品の対外販売では、川上に位置するという事業の性質上、原料ナフサ価格や石化製品・化学品市況(特に海外市況)の影響を受けて業績が変動しやすい特性がある。収益変動性を低下させ、安定的に一定水準の利益を確保することが同事業の最大の使命といえる。 基盤素材では2026年3月期の営業利益目標を300億円としているが、これは市況サイクルの谷間においてでも確保するベースとしての利益であり、状況次第ではこれ以上の利益を目指すだろうし、また、十分可能だろう。 (2) 最近の進捗状況と今後の見通し 基盤素材の最重点課題である競争力強化と収益安定についての取り組みは、これまで着実に進捗している。キーワードは1)ナフサクラッカーの高稼働率の維持、2)地産地消、3)高付加価値品シフト、の3点だ。同社は2015年の京葉エチレン(株)からの離脱を手始めにこれら3つのテーマに取り組んできた(この詳細については2017年12月27日付レポートを参照)。いずれのテーマもゴールのないものではあるが、これまでに1つの区切りをつけており、それが2018年3月期の堅調な業績に反映されたと言うことができる。 2018年3月期の進捗としては、再構築3事業(フェノール、PTA/PET、ウレタン)がいずれも収益回復を果たした。またシンガポールのエボリューTMなどの海外大型事業が収益拡大期に移行しつつあることも挙げられる。需要拡大への対応も進めており、韓国のMDIの能力増強を2018年3月までに完了したほか、同社が得意とする特長ある差別化製品(ハイドロキノンや半導体製造用ジシランガスなど)の能力拡大も検討されている状況だ。 基盤素材については、シェールリスクが当面の最大懸念要因とされている。シェールリスクとは、シェールオイル・ガス由来の石化原料(エチレン)の供給が増加することでエチレンの需給バランスが崩れ、世界的にエチレンプラントの設備稼働率低下が懸念されていることを言う。2018年後半から2019年にかけてシェールリスクが顕在化するという見方がされてきた。 この点についての現状は、米国においてシェールガスベースのオレフィン(原料ガス。エチレンもオレフィンの一種)プラントが立ち上がりつつあるが、ポリオレフィン(いわゆるプラスチック樹脂)プラントの稼働が上がっていないため、エチレンに余剰感が出つつあるという状況のようだ。このエチレンがアジアに流入するとシェールリスクの顕在化につながるが、現状では輸送インフラが壁となってそうした状況には至っていない。足元では、シェール・リスクへの懸念は一旦和らいだ状況にあると弊社では考えている。 今後注視すべきは原油価格の動向だろう。原油価格が例えば100ドル/バレルを超えるような上昇となればアジア地域や日本でのナフサ価格が上昇し、米国とのエチレンの価格差が拡大することになる。それは輸送コストの壁が取り払われることにつながる。具体的に原油価格がどの水準になると対アジア輸出のトリガーが引かれるのかは一概には言えないが、今後注視しておきたい点と言える。 灌漑農業に省資源と高生産性をもたらすiCAST®の大規模評価試験がスタート 6. 次世代事業の進捗 同社は、ターゲット3領域の周辺・外縁分野において事業開発を加速させるために「次世代事業」という新たな事業ドメインを創り、事業化に取り組んでいる。エネルギーソリューションやメディカルソリューション等4つのテーマが挙げられているが、これに限定されるものではなく、今後も新たなシーズが生まれてくると期待される。計数目標としては、長期経営計画最終年度の2026年3月期において、営業利益250億円を目標としている(次世代事業と、ターゲット3領域における新事業からの営業利益の合計)。 最近進捗があったものに、アグリソリューションのiCAST®がある。これは同社が開発した節資源型作物栽培システムで世界の灌漑農業地域での利用を見込んでいる。現状では、灌漑農業では点滴灌漑(全体の約30%)やスプリンクラー(同約60%)が使用されている。これらの弱点は水の利用効率が低いことや土壌劣化などだ。 同社のiCAST®は給液タンクと作物栽培チューブから成るが、ポイントは、作物の成長に必要な量だけの水分や栄養分、空気を吸収できる点だ。水を節約するだけでなく、適切な栄養管理によって収穫量の増加や品質向上が期待できる点が強みだ。これまでは実験室レベルの開発が続いていたが、2018年4月から米国と豪州の大規模農家での評価実験がスタートした。食料不足や水不足は全世界の課題でもあるため、今後の評価結果が注目される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《NB》
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大手総合化学メーカー。ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICTなど4事業を展開する。ケメガネレンズ材料やフォトマスク防塵カバーで世界シェアトップ。今期3Q累計は需要低迷が販売に影響した。子会社も売却した。 記:2024/04/14