マーケット
11/26 15:15
38,442.00
-338.14
44,860.31
+123.74
暗号資産
FISCO BTC Index
11/28 9:51:17
14,631,001
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

【フィスコ・コラム】FRBによる17年の3回利上げ予想は非現実的?

2016/12/18 12:05 FISCO
*12:05JST 【フィスコ・コラム】FRBによる17年の3回利上げ予想は非現実的? 11月8日の米大統領選後の「トランプ・ラリー」が続き、100円付近をさ迷っていたドル・円はとうとう2016年の始値120円台を目指す展開です。大統領選でそのうち脱落するとみられていたトランプ氏が予備選を勝ち抜き、本選で勝利してしまった破竹の勢いがドルに乗り移ったようです。 米連邦準備制度理事会(FRB)が2015年12月、9年半ぶりに金融引き締めに踏み切ったことで、日米金利差が強く意識されるとの見方から2016年はドル高・円安に振れると筆者は予想していました。しかし、この利上げ直後から、実は今年のドル安・円高トレンドは始まっていたようです。今年は120円26銭でスタートした後、中国市場の混乱でドル安・円高の基調に向かい始めました。 2月に中国・上海で開催された20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)の閉会後、参加国がドル安を容認することで一致したとされる「上海合意」のウワサが市場に広がりました。自国の企業業績の伸び悩みからドル高政策を転換したい米国の提案に対し、日本を含む参加各国がそれを受け入れたとされました。「合意」を実証するコメントなどは得られていないので、ドル高修正で一致したとの見方はあくまで市場の憶測にすぎません。 その後ドル安・円高が加速したため、市場の憶測は現実味を持って広がっていきました。2月時点では年初から2割も円高に振れていたのに、米国政府は「合理的な動きでないとは言えない」として日本の為替介入を封じ込め、一段のドル安・円高を黙認していました。ある外為ディーラーは「大統領選でクリントン氏を担ぎたい米国政府は、ドル高政策を批判するトランプ氏に有利になる材料を与えないようドル高を抑え込んでいる」との見立てでした。これが「上海合意」の狙いだというのです。 しかし、「上海合意」が仮に存在していたのだとしても、クリントン氏の敗北で意味を失いました。ドル安・円高を放置する理由はなくなり、一気に巻き戻されます。この「トランプ・ラリー」について、今のところ米当局者からけん制発言は聞かれず、選挙期間中にドル高政策を批判していたトランプ氏自身も為替の問題にはコメントしていません。それがドル高に拍車をかけているのです。 FRBは今月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりとなる利上げに踏み切りました。来年以降の利上げペースは年3回とみられています。市場は素直にそれを受け入れドルは一段高。本来なら株安要因ですが、足元は株高基調を維持しているため、ドル高を支援しています。ただ、2016年には利上げは4回とみられていたのに、なし崩し的に先送りして結局1回にとどまったことを考えれば、2017年に年3回というのは非現実的でしょう。 いつも話を聞く市場関係者は「ドルはそろそろピークでこれから調整局面に入るだろうね」と毎日言っています。一方、先の外為ディーラーは「理由は何とも言えないけど、まだ上がると思うよ」と、やはり毎日話しています。本来なら前者の方が正しいのに、足元は後者の見方になっています。最近では「米金利との相関性が薄れるまでドルは上がり続ける」というストラテジストのコメントに説得力がありそうです。 (吉池 威) 《MT》