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三井化学 Research Memo(8):3期連続過去最高益更新を目指す
2018/7/5 15:08
FISCO
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*15:08JST 三井化学 Research Memo(8):3期連続過去最高益更新を目指す ■今後の見通し 1. 2019年3月期通期見通し 2018年3月期について三井化学<
4183
>は、売上高148,000百万円(前期比11.4%増)、営業利益106,000百万円(同2.4%増)、経常利益112,000百万円(同1.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80,000百万円(同11.8%増)と増収増益を予想している。この予想が達成されれば、3期連続の過去最高益更新となる。 基本的な事業環境は2018年3月期から大きくは変わらないとみられる。グローバルの自動車生産台数を始め、同社の各製品がエクスポージャーを有する市場は全般に、着実な成長を続けるとみられる。また原油価格も、2018年3月期は期首の50ドル/バレルの水準から期末の60ドル/バレル超の水準に上昇基調をたどったが、2019年3月期は期初から60ドル/バレル台での推移となっている。こうした状況のなか同社は、2019年3月期の国産ナフサの価格を49,000円/kl(前期実績は41,900円/kl)、為替レートを105円/米ドル(同111円/米ドル)を前提条件として、売上高予想1,480,000百万円を予想している。 売上高の前期比増収額は約1,515億円であるが、数量差と価格差がともにプラスとなることは疑いない。その内訳を同社は開示していないが、弊社では数量差が前期に比べて拡大することで、前期比増収額が2018年3月期に比べて拡大するとみている。 営業利益の増益額は約25億円となっている。この増減要因分析について同社は、数量差が120億円の増益寄与、交易条件が40億円の減益寄与、固定費差が55億円の減益寄与としている。セグメント別の内訳は開示していないが、数量差は各セグメントが全般に売上げを伸ばすことでもたらされるとしている。 交易条件については、モビリティ以下成長3領域はプラス寄与を見込んでいるものの、基盤素材では一部の化学品市況の沈静化等の減益寄与を見込んでおり、全社ベースでは40億円の減益寄与を想定している。 固定費他については、成長3領域では将来の成長のために研究開発費を積極的に投下する方針で、それが減益寄与となる計画だ。 営業外収支は前期にあった受取保険金などの特殊要因を除外して前期よりも縮小するとみている。他方、特別損益では前期にあったKulzerの減損処理がなくなって通常ペースに戻ると想定しており、それが親会社株主に帰属する当期純利益の前期比増益率が営業利益率や経常利益率のそれに比べて高いことにつながっている。 各セグメントとも、実現可能性の高い業績予想とみる。アークとの実体的な協業の進捗と、Kulzerの回復に注目 2. セグメント別動向 モビリティは売上高3,850億円(前期比540億円増)、営業利益450億円(同27億円増)を予想している。グローバルの自動車生産台数が緩やかに拡大するなか、海外PPコンパウンドや機能性コンパウンド、エラストマーなどが全般に販売数量を伸ばすと期待される。また、アークのフル連結化もあり、増収額は前期から大きく拡大する予想している。利益面でも同様の理由で前期比増益を予想している。 ヘルスケアは売上高1,500億円(前期比109億円増)、営業利益130億円(同22億円増)を予想している。売上高はKulzerの回復で増収額が前期よりも拡大する見通し。ビジョンケア材料と不織布は前期と同様の事業環境とみられるが、不織布は名古屋と四日市での能力増強があるため販売数量を一段と伸ばすと期待される。利益面では3つのサブセグメントがいずれも売上げを伸ばすことで数量差による増益を見込んでいる。 フード&パッケージングは売上高2,100億円(前期比142億円増)、営業利益230億円(同31億円増)を予想している。コーティング・機能材、機能性フィルム・シート、農薬のいずれもが売上数量を伸ばして増収を予想している。利益面では増収差に加えてフィルム・シートにおける価格転嫁の進展で、交易条件も増益にプラス寄与となると予想される。 基盤素材は売上高7,100億円(前期比723億円増)、営業利益330億円(同59億円減)を予想している。原料国産ナフサを49,000円/klと想定しており、販売数量増と原料高を受けた製品価格上昇により、前期と同水準の増収額を予想している。利益面では、一部の製品市況の沈静化により、石化原料やポリオレフィンの分野で交易条件をマイナス寄与とみている。これまで苦戦が続いていたフェノールは引き続き交易条件の改善を見込んでいる。固定費他については、今期は大阪工場で大規模定修が予定されているが、定修費は2018年3月期の市原工場にかかるものと同程度とみられるため、前期比較ではニュートラルとみられる。 同社の業績に対して上振れや下振れの可能性を論じるのは、判断材料も十分ではなくタイミング的に早すぎると言えるだろう。あえて今後の変動可能性がある点を指摘するならば、基盤素材の営業利益だろう。前述のように、同社は一部の製品市況の沈静化を織り込み、その結果、交易条件が悪化することを主たる理由として前期比59億円の営業減益を予想している。交易条件とは、各種製品の市況と原料(ナフサ、及び原料としての各種化学品)市況のスプレッドだ。両者の市況はそれぞれの需給関係で決まるため、同社の想定以上に拡大(増益方向)することも、縮小(減益方向)することも起こりうる。足元(2018年6月末時点)の状況は、同社が想定したほどにはスプレッドは悪化していない模様だ。とはいえ、今後もスプレッドは上下方向に刻一刻と変化していくため、当面は同社の想定に沿って慎重に見守るべきであると弊社では考えている。他に注目すべきポイントとしては、アークとの協業の実体的な進捗状況と、Kulzerの回復状況だと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《NB》
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4183 東証プライム
三井化学
3,582
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+175(5.14%)
時価総額 719,423百万円
総合化学大手。エラストマー、エチレン、ビジョンケア材料、半導体・電子部品工程部材等を製造・販売。メガネレンズ材料、燃料タンク材料で世界トップシェア。事業ポートフォリ変革推進。総還元性向30%以上目指す。 記:2024/10/09
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