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筑波精工 Research Memo(3):報告セグメントは3つ。根幹技術は「静電チャック」(1)
2021/6/11 16:03
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*16:03JST 筑波精工 Research Memo(3):報告セグメントは3つ。根幹技術は「静電チャック」(1) ■事業概要 1. 主要事業 (1) 「静電チャック」とは 筑波精工<
6596
>の報告セグメント(以下、セグメント)は、「ステージ」「サポーター」「その他」の3つに分けられており、これらは同社の根幹となる静電チャックを製品別に分類したものである。静電チャックとは、特定の素材基板(保持材)表面に電界を発生させることで、対象物(ガラスやシリコンウエハなど。「ワーク」と呼ばれる)を吸着保持する“治具(保持具)”のことである。対象物が非常に軽い・薄い素材の場合には割れやすく、あるいは反ってしまうことが多いため、長時間にわたって移動を繰り返すことは容易ではない。そのため、対象物が各種の製造プロセスを移動するような場合(例えばシリコンウエハなど)には、対象物を頑丈な治具に吸着保持させることで反りや割れといった損傷を防ぎながらプロセス間を移動することができる。 (2) 特色と強み 静電チャックの技術そのものは古くから存在し、様々な分野で使われているが、同社の製品は以下のような特色がある。 1) 対象物が多様 同社の静電チャックの第一の特色は、対象物表面に電界を集中させることで、低電圧で高吸着力を発生することにある。そのため、既存の静電チャックでは取り扱えなかったガラス・紙などの絶縁体の対象物素材や極薄ウエハ等の半導体分野でも利用することができる。 2) 吸着力が強い 同社技術では対象物表面に電界を集中させることで、イオン分極により発生する吸着力を最適化しているため、吸着が均一で吸着力が相対的に強い。 3) 給電ユニットなしで吸着力を維持 一般的な静電チャックが給電ユニットを常時接続して吸着力を維持するのに対して、同社の静電チャックは給電ユニットを外しても吸着力を維持する点が特色となっている。同社の静電チャックは、回路形成後のシリコンウエハだけでなく、将来的にはパワー半導体等の用途向けに有望視されるガリウムひ素、チッ化ガリウム、セラミック等にも応用が可能になると見られる。なお、同社製品のなかで給電ユニットなしでも吸着維持ができる製品は「サポーター」である。 既存の静電チャックと同社の静電チャックの特色を要約する次のとおりとなる。既存の静電チャックは吸着物の表面に電界が集中せず、吸着物の表面のイオン分極を最適化できないため吸着力が弱い。しかし同社の静電チャックについては、電界の表面集中とイオン分極の最適化により吸着力が強くなり、対象物を選ぶことなく強い吸着力を発揮する。 2. セグメント別製品概要 同社が提供するのは静電チャック事業のみであるが、静電チャック、静電チャックを利用したシステムや製品を扱っており、それに伴い3つのセグメントが開示されている。 (1) 「サポーター」 主力製品である“静電チャック”の一種で、ガラスの両面に特殊な素材を挟みこみ一体形成したものである。「サポーター」は同社既存の静電チャックが持つ特色に加え、給電ユニットから分離しても吸着力を維持する特色を備えている。本製品の製品名は「サポーター」で、半導体の製造工程で半導体をサポートするために使用する治具として利用する。給電ユニットを用いて一度電界をかけると保持力は半永久的に維持され、対象物を「サポーター」から分離する際にはもう一度給電ユニットを用いて電界を解除すれば、いつでも「サポーター」と対象物を分離することができる。このように「サポーター」は、従来の静電チャックにはなかった特色を有しており、“常識を打ち破った製品”と言える。この「サポーター」を使用することで、既存の製造ラインの大幅な修正無しに、50μ厚(μ=1,000分の1mm)などの薄型ウエハの製造過程で発生するウエハの反りや微細なクラックによる不良品の発生を防止し、製造ラインの自動化率と製品の歩留率を向上することが可能となる。同セグメントの売上高は、主に「サポーター」の販売枚数×価格(非開示)となるが、電界をかけて半導体製造ラインに自動投入するための自動機の販売金額も含まれる。 「サポーター」の特長を要約すると次のようになる。 ・同社の「サポーター」は0.5mm厚と薄いため、半導体ラインにそのまま投入することが可能 ・ウエハ吸着後も外部給電を必要としない ・給電ユニットから分離しても吸着力は半永久的に持続 ・薄型ウエハの加工を可能とし、クラック等の発