マーケット
11/22 15:15
38,283.85
+257.68
44,296.51
+888.04
暗号資産
FISCO BTC Index
11/25 23:28:19
14,978,875
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

橋本総業HD Research Memo(3):主要倉庫での売れ筋の在庫ともに、各拠点での地域に密着した在庫が強み

2021/7/6 15:23 FISCO
*15:23JST 橋本総業HD Research Memo(3):主要倉庫での売れ筋の在庫ともに、各拠点での地域に密着した在庫が強み ■事業概要 1. 取扱商品 橋本総業ホールディングス<7570>の取扱商品は、管類、継手類、バルブ類、化成品類、工具関連機材などの管材類をはじめ、便器・手洗器、洗面化粧台など衛生陶器・金具類、給湯関連や厨房関連など住宅設備機器類、各種エアコンや各種ポンプなど空調・ポンプであり、水回りのパイプやガス関連の商品が多いという特徴がある。主要な仕入先メーカーは住宅設備の積水化学工業<4204>や衛生陶器のTOTO、建材・電材のパナソニック<6752>、バルブのキッツ<6498>、エアコンのダイキン工業<6367>など、業界や日本を代表する大手有力メーカーが多い。なかでもTOTOからの仕入高は全仕入の約30%を占めており、メーカーにとっても同社は外すことのできない流通の要となっている。登録アイテム数は専門商材を中心に約250万点あり、主要倉庫では売れ筋を中心に常時約1万点以上を在庫しているが、各拠点でも地域に密着した在庫を取りそろえている。なお、2021年3月期のセグメント別売上高構成比は、管材類28.4%、衛生陶器・金具類30.4%、住宅設備機器類17.2%、空調・ポンプ22.7%、その他1.3%となっている。 2. 流通構造上の特徴 近年、MRO(間接資材)の販売において、MonotaRO<3064>やアスクル<2678>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などインターネット通販業態の成長が目覚しい。メーカーとの直接取引やユーザーへの大量販売を背景に価格が安いというイメージがあり、非効率な多段階流通や中間マージンを是正して成長する先進的な流通と見なされることが多い。しかし、これはかつてホームセンターがプロ向け商材を拡充した際の状況に似ている。大型化を進めたホームセンターが巨大な売場に大型機械から建材、MROなど様々な商品を品ぞろえした際、株式市場では工事店などプロ客が既存流通からホームセンターへシフトすると予想した。しかし、プロ客の多くはシフトせず、ホームセンターの既存流通への影響は1人親方と言われる個人経営の職人など一部にとどまった。既存流通は品ぞろえの多さに加えて、発注から配送までの一連の作業をプロ同士が効率良く行えることから、工事店の多くでは既存流通が支持されることとなった。 インターネット通販業態も、単に安く早く商品を流すだけでは工事店のニーズを捉えきることはできないと思われる。最大の理由は、インターネット通販業態が情報(説明)を必要としないMROを中心に扱っているのに対し、卸商は専門的な情報を必要とする管材や電材に絞った深い品ぞろえになっているからである。特に同社は、取引先向けに商品情報や地域~マクロの情報、人材の研修・教育などのサービスを提供しており、その他にも設計段階から見積もりに参加するなど業界自体を育成する力も有するなど流通を高付加価値化しているため、仕入先との取り組みもより深いものになる。このようにして同社は、メーカー、2次卸、ゼネコン、工事店と川上から川下までが一体となった強固なバリューチェーンを既に構築している。これを同社は、仕入先、販売店、工事店及び同社による「4位1体」と呼んでいるが、インターネット通販やホームセンターが持ちえない強みと言える。このほかにも、主要倉庫及び各拠点で在庫を取りそろえていることや、経営相談や後継者育成などのサポートなど、同社独自の強みがある。これらの機能を評価し、工務店の多くは同社を支持していると弊社では見ている。 加えて、同社は古い流通に固執せず、新しいIT技術も積極的に取り入れている。同社は、土日祝日も含め24時間365日いつでも注文や在庫検索のできる会員専用Webサイト「OPS」を運営している。またネットカタログ「e-設備NET/PRO」では、建築現場で必要となるカタログや図面などをWeb上から取り出すことができる。販売店からのWeb受注は既に売上の2割を超え、口座数も毎月伸びているが、販売店の効率化のため、さらに比率を引き上げることを目指している。