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カドカワ Research Memo(3):2021年3月期第2四半期営業利益は7,847百万円。半期ベースで過去最高

2020/12/8 15:43 FISCO
*15:43JST カドカワ Research Memo(3):2021年3月期第2四半期営業利益は7,847百万円。半期ベースで過去最高 ■業績動向 1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要 KADOKAWA<9468>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比2.9%減の97,553百万円、営業利益で同22.8%増の7,847百万円、経常利益で同19.6%増の8,140百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同16.1%減の5,206百万円となり、営業利益は半期ベースで過去最高を更新した。コロナ禍の影響で減収となったものの、収益性の高い電子書籍事業の成長が加速したほか、ゲーム事業並びに教育事業が好調に推移したこと、また、従来から取り組んでいるDX推進により、高テレワーク率(約70%)をキープしつつ業務効率の向上が進んだことも増益要因となった。 事業セグメント別で見ると、コロナ禍の影響が大きかった映像事業やWebサービス事業の減少分を出版事業とゲーム事業の拡大でカバーした格好となっている。コロナ禍による売上高のマイナス影響額について見ると、映像事業では政府の緊急事態宣言発出に伴う映画館の休業や解除後における座席数制限により約43億円の減収となり、Webサービス事業では「ニコニコ超会議」や「Animelo Summer Live」などリアルイベントの開催中止により約18億円の減収となった。 なお、前年同期は特別利益として固定資産売却益1,604百万円、受取和解金585百万円等を計上したのに対して、2021年3月期第2四半期累計では事業構造改善費用434百万円※等を計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益については減益となっている。 ※不採算事業撤退に伴う損失、コロナ禍を契機とした賃貸借契約の解除に伴う違約金等を計上。 電子書籍の成長が加速、ゲームもリピートタイトルを中心に好調 2. 事業セグメント別動向 (1) 出版事業 出版事業の売上高は前年同期比7.0%増の60,129百万円、営業利益は同41.5%増の4,680百万円と好調に推移した。なお、2021年3月期第1四半期において全社・消去セグメントから各事業セグメントに約300百万円の費用移動(売上構成比で配分)があり、その影響で出版事業は約200百万円の費用増要因となっている。このため、実質ベースの増益率はもっと高かったことになる。 電子書籍・電子雑誌の売上高については前年同期比30%増、金額ベースで4,868百万円増加した。同市場はコロナ禍による外出自粛を契機に成長スピードが一段と加速しており、同社の売上高も2021年3月期第1四半期が前年同期比23%増であったのに対して、第2四半期は同37%増と増収率が拡大した。販路別の売上動向を見ると、「BOOK☆WALKER」経由の構成比が約2割、増収率で前年同期比29%となり、Amazon等の外販の構成比が約6割、増収率で同49%、残りがNTTドコモとの協業である「dマガジン」経由の販売となっている。会員数の増加に加えて会員1人当たり月額購入額も増加していることが特徴となっている。 一方、紙書籍については、2021年3月期第1四半期に引き続き、郊外型店舗やEC書店の好調により、第2四半期も増収となっている。コミックスで「ダンジョン飯(9)」、ライトノベルで「ソードアート・オンライン(24)ユナイタル・リングIII」、一般文庫で「青くて痛くて脆い」、一般書で「あつまれ どうぶつの森」攻略本等の販売が好調だった。 利益面では、収益性の高い電子書籍・電子雑誌の販売好調に加えて、紙書籍における書店からの返品率が改善したことも増益要因となった。また、IPの商品化・ゲーム化等による権利許諾も収益貢献している。 (2) 映像事業 映像事業の売上高は前年同期比17.6%減の13,232百万円、営業利益は同52.1%減の842百万円となった。前述したように、映画館の休業や営業再開後も座席数を制限しての営業が続いていることで、映画配給やデジタル映画鑑賞券「ムビチケ」等の販売が落ち込んだことが減収要因となった。一方、スタジオ事業やアニメ制作、海外向け版権販売については2021年3月期第2四半期に入って前年同期並みの水準まで回復している。海外向け版権販売では、北米、中国向けにアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」「デカダンス」等が貢献した。また、同社IPを活用して他社が配信するオンラインゲームとのコラボレーションによる権利許諾収入等も引き続き収益貢献している。 利益面では、減収によって2ケタ減益となったものの、第2四半期だけで見ると制作事業や版権事業の回復によって前年同期比38.0%増の1,104百万円と増益に転じており、2018年3月期以降では最も高い利益水準となった。 (3) ゲーム事業 ゲーム事業の売上高は前年同期比9.6%増の8,301百万円、営業利益は同48.5%増の2,804百万円となった。2020年3月にスパイク・チュンソフトが発売した「ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX」のほか、フロム・ソフトウェアの「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」「DARK SOULS」シリーズ等のリピート販売が好調に推移したことが増収要因となった。 (4) Webサービス事業 Webサービス事業の売上高は前年同期比17.5%減の10,861百万円、営業利益は同24.0%減の1,209百万円となった。ニコニコプレミアム会員数の減少(2020年9月末は前年同期末比12万人減の159万人)によってポータル事業が減収となったほか、ライブ事業もコロナ禍の影響で「ニコニコ超会議」や「Animelo Summer Live」など主要なリアルイベントの開催を見送り、ネット開催に切り替えるなどしたことで約18億円の減収要因となった。 ポータル事業の減収による利益減はあったものの、ライブ事業については利益への影響が軽微だったこともあり、営業利益率については前年同期の12.1%から11.1%と若干の低下にとどまった。 (5) その他事業 その他事業の売上高は前年同期比10.1%減の8,527百万円、営業損失は1,457百万円(前年同期は1,167百万円の損失)となった。 教育事業の売上高は前年同期比16.3%増の4,337百万円と好調に推移した。クリエイティブ分野のスクール「バンタン」、インターネット通信制高校「N高等学校」ともに生徒数が順調に拡大していることが要因だ。特に、「N高等学校」については2020年10月時点の生徒数が15,803人となり、2019年4月時点の10,339人から5割増と急成長が続いている。一方、MD事業はコロナ禍により、アイドルCDの発売延期やイベント中止等があったことで減収となった。利益面では教育事業が増益となったものの、MD事業の低迷やインバウンド関連事業の苦戦により損失額が拡大した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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旧KADOKAWAとドワンゴが経営統合。出版・IP創出事業が主力。アニメ・実写映像事業、ゲーム事業、通信制高校の運営等も。中計では28.3期売上高3400億円目標。出版IP数の拡大などに取り組む。 記:2024/06/13