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日経平均は続伸、市場の関心は金融政策よりも実体経済へ

2022/9/9 12:11 FISCO
*12:11JST 日経平均は続伸、市場の関心は金融政策よりも実体経済へ  日経平均は続伸。154.42円高の28219.70円(出来高概算7億4456万株)で前場の取引を終えている。  8日の米株式市場でダウ平均は193.24ドル高(+0.61%)と続伸。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレを目標値に引き下げるまで力強く行動すると公約し金利が上昇したことで売りが先行。欧州中央銀行(ECB)が0.75ptの大幅利上げを実施したほか、追加利上げの可能性が指摘されたため警戒感も重石になった。一方、FRBの利上げについてはほぼ織り込まれたほか、米経済の景気後退入り回避への期待も根強く、一進一退の末に後半からは買い戻しが優勢となった。ナスダック総合指数は+0.59%と続伸。  日経平均は139.43円高からスタートすると、寄り付き直後に28286.02円(220.74円高)まで上昇。ただ、株価指数先物・オプション9月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)に伴う売買も絡み、その後は一進一退で方向感に欠ける動きが続いた。なお、SQ概算値は28253.40円だった。  個別では、ダブル・スコープ<6619>、レノバ<9519>が物色活発で売買代金上位で大幅高。塩野義<4507>、中外製薬<4519>など医薬品のほか、郵船<9101>、商船三井<9104>の海運、京セラ<6971>、日東電工<6988>、イビデン<4062>など電子部品の一角が高い。ギフティ<4449>、SREHD<2980>、ラクスル<4384>など中小型グロース株が全般強い動き。新日本科学<2395>、ISID<4812>はレーティングを材料に急伸。一方、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、HOYA<7741>、ダイキン<6367>など日経平均への寄与度の大きい銘柄で軟調なものが多い。グロース株高のなかメルカリ<4385>は下落。8月既存店売上高がやや軟調だったラウンドワン<4680>、レーティング格下げが観測されたIIJ<3774>なども売られた。  セクターではサービス、海運、医薬品が上昇率上位となった一方、ゴム製品、空運、精密機器が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体67%、対して値下がり銘柄は28%となっている。  日経平均は続伸するも伸び悩み。一時は25日移動平均線を超える場面があったが、結局、同線が上値抵抗線として作用する形となっている。小幅ではあるがSQ値を下回った推移の時間が続いていることもあり、今後の株価はやや冴えない展開が想起されやすいか。  一方、米国を含め、株式市場においては下値では押し目買い意欲も見られており、ずるずると下げ続けるような展開にはなっていない。前日はECBが0.75ptの過去最大の利上げに踏み切り、今後も0.75ptの利上げの可能性が示唆されたことで、グローバルに金利が上昇した。米10年債利回りも8日、3.32%(+0.06pt)と再び上昇に転じた。また、パウエルFRB議長の討論会での発言は新味に欠けるものではあったが、ジャクソンホール会議でのタカ派的な主張を改めて強調するものだった。そうした中でも、前日の米株式市場は主要株価3指数が揃って続伸し、方向感に欠ける動きながらも堅調さを見せた。  20日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)については、0.75ptの利上げがほぼ完全に織り込まれた。これにより、来週13日に発表される米8月消費者物価指数(CPI)での警戒感もやや薄れてきた様子。大幅に上振れでもしない限り、市場の反応は乏しいものに終わりそうだ。9月FOMCについては、政策金利見通し(ドットチャート)でターミナルレート(利上げの最終到達点)が4%超えの水準にまで引き上げられるのかが、もう一つの注目点になる。金利先物市場を見る限り、2023年3月~5月頃の3.9%台が政策金利の最高水準とされており、ターミナルレートについてはまだ織り込み不足とみられる点は一つ気掛かりではある。  しかし、総じて金融政策そのものが市場に与える影響力は小さくなってきている印象を受ける。市場はもはや各国中央銀行による政策動向そのものよりも、今後も当面続くだろう金融引き締めが実体経済、企業業績にどの程度影響を与えるのかという点に移ってきているようだ。この点は、7-9月期決算が発表される11月中旬頃までは明確になってこない。それまでは他の条件を所与のものと捉えるならば株式市場はレンジ相場が続きそうか。  むろん、その頃までに、欧州のエネルギー問題の一段の悪化などを通じて市場に動揺が走る可能性はある。また、米10年債利回りが6月に付けた高値を超えてくれば、株式の売り圧力は強まるだろう。他にも、足元の米国の実質金利の上昇ペースに対して、米国企業の予想PER(株価収益率)の下落ペースが追い付いておらず、バリュエーション調整が不十分な点も気掛かりで、こうした不整合がどこかで一気に修正される可能性もある。  しかし、それでも、良い意味で言えば底堅い株式市場の動きを見ていると、やはり、まだまだ大規模緩和相場時代に生まれた溢れたマネーが溜まっているのかと考えざるを得ない。量的引き締め(QT)が今月から倍速では行われているが、効果が表れるには時間がかかるだろう。当面はボラタイルながらも、カネ余り相場の余韻に支えられるような時期を過ごすことになりそうだ。(仲村幸浩) 《AK》
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