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アールシーコア CORPORATE RESEARCH(7/9):積極的な採用・研修に係わる「戦略的費用」の増大を想定

2014/8/8 20:55 FISCO
*20:55JST アールシーコア CORPORATE RESEARCH(7/9):積極的な採用・研修に係わる「戦略的費用」の増大を想定 ■前年度決算と経営指標分析、今期見込み ◆費用増加の精査 費用増加の精査 売上高が前期比613百万円拡大する見込みであるのに対して、営業利益が前期の897百万円から300百万円に減少するということは、売上に関わる費用(売上原価及び販売管理費)が1,210百万円増加するということである。 筆者はこの今期の費用増加について、(1)売上原価に関わる、円安、資材の高騰、職方不足対応による結果的なコスト増、(2)本社移転に関わるランニングコスト、償却負担の増加、(3)短信に書かれた「戦略的費用の増加」に分けて考える必要があると判断している。 ◆売上原価に関わるコスト増 (1)売上原価に関わるコスト増 売上総利益率の推移を見てみると、アールシーコア<7837>の場合2011年3月期以降の4期間に亘り、34.1%~34.6%の間で安定的に推移してきた。そのため、前期までの売上原価率を考慮すると、売上高が613百万円増加することによる自然売上原価増加額は613百万円×65%=398百万円=約400百万円と考えられる。 ◆為替の影響 次に考えなくてはならないのが為替の円安による影響である。同社は、輸入企業に対して円安の影響が出ると思われた前期についても売上原価率が0.4%低下している。同社のログハウス・自然派住宅は、「あきつログハウス」を除けば外国材の使用比率が高く、主な輸入相手国はフィンランド、カナダである。 それなのに、前期、原価率が低下したということは、部材のコストカットなどの影響が大きかったと考えるよりは、むしろ、同社は円安の影響を前期はさほど決算上受けなかったのではないかと考える方が自然である。それは、円安進行までに行っていた「為替予約玉」の存在である。 その為替予約玉であるが、円安が始まった衆議院解散決定から既に現在1年半が経過しており、多くの輸入企業が円安進行前の為替予約玉を持たない状態である。衆議院解散決定時に2年間という長期の予約を施していたとしても今年下期には“カラ”になることが予想される。輸入企業について円安=原価高の影響が表れるのは前期よりも今期の方が大きいとの見方をSC社はとっているが、RCC社についても今期はその影響が出ると思われる。むしろ、前期は当該部署がそれまで積極的に行ってきた為替予約が非常に奏功したと考えるべきである。 為替の影響について、商社を通して輸入する部材(約半年先まで、為替、部材価格込みで円建て契約を行う)以外の直接予約分について「1円の円安で1000万円利益減少」とし、あまり明解な開示を行ってこなかったが、それは高い為替予約比率が背景としてあったのかもしれない。 同社が部材を輸入している際に用いられる3通貨の年度別平均レートは図表17のとおりとなる。ここで、為替予約比率を5割と仮定すると、筆者の試算によると、今期の円安による収益の悪化は80百万円から100百万円と見込むのが妥当と考えられる。 その他の売上原価に関わるコストの増加要因としては、資材の高騰、職方不足への対応であるが、これについてSC社が現段階で合理的な費用の増加額を推定することは困難である。 ◆本社移転の影響 (2)本社移転に関わるランニングコスト、償却負担の増加 同社はこの3月に本社をそれまでの東京都渋谷区南平台からほど近い、同区神泉町に移転した。新本社は7階建てビルの1棟貸借で、1階には同社のガジェット(「BESS」の家の暮らしを楽しむための道具たち(机、椅子、置物、スベリ棒、ウンテイ、ハンモック、はては使用目的不明なもの。同社いわく「ガラクタ」)が、“所狭し”と並び、道行く人を驚かせる。 しかし、中に入ると、2階から7階のほぼ半分が、講堂、研修室、打ち合わせ・会議室となっており、直販、販社、BP社の営業員の研修も、その大きな目的の一つとした移転であったことが分かる。そのため、意義としては、同社の言う「戦略的費用」の意味合いがあるが、家賃増のランニングコストと償却は今期1年に限るわけではなく、その費用増加は別要因として考えるべきと判断する。SC社のヒアリングに対して同社は、2014年度、2015年度について、それぞれ90百万円の費用の増加を認めている。 但し、再度斟酌を加えると、今回の移転は数年前から候補地を探し続けていたものであり、決して短期的に判断されたわけではない。また、その費用の増加についても、移転がもたらす研修等の効果が長年に亘り同社の契約高増に結びつくとの判断が前提にあることは確かである。 ◆「戦略的費用の増加」 (3)短信に書かれた「戦略的費用の増加」 以上から、総費用増加金額1,210百万円の内訳として、筆者は、売上増に伴う自然売上原価増加額400百万円、為替の影響100百万円、本社移転に伴う費用増加額90百万円を引いた620百万円が、「資材の高騰、職方不足への対応見込み」及び同社のいう「戦略的費用」の増加分と試算する。