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カドカワ Research Memo(2):出版、映像、ゲーム、Webサービスが主軸の総合エンターテイメント企業グループ

2020/12/8 15:42 FISCO
*15:42JST カドカワ Research Memo(2):出版、映像、ゲーム、Webサービスが主軸の総合エンターテイメント企業グループ ■事業概要 KADOKAWA<9468>は、出版事業、映像事業、ゲーム事業、Webサービス事業の4つの事業を主軸に国内外で展開する総合エンターテインメント企業グループである。2021年3月期第2四半期累計のセグメント別売上高構成比を見ると、出版事業が59.5%と過半を占めており、次いで映像事業が13.1%、Webサービス事業が10.7%、ゲーム事業が8.2%、その他事業(教育、CDやグッズ類等のMD事業、インバウンド関連事業)が8.4%となっている。また、営業利益はその他事業の損失分を、出版事業を中心とした4つの事業でカバーする構造となっている。現在は出版事業が売上高・利益ともに主力事業となっているが、今後は自社IPによるメディアミックス戦略により映像事業やゲーム事業のトップラインを伸ばし収益性向上を図っていくほか、2020年3月期より黒字に転換したWebサービス事業についても、ファンコミュニティの構築と新サービスの開発・提供により再成長を目指している。 1. 出版事業 同社の主力事業で、紙媒体の単行本、文庫、ライトノベル、コミックスなどの書籍や、電子書籍・電子雑誌の出版・販売等を行う。今まで創出してきた作品数は紙書籍で11万点、電子書籍で6万点に上り、これら作品アーカイブが同社グループの成長の原動力となっている。加えて、「ザ テレビジョン」「ファミ通」「レタスクラブ」などの雑誌やムック誌のほか、カスタムメディア及びWeb広告の販売などを手掛けている。 紙媒体の書籍販売はメディアミックスによる作品展開を強みとしており、年間5千点規模の新刊を継続的に発行している。長年にわたるマーケティング実績とデジタル技術の活用により製作・物流の適正化に取り組んでおり、2021年3月期第2四半期の書籍返品率は、業界平均よりも低い30%前後の水準となっている。 一方、電子書籍では、直営の電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」にて自社及び他社の作品を販売しているほか、Amazon<AMZN>や楽天<4755>など他社の電子書籍ストアでも販売している。また、電子雑誌ではNTTドコモ<9437>と協業し、雑誌読み放題サービス「dマガジン」を展開している。書籍・雑誌全体の売上高に占める電子書籍・電子雑誌の比率は2021年3月期第2四半期で5割弱の水準まで上昇するなど、年率2ケタ台の高成長が続いている。 2. 映像事業 映像事業は、映画の企画・製作・配給、パッケージソフトの販売、アニメの海外版権販売、映像配信などを手掛けているほか、(株)角川大映スタジオ、グロービジョン(株)でスタジオ事業を展開している。出版事業やゲーム事業から生み出されるグループIPの映像化、実写映画及びアニメ作品の製作配給に注力している。 3. ゲーム事業 ゲーム事業は、同社、フロム・ソフトウェア、スパイク・チュンソフト、(株)角川ゲームスがパッケージゲームソフト及びネットワークゲーム、アプリゲームの企画・開発・販売を行っている。ヒットタイトルには「DARK SOULS」「Bloodborne」「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」(フロム・ソフトウェア)、「GOD WARS」(角川ゲームス)、「喧嘩番長」「ダンガンロンパ」「ARK:Survival Evolved」(スパイク・チュンソフト)などがある。 4. Webサービス事業 Webサービス事業はドワンゴで展開しており、主力はポータル事業(動画サービス「ニコニコ」の運営等)となる。また「ニコニコ」の広告宣伝的な位置付けとして、各種イベントの企画・運営等を行うライブ事業を展開しているほか、モバイル事業(携帯電話向け音楽配信サービス)を行っている。 主力のポータル事業では、「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」「ニコニコチャンネル」などの様々なサービスを提供している。