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伊藤忠エネクス Research Memo(6):電力・ユーティリティ事業は電力小売事業開始後セグメントの一角に成長

2014/10/16 17:53 FISCO
*17:53JST 伊藤忠エネクス Research Memo(6):電力・ユーティリティ事業は電力小売事業開始後セグメントの一角に成長 ■事業部門の詳細 (3)電力・ユーティリティ事業 電力・ユーティリティ事業は伊藤忠エネクス<8133>の中では比較的新しく、2010年に特定規模電気事業開始届出書を経産省に提出して電力小売事業を開始したところから始まる。その後、2011年に工場向け電力供給事業を行うJENホールディングスを、また2012年には熱供給事業を行う東京都市サービス(TTS)を、それぞれ連結子会社化して現在の事業体制の基盤が固まった。2013年4月に現在の電力・ユーティリティ事業本部が設置され、4事業セグメントの一角を占めるようになって、名実ともに体制が整った。 電力事業 電力事業の中核は2011年に100%子会社化したJENホールディングスだ。同社は大手企業の自家発電設備を譲り受け、その大手企業の工場に電力を供給するほか、伊藤忠エネクス経由で販売する公共施設や民間企業への電力供給や余剰電力を電力会社に売却するというのが事業モデル。発電施設としては、石炭、天然ガス、風力、水力、太陽光など、幅広くラインアップしているが、近年はウインドファーム(風力発電設備)の買収・強化が目立っている。 2014年8月現在では5つの電源事業会社が活動しており、収益的には全社黒字と好調な状況が続いている模様だ。2014年10月には風力発電事業を行うJEN胎内ウインドファーム(株)が稼働し、さらには2015年3月には石炭火力発電を行う防府第二パワーステーション(株)が完成予定となっている。こうした電源施設の強化は2016年の電力小売自由化への対応をにらんでのものである。 電力供給事業における供給フローを下に掲げた。JENホールディングスの各電源事業会社で発電した電力は、(1)工場への直接供給、(2)電気事業者(新電力、電力会社)及び日本卸電力取引所(JEPX)への販売、及び(3)伊藤忠エネクス経由で公共施設や民間事業者等への小売(契約電力50kW以上)の3つの販路で販売されている。販売量は「卸売>小売>工場向け供給」という状況であるが、2016年の電力小売自由化に向けて小売へのシフトに取り組んでいる。電力小売ノウハウの蓄積、需給管理業務の強化による収益向上を目指している。 また、電力小売自由化も見据え、王子ホールディングス<3861>と共同で電力販売を行う新会社を設立し、電力小売事業に参入することを9月26日に発表した。王子ホールディングスが持つ製紙工場の余剰電力や、新設する発電設備の電力を商業施設などに販売する計画。新会社は、伊藤忠エネクスが60%、王子ホールディングス傘下の王子グリーンリソースが40%を出資し2015年1月に設立、4月に販売開始を予定している。5年後には年間販売量約30億キロワット時、売上高50,000百万円程度を見込んでおり、業績への貢献が期待される。 なお、弊社では、以下の2つの点で、同社の電力供給事業が高い競争力ひいては高い成長ポテンシャルを有していると考えている。1点目は、同社が新電力事業者として石炭火力等のベースロード電源を自社保有していることだ。ベースロード電源とは安定供給が可能な、電力需要のベースの部分を担う電源という意味である。太陽光や風力などの自然エネルギー電源だけでは安定供給という点で不安が残るのは否定できない。同社はコスト競争力ある石炭火力等の設備を有して電源の多様化がされており、今後の電力小売の自由化に向け、競合に優位性を発揮できるものと思われる。 2点目は、ホームライフ事業本部が手掛けるLPガス事業が有する100万世帯ネットワークの存在だ。これは最終顧客と直接につながっているということで、非常に高い価値を有していると言える。様々な商材をそのルートに乗せることが可能であるが、最も素直に考えれば、電力とLPガスのエネルギーのセット販売が最有力商材と言えるのではなかろうか。電力小売自由化は2016年であり、具体的な商材まで落とし込むのはこれからということになろうが、100万世帯ネットワークの活用が成功すれば、同社の電力供給事業の中長期的成長力は一段と高いものになると期待される。 熱供給事業 熱供給事業は2012年に、東京電力<9501>から東京都市サービス(TTS)の株式を譲受(同社持分は66.6%、残り33.4%は東京電力)したことで新規参入した。TTSは省エネルギー性に優れたヒートポンプと蓄熱槽を組み合わせた電気式の熱供給センターを首都圏で18ヶ所運営している。最も古いものは1984年の供給開始で、他にも1990年前後に供給を開始した熱供給センターが多く存在している。しかしながら、これらの中には熱供給センターが入居している建物の改築に合わせてリニューアルしたものもあるほか、熱供給設備も定期的にメンテナンス・更新を行っているため、30年前の設備がそのまま使われているという状況ではない。一部、非効率なものもあるが、国内トップレベルの効率を誇る熱供給センターも複数運営しており、熱供給全体としては着実に利益を生み出す事業となっている。 熱供給事業における競合は、熱源としてガス系企業が挙げられる。また、大規模都市開発との密接な関連性という性格から、大手不動産会社系の事業者もライバルである。しかし、同社のTTSも大手総合商社と東京電力のJVという体制であって、競争力は高いと考えられる。当面は2020年の東京オリンピック開催に向けて大規模都市開発プロジェクトが多数進行し、同社/TTSグループも、適宜入札に参加して、熱供給拠点の拡大を目指していくものと思われる。 弊社では、TTSが東京電力傘下から同社傘下になったことにより、受注活動での競争力が増大したと考えている。理由は、TTSにとって熱源の選択肢が増えると考えられるからである。すなわち、東京電力の下では電気式以外の選択肢は事実上なかったと考えられるが、伊藤忠エネクス傘下となったことで、純粋に経済原理に基づいた最も低コストかつ安定供給の熱源の選択が可能になると考えられる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《FA》
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