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システムインテ Research Memo(2):独立系のソフトウェア開発会社、開発支援ツールで高シェア

2017/11/28 15:57 FISCO
*15:57JST システムインテ Research Memo(2):独立系のソフトウェア開発会社、開発支援ツールで高シェア ■事業概要 システムインテグレータ<3826>は独立系のソフトウェア開発会社で、パッケージソフトの開発販売及び保守サービス、コンサルティング業務などを行っている。また、新製品に関しては基本的にクラウドサービス型での事業展開を指向している。現在の主力製品は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM)」のほか、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」等がある。事業セグメントに関しては、Object Browser事業、ERP事業、EC・オムニチャネル事業の3つに分けて開示している。 2018年2月期第2四半期累計の売上構成比で見ると、ERP事業が全体の58.0%と過半を占めているが、営業利益で見るとObject Browser事業が49.3%、EC・オムニチャネル事業が19.9%、ERP事業が30.8%となっている。Object Browser事業に関しては市場シェアも高く、月額収入が得られるストック型の売上比率が高いこともあり、同社の安定収益源になっている。各事業の内容は以下のとおり。 1. Object Browser事業 Object Browser事業ではデータベース開発支援ツール「SI Object Browser」やデータベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」(以下、「SI Object Browser」シリーズ)のほか、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」、2013年6月にリリースしたアプリケーション設計支援ツール「OBDZ」等のソフトウェア製品の開発販売を行っている。「SI Object Browser」シリーズについては従来、オンプレミス販売(パッケージ販売)のみであったが、現在はクラウドサービスにも対応している。また、「OBPM」についてはオンプレミスとクラウドサービス両方に対応している。売上構成比としては「SI Object Browser」シリーズが5割弱、「OBPM」が5割強と「OBPM」の契約件数が拡大したことによって、ここ1年で売上構成比が逆転している。また、「OBDZ」についてはまだわずかな割合ながら契約件数は徐々に増加している。 「SI Object Browser」シリーズは1997年の発売以降1.6万社に導入され、国内ではデファクトスタンダードとなっている。現在は売上高の27%が保守料金となっているが、毎年安定した売上が見込めるほか販売費用もほとんどかからないため、売上総利益率で約90%と高収益製品となっている。 「OBPM」は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理することで、不採算プロジェクトの発生を未然に防止し、開発部門の生産性向上に寄与するツールとなる。2008年の発売以降、導入社数は150社を超え着実に普及が進んでいる。市販品での競合品がないため、売上総利益率も約70%と高くなっている。導入企業は中堅規模のIT企業が多い。大手は自社開発品を使用し、中小企業ではExcelなど市販ソフトを使って管理しているケースが大半のためだ。ただ、認知度の向上や品質の高さなどから大手企業でも導入を検討するところが出てきたほか、製造業からの引き合いも増え始めている。このため2017年2月期より製造業向けに機能を限定したライト版の販売をクラウドサービスで開始している。 「OBDZ」に関しては2013年のリリース以降、機能改良の途上段階ではあるものの、導入社数が10社を超え、徐々に契約数も増え始めている。なお、「SI Object Browser」シリーズと「OBPM」については、中国市場でも現地の提携先企業を通じて販売活動を行っているが、売上実績としてはごくわずかで業績への影響はない。 2. ERP事業 ERP事業ではWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」を導入販売している。「GRANDIT」は14社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、同社は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。「GRANDIT」の顧客ターゲットは中堅企業となり、導入社数はコンソーシアム全体で950社まで拡大している。「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、また、スマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であれば、どこでもシステムの利用が可能となる。また、14社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に生かされるため、機能面での競争力も高い。 同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムの中でトップの実績を誇っている。「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」を、また、ソフトウェア業界向けには「OBPM」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」を自社開発し、拡販を進めている。 国内のERP市場は2016年に約1,130億円規模となっており、今後も年率5%程度の安定成長が見込まれている。ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けがなされており、大企業向けではSAPやOracleが圧倒的に強い。同社が顧客対象とする中堅企業向けでは、富士通<6702>の「GLOVIA」やオービック<4684>の「OBIC7」など複数の製品が競合として挙げられるが、最近では求められるニーズが多様化しており1件当たりの受注規模も大型化する傾向となっている。売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概に言えないが、平均すると20%台の水準と見られる。 3. EC・オムニチャネル事業 EC・オムニチャネル事業では、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として販売している。「SI Web Shopping」の特徴は、大規模ECサイトに強いということにある。具体的には、売上金額が数百億円規模となる大量のトランザクション処理に対応可能なスケーラビリティと、高いセキュリティ機能を有しており、スマートフォン等のモバイル対応機能や、英語、中国語など多言語への対応も行っている。発売以降累計で1,100超のECサイトに導入実績がある。 ECサイト構築パッケージ業界でのポジションは、大規模事業者向けに限定すれば同社と、ソフトクリエイトホールディングス<3371>の子会社である(株)ecbeing、(株)コマース21の3社でほぼ寡占状態となっていたが、ここ最近は他の業務システムの連携機能を付加するなどニーズが多様化してきたこともあり、1件当たりの受注単価が大きくなると同時にSIerとの競合も増えてきており、競争は激しくなっている。 なお、2015年にリリースしたオムニチャネル対応の統合管理分析クラウドサービス「SOCS」については、収益化が困難と判断し、当第2四半期に開発を中止し撤退する方針を決定している。なお、ソフトウェア資産については既に全額償却済みとなっているため、業績面への影響はない。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MW》
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