売上は「ニコニコ動画」及び「ニコニコ生放送」を快適に視聴できるプレミアム会員から得られる月額課金収入(550円/月)や、Webサイト上のバナー広告及び動画広告収入、有料動画などの視聴の際に利用するポイント収入などから構成されている。2020年9月末時点における有効会員数※1は8,300万人で、このうちプレミアム会員数は159万人(前年同期末比12万人減)と2017年以降減少傾向が続いているが、2020年3月以降は前月比で純増となる月も出始めている。2020年7月-9月における利用状況は、非ログイン視聴UU(ユニークユーザー)※2も含めたベースで見るとMAU(月間アクティブユーザー)で2,000万人となっている。 ※1 ID発行数から退会者数・不正ID数を除いた会員数。 ※2 2018年2月末より、非ログイン視聴を可能とした。 一方、企業・団体・ユーザーが動画や生放送を配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」に関しては、全チャンネル数が2020年9月末時点で9,553(前年同期末比593チャンネル増)、月額有料チャンネル数1,783(同228チャンネル増)、月額有料会員数124万人(同16万人増)といずれも増加傾向が続いている。SNS動画を使ってビジネスに取り組む企業や個人が増加しており、また、2018年のバージョンアップにより通信ネットワーク品質が大きく改善し、スマートフォンでもストレスなく高品質な動画を視聴できるようになったことが有料会員数の増加につながっていると考えられる。 ライブ事業では、「ニコニコ超会議」※1、「闘会議」※2、「Animelo Summer Live」※3などのライブイベントの企画・運営を手掛けている。このうち、2020年4月に合同開催を予定していた「ニコニコ超会議」「闘会議」については、コロナ禍の影響により「ニコニコネット超会議」(4月12日-19日)としてオンラインのみでの開催となった。開催期間を前年の2日間から8日間に伸ばしたこともあり、ネット総来場者数は約1,638万人と前年から大幅に増加した。また、「Animelo Summer Live」についても中止となり、代わりに「Animelo Summer Night in Billboard Live」をオンラインで配信した。そのほか、2019年11月にオープンした「ハレスタ」(池袋)において、“リアルとバーチャルの融合”をコンセプトにバーチャルキャラクターによるライブパフォーマンスや、アニメ・ゲーム関連のステージイベントなど幅広いコンテンツを発信している。 ※1 「ニコニコのすべてを地上で再現する」をコンセプトに幕張メッセで行われるニコニコ最大のイベント。参加するユーザーが「全員主役」となり、ネットとリアルが融合した様々な企画を展開する。2019年4月27日、28日に開催された「ニコニコ超会議2019」では、来場者数約16.8万人、ネット総来場者数約666万人を記録した。 ※2 デジタルからアナログまで古今東西のゲームが集まる、日本最大級の“ユーザー参加型”ゲームイベント。2019年1月26日、27日に幕張メッセで開催された「闘会議2019」は、「ジャパンアミューズメントエキスポ2019」「eSPORTS国際チャレンジカップ」との初の合同開催となり、会場来場者数約8.4万人、ネット総来場者数約459万人となり、日本のゲーム市場並びにeスポーツ市場の拡大に貢献している。 ※3 毎年8月から9月にかけて開催される世界最大のアニソンライブ。2019年は3日間で8.4万人と過去最高の来場者数を記録した。 モバイル事業では、「シングル楽曲/着うた®」などの配信を行う「ドワンゴジェイピー」やデジタルコンテンツ配信サイト「animelo mix」の運営を行っている。音楽配信市場の環境変化による会員数の減少傾向が続いているものの、依然として一定水準以上の利益率を確保している。 5. その他事業 その他事業は、教育事業とMD事業、インバウンド事業等が含まれる。教育事業は、クリエイティブ分野に特化したスクールを複数運営する(株)バンタン、インターネット通信制高校である「N高等学校」(角川ドワンゴ学園)等にネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育システムの提供を行うドワンゴの事業が中心となる。また、MD事業ではキャラクターグッズ及びアイドルCD・DVD等の企画・販売を(株)キャラアニで展開している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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