さらに、全国を網羅した拠点は、ホームセンターやインターネット通販よりも現場に近いところにあり、そこで現場に密着した在庫を十分取りそろえ、一部エリアでは発注当日に配送することも可能となっている。もちろん、管材など専門商材に特化したより深い情報やサービスをもって、営業が直接納品することもできる。このため同社は、今後も管材など専門商材の大動脈であることに変わりはないと言えるだろう。これは、インターネット通販やホームセンターが、株式市場で期待されながらも専門卸の牙城を崩せない理由でもある。 3. 収益改善に向けた取り組み 水道用材料でスタートした同社は、その後管材類全般から住宅設備機器類などへと取扱商材を拡大、それに伴い取引メーカー数を増やし、1980年代以降は全国展開を目指すエリア戦略を背景にシェアアップ、足元ではおおむね全国をカバーする管工機材・住宅設備機器卸へと成長した。近年はM&Aを積極化することでグループを拡大させており、このため同社は2016年4月に持株会社体制に移行した。狙いは、共同営業・共同仕入・共同配送などによってグループ会社間のシナジーを発揮するとともに、西日本の深耕や、管材から電材や建材への領域拡大、インターネット取引など新たな事業への取り組みを強化することにある。ここ数年、収益性の改善に加速が付いているが、競争が起こりにくい低単価品やトレンド商品の在庫などを積み増すことにより、在庫リスクを取れるようになったことが背景にあると考えられる。一方、コロナ禍のように在庫リスクが取りづらい状況になった場合でも、仕入価格や販売価格をコントロールすることで収益性の改善を図ることもできる。このように、在庫の積み増しと仕入・販売価格のコントロールが、売上総利益率改善の背景となっていると言える。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《YM》
関連銘柄 7件
2678 東証プライム
1,833
11/25 15:30
-31(%)
時価総額 178,752百万円
オフィス用品通販で成長。個人向けEC「ロハコ」も。ヤフーLINEの傘下。翌日配送を可能とする独自の物流基盤。ロハコが復調。だが法人向け通販の粗利率改善や物流効率化などで増収増益に。総還元性向45%目標。 記:2024/09/08
3064 東証プライム
2,618
11/25 15:30
-20(%)
時価総額 1,312,537百万円
工業用間接資材のネット通販最大手。工具、部品、消耗品、事務用品等を扱う。取扱商品は2200万点超。登録会員数は960万口座超。圧倒的な品揃えが強み。顧客は中小企業が中心。テレビCMなどで認知度向上図る。 記:2024/10/11
4204 東証プライム
2,324
11/25 15:30
+1(%)
時価総額 1,033,034百万円
新築住宅事業やリフォーム事業等の住宅部門、液晶用微粒子や半導体材料等の高機能プラスチックス部門が柱。塩化ビニル管、メディカル事業等も。リフォーム事業は断熱リフォームなど改装の拡販、営業人員の拡充図る。 記:2024/08/02
6367 東証プライム
18,740
11/25 15:30
+445(%)
時価総額 5,492,956百万円
空調・冷凍機事業が主力。エアコン世界首位。フッ素化学製品等の化学事業、酸素濃縮装置の製造・販売等も。海外売上比率が高い。差別化新商品の投入、増産投資等に取り組む。26.3期営業利益5000億円目標。 記:2024/06/07
6498 東証プライム
1,097
11/25 15:30
±0(%)
時価総額 99,166百万円
国内最大手の総合バルブメーカー。ステンレス鋼製バルブで国内高シェア。「KITZ」ブランドを展開。バルブのラインナップ数は9万種類超。流体制御技術が強み。販売会社設立でインド市場向け販売力の強化を図る。 記:2024/08/10
1,536
11/25 15:30
-15(%)
時価総額 3,770,029百万円
電機大手のパナソニックを中核とする持株会社。1918年創業。家電や住宅設備、AV機器、デジカメ、電子部品、産業電池・車載用電池等を手掛ける。配当性向30%目安。車載電池、空質空調等を投資領域に位置付け。 記:2024/09/02
7570 東証スタンダード
1,180
11/25 15:30
-5(%)
時価総額 25,126百万円
住宅設備の専門商社「橋本総業」を中核とする持株会社。1890年創業。管材類や衛生陶器・金具類、住宅設備機器類、空調機器などの販売を行う。管材類は非住宅分野向けが順調。在庫商材の拡充、商材の拡大に注力。 記:2024/06/17