また、今般、決算説明会において、同社は「戦略的費用」を約500百万円と明言したことから、「資材の高騰、職方不足への対応見込み」は約120百万円を見込んでいることになる。 「戦略的費用」の内訳 ~「営業員数の増加」、「契約棟数増加」という課題への対処~ 営業員数の増加について、同社は「販社の拠点で顧客対応にあたる営業員を、RCC本部主導で前倒し採用を行い、BESSの正規の営業教育を施し、質の高い営業員を増やす」ことを明らかにしている。そのため、積極的な採用・研修に係わる費用の増大が想定され、この部分に戦略的費用500百万円の約半分の金額を投じるとしている。 また、契約棟数増加に向けた施策については、特に販社のセグメントを強く意識したものとなると思われる。ここ2年間で3セグメント合計の契約高に占める同セグメントの比率が低下していること、また、前期、新規来場数の増加が契約棟数の増加に想定したほど結びつかなかったことを、同社は非常に懸念している。そのため、新商品の開発、今期の販社応援費用等で、営業員数の増加に向けた費用と同じ約250百万円を投じるとしている。 ◆「販社制度」を再度考える 「販社制度」を再度考える 両者の費用を考えると、「戦略的費用」とはつまるところ、販社に対する施策費用であることが分かる。ここまで同社が販社にコミットする理由は、RCC社と販社との結びつきが、小売業におけるFC制度などとはレベルの違う深い関係であるからである。 同社が築き上げたこの販社制度(FC制度)は、大手といえどもこれから取り入れることはなかなか容易ではない。単独の展示場用地を確保して、そこに3棟以上のモデルを建てるという(投資)費用を(地区)販社が負担するというのは、よほどの信頼とその商品に対する理解がなくてはできないことである。そのため、参入障壁の極めて高いこの制度は、RCC社にとって“至宝”ともいえるものであるが、一方で、販社の契約動向に業績が大きく左右される点、また、販社は独立した会社であり、直接グリップすることが困難であるというデメリットもある。 そのため、今期同社は、本部機能として販社の営業員を再度研修し、“「BESS」の営業員としてのプロ”を育てるという強い意識を持っている。ここで言う「プロ」とは、決して単に“物(家)を売るプロ”ではない。社長に今期の研修についてインタビューしたところ、「「BESS」の営業を理解し、それが実際に売上に結びつくまでは1年以上の時間がかかる。新規の営業員に対してその研修を行うだけでなく、既に販社の営業員である人に対しても再度の研修を行いたい」との答えが返ってきた。また、本部の営業員を販社に派遣することも考えているという。筆者は販社の前期の不振について、大手社との比較により、「同等」との評価を行ったが、同社の経営陣は同社における販社の重要性を強く認識したうえで、その施策を打ち、係る費用を今期に計上するのである。 ◆SC社今期業績予想 SC社今期業績予想 そのため、今期においては、四半期決算の開示情報により、営業員増員施策、販社政策、商品競争力の強化といった項目がどのように進捗しているか、どのような施策が採られたか、また、それは中期経営計画のみならず、「その先」を見据えたものであるかの判断を都度行うことの方が、業績見通しを立ててそれを検証することよりもはるかに重要であると考え、SC社はRCC社の今期の業績予想をたてないこととする。業績予想をたてない補足的な理由は以下の2つ。 (1)今期営業員数の増加が困難であろうと予測することは、費用の縮小=利益落ち込みの軽減、を意味するが、このことは、戦略的な費用拡大、それに伴う利益の減少を経営判断としている同社に対する評価において意味を持たないということ。 (2)利益の今期の落ち込みは大きいが、営業利益は売上高から売上に関わる費用を引いたものでしかなく、費用の増加という点で見ると、今期は1,210百万円の増加を見込んでいるが、前期は対前々期に対して、1,648百万円増加している。 つまり、前期は売上高が1,857百万円増加したがゆえに費用の増加を吸収した形となっているが、今期は売上高の増加を613百万円しか見込んでいないがゆえの減益である。しかし、その気になれば売上高に示現可能な契約残高は前述のように3セグメントで6,614百万円存在している。売上高の保守的な伸びの見込みには、職方不足に対して追加の大きなコストを払ってまで売上転化を急がないという判断が含まれていると思われる。またこのことは、筆者の「住宅販売業界は売上高よりも(期間)契約高が重要」という考え方にも一致している。その意味で同社の今期の売上高が見込みよりも増減し、その分、営業利益が増減しても、それは筆者の同社に対する評価に何の影響を与えるものではない。大切なことは、今期が今後の安定的な契約高の増加の蓋然性を高める1年になるかどうかの一点である。 スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男 《FA》
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自然派個性住宅の製造・販売、タイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」の運営管理等を手掛ける。ログハウスで国内トップシェア。単独展示場「LOGWAY」を展開。BESS新築住宅事業の立て直しに取り組む。 記:2024/08/12