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伊藤忠エネクス Research Memo(5):カーライフ事業は車関連ビジネスの利益成長を計画

2014/10/16 17:48 FISCO
*17:48JST 伊藤忠エネクス Research Memo(5):カーライフ事業は車関連ビジネスの利益成長を計画 ■事業部門の詳細 (2)カーライフ事業 伊藤忠エネクス<8133>のカーライフ事業は、系列のガソリン・スタンド(以下、「SS(サービス・ステーション)」と省略)へのガソリンの卸売と、子会社によるSS経営を中心として、自動車の車検・メンテナンス、新車及び中古車の販売、レンタカー事業、カード事業などで構成されている。 カーライフサポート事業 カーライフサポート事業とは、SSを中核とした自動車周りの事業の総称だ。同社は2014年6月末現在、全国で2,101ヶ所の直営及び系列SSを有している。このうち、直営SS数は約300で、エネクスフリート(株)、(株)九州エナジー等の子会社が直営SSの経営に当たっている。残りの約1,800は同社と販売店契約を結んだ系列SSで、同社はそれらに対してはガソリン等の卸売を行っている。 SS業界では、大きくは日本の人口減少といったマクロ的な問題から、国内自動車保有台数の頭打ち、後継者不足、施設老朽化などミクロ的問題まで様々な要因によって、SS数の減少が続いている。そうした中で、同社は約2,100のSSを系列に収めているが、これは商社系としてはダントツに多い状況だ。SSのブランド的には、ほぼすべての元売各社と取引しており、直営SSにおいても、各元売のブランドによるSS店が展開されている。ブランド別SS数では、同社の設立の経緯もあってENEOS(JXホールディングス<5020>)が最も多く、Shell(昭和シェル石油<5002>)、cosmo(コスモ石油<5007>)と続くが、自社ブランドの「carenex」店舗も展開している。carenex店舗は、系列店と直営店を合わせて約430店舗に達している。 SS事業の収益構造は、店舗単位で見た場合は、ガソリンの仕入価格と販売価格の差(スプレッド)が利益となるシンプルなものであるが、仕入価格と小売価格が別のロジックで動くところがポイントだ。日本は原油をほぼ100%輸入に頼っているが、石油精製会社(元売)の販売価格(同社から見れば仕入価格)は主に「コスト(原油価格、為替レート、精製コスト)+精製マージン」で決定される。同社はそのガソリンを、一部は系列SSに卸し、一部は直営SSにおいて小売販売することになる。この小売価格は、基本的には「仕入価格+店舗利益(小売マージン)」となるが、需要変動や近隣店舗との競争などの要因からも影響を受けるため、小売マージンが縮小することも多い。現状は、石油精製能力の削減などもあって、元売側と卸・小売側との価格交渉力を比べると、相対的には元売側の価格交渉力が強い状況となっている。 こうした状況における同社の戦略は明快だ。まず、SS事業をマクロ的に捉えた場合、“面積”、すなわちSS数を増加させることが重要という経営論がある。この点に対しては、直営店は現状を維持する一方、系列SSについては質を重視しながらチャンスがあれば拡大していくというスタンスだ。SSの「質」というのは具体的には、立地はもちろんだが、SSの設備年齢や販売数量(月間120キロリットルという業界平均が1つの目安)などが、その判断基準となる。面積が重要なことは間違いないが、質の伴わないSSはむしろ「負の資産」と化すリスクが高いため、やみくもな拡大策は採らない方針だ。 しかし同社がそれ以上に注力するのは、SSを単なる給油拠点とするのではなく、自動車の車検・メンテナンスやオイルなど自動車関連物品販売の強化、さらには車販売やレンタカー(自社ブランド「イツモレンタカー」)の取扱いで自動車の非保有者を取り込む工夫など、SSを多機能・高機能化させて収入増を図る戦略である。同社は、SSを生活における自動車関係全般のニーズに対応する拠点と位置付けて、社内的にはSSを「カーライフ・ステーション(以下CS)」と呼称している。CSはSSの社内名称であると同時に、同社のSS事業のコンセプトかつスローガンでもあると言える。従来型SSから同社が目指すCSへの進化は、各SSで着実に進んでいる模様だ。 新車ディーラー事業 同社は2014年5月に、大阪カーライフグループの株式51.95%を取得し、子会社化した。