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USENNEX Research Memo(5):前倒しただけでなく成果も大きかった前中期経営計画

2022/5/13 16:05 FISCO
*16:05JST USENNEX Research Memo(5):前倒しただけでなく成果も大きかった前中期経営計画 ■中期経営計画 1. 前中期経営計画「NEXT for 2024」の成果 USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、2024年8月期の営業利益130億円などを目標とする中期経営計画「NEXT for 2024」を2019年8月期より進めてきたが、収益性が大きく改善したため、営業利益やEBITDAなど収益力目標に関してはすべて2021年8月期に3年前倒しで達成した。 セグメント別の収益では、業務用システム事業がコロナ禍に足を引っ張られた格好となった。通信事業とエネルギー事業は計画どおりの進捗となった。店舗サービス事業とコンテンツ配信事業が計画を上回って進捗し、特にコンテンツ事業の営業利益は計画を3倍近く超える大幅な伸びとなり、連結収益をけん引した。 また、収益構造や顧客基盤、組織力の面でも一定の成果があった。収益構造では、成長に弾みをつけるイニシャル収益だけでなく、安定した成長基盤となるランニング収益も拡大し、成長性と安定性のバランスが取れた状態となった。また、店舗サービス事業の収益が安定的に成長するなかで、店舗サービス事業以外の利益貢献が高まったことで、事業ポートフォリオのバランスが改善した。 顧客基盤においては、コロナ禍の巣ごもり需要をいち早く捉えて社会環境や顧客ニーズの変化に迅速に対応したことで、契約数が2019年8月期の257万から2021年8月期の362万へと41%増加した。顧客基盤の内訳は、通信回線やPOSレジなどのニーズを取り込んだ業務店が同期間で86万件から94万件、法人向けICTやマイナタッチの販売促進により中小企業やホテル・病院などが2万件から3万件、動画配信サービスU-NEXTの急成長などにより個人が169万人から265万件へと拡大した。 組織力の面では、働き方改革「Work Style Innovation」を通じて社員の意識や働き方を変革するとともに、自律的で生産性の高い人材や組織を育成してきた結果、2019年8月期と2021年8月期の比較で、従業員一人当たり売上高が3,600万円から4,300万円、売上総利益が1,400万円から1,700万円へと向上した。 未来を今に近づける「ソーシャルDXカンパニー」 2. パーパス(社会的・経済的存在価値) 同社は、顧客基盤やネットワークインフラ、日本最大の音楽配信ネットワーク、人材力・組織力、1万社以上の代理店・パートナー企業など60年以上培ってきた経営資産を生かし、営業・販促~契約・利用~フォロー・メンテナス、さらにニーズの補足・課題のフィードバックといった同社の価値創造プロセスをより高度化していく考えである。そうして、人が集う店や街を変える店舗・施設DXや暮らしに喜びや感動を増やすライフスタイルDXを推進することで、社会に役立つことを目指していく。また、既存事業の収益力強化、M&Aなどを活用した非連続成長、規律を維持した柔軟な財務戦略、安定・継続的な株主還元を推し進めることで、利益成長を継続していくことを目指している。同社はこのように、社会的・経済的に存在価値の高い「ソーシャルDXカンパニー」へと進化していくことをパーパスとした。こうしたパーパスを具体的に表したのが、新中期経営計画「Road to 2025」である。 2025年8月期営業利益220億円~250億円を目指す 3. 新中期経営計画「Road to 2025」 新中期経営計画「Road to 2025」では、コロナ禍やウクライナ情勢などによる外部環境の変動を考慮し、下限目標のベースケースと達成目標のアップサイドケースという2つのシナリオに分けている。どちらのシナリオにおいても、営業利益2ケタ成長(4年平均成長率で9.0%~12.5%)を目指し、2025年8月期には連結営業利益で220億円~250億円を達成する計画である。同社の場合、セグメントごとに市場特性や成長性が異なるため、セグメント別の戦略が重要なポイントとなるが、基本的には従来の延長上でバージョンアップされた戦略となる見込みである。 営業キャッシュ・フローに関しては、着実な利益成長と的確な財務戦略により、現状の157億円から最終年度には210億円~240億円へと引き上げる計画である。4年累計で800億円超の営業キャッシュ・フローが創出されることになるが、これを事業投資に400億円超、借入返済に150億円超、配当金に40億円超投入する計画で、残りの160億円超に関しては成長投資に使う意向である(バッファーを除く)。使い道として想定されるのは大型のM&Aや新規事業開発で、「ソーシャルDXカンパニー」として店舗・施設のDXや日本の生産性改善をバックアップする事業や、エンターテイメント分野のデジタル化に関連する事業になると考えられる。対象は既存事業周辺の案件に限り、異業種・異分野のものは扱わない方針である。 財務目標として、レバレッジを活用した効率的な経営を継続し、ROE20%程度を維持しながら自己資本比率を30%~40%へと改善する計画である。また、レバレッジ・レシオやD/Eレシオの圧縮を継続し、十分な資金調達余力を確保する考えである。これにより、さらに大きな成長投資にも機動的に対応できるようになるだろう。なお、同社はサステナビリティ戦略も推進する予定で、マテリアリティに基づいたアクションプランとKPIを策定中であると言う。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《EY》
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