大阪カーライフグループは、日産大阪販売を傘下とする持ち株会社であり、2013年3月期の連結売上高105,920百万円、営業利益2,792百万円、当期純利益2,522百万円を計上している。日産自動車<7201>のディーラーとしては、大阪府下唯一であり、収益規模で全国最大規模を誇っている。 この企業買収に踏み切った狙いについて同社は、カーライフ事業が燃料販売、SS運営の従来の枠組みを超えて、自動車関連事業に本格的に参入するためのもの、としている。すなわち、同社は「カーライフ・バリューチェーン」の強化を目指しているが、そのバリューチェーン全体の付加価値が向上すると期待している。 同社のカーライフ・バリューチェーンの考え方は、車利用のサイクルを考えると分かりやすいだろう。大阪カーライフグループの子会社化によって、従来からのCS(SS)におけるサービスに新車販売が加わり、車利用サイクルのすべての局面において、同社は収益機会をラインナップすることに成功したと言える。 弊社では今回の企業買収をプラスに評価している。その理由は明快で、大阪カーライフグループの収益規模の大きさと事業基盤の強さだ。この企業買収に係る取得費用は株式取得費6,000百万円、アドバイザリーフィー100百万円の計6,100百万円とされている。少数株主持分も考慮した実質的なPERで見て約5倍での取引だったことになる。また、同社は大阪府下唯一の日産自動車ディーラーということで、他メーカーとの競合はともかく、日産自動車については大阪府下の需要を一手に取り込める立場にある。この営業基盤は相当に強いと考えられる。 以上のような施策を経て、同社ではカーライフ事業の収益構造を、従来のガソリン類の販売からの利益をコア事業として維持しつつも、同時に車関連ビジネス(車検、レンタカー、物販等)からの利益を成長させ、両者の割合を50対50へと変化させることを、当面の事業計画としている。自動車関連事業の強化策がこの案件だけで終わるのか、今後も同様の企業買収が起こり得るのかについて、会社側から当然として発表はない。ただし、弊社では、過去からの同社のM&Aへの積極的な姿勢やSS業界の長期縮小トレンド継続といったことを考えれば、同社が今後もM&Aを行ってゆく可能性が高いとみている。今回のように正しい案件選択と適切な価格による買収が実行されるのであれば、基本的に同社にとってはプラス効果につながるものと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《FA》
関連銘柄 5件
5002 東証1部
1,682
3/26 15:00
±0(0%)
時価総額 626,706百万円
石油元売り大手で原油処理量国内第5位。財務体質健全。出光興産と19年4月に株式交換を実施し、経営統合を予定。15か月変則決算。19.3期4Q累計決算は増収・増益。通期営業利益見通しを830億円下方修正。 記:2019/02/15
5007 東証1部
164
9/25 15:00
-3(-1.8%)
時価総額 139,024百万円
石油元売りシェア第4位で10%強。爆発事故の千葉製油所は本格稼働へ。現在の中計期間中は積極投資を計画。千葉県にある主力製油所を東燃と統合の方向。今期は原油価格下落による評価損ゼロへ。利幅回復で営業黒字に。 記:2015/08/28
5020 東証プライム
778.7
9/30 15:00
-8.9(-1.13%)
時価総額 2,515,421百万円
大手エネルギーグループ会社。石油元売りトップ。サービスステーションの運営や石油・ガス開発、金属資源開発、製錬を行う。今期3Q累計は原油価格や金属価格の下落が影響も、在庫影響を除き営業増益となった。 記:2024/04/16
7201 東証プライム
402.5
9/30 15:00
-25.6(-5.98%)
時価総額 1,698,838百万円
自動車大手。仏ルノー、三菱自と3社連合を形成。EV展開で先行。24.3期3Q累計は中国の競争激化。だが半導体不足解消を受けて中国以外で販売を伸ばす。値上げ効果も出て増収増益に。ホンダとEV分野で提携検討。 記:2024/04/12
8133 東証プライム
1,558
9/30 15:00
-44(-2.75%)
時価総額 182,101百万円
伊藤忠傘下のエネルギー商社。自動車販売のカーライフ事業、船舶燃料販売等の産業ビジネス事業、電力小売事業等も。配当性向40%以上目処。LPガスの直売顧客軒数は57万件超。31.3期純利益200億円以上目標。 記:2024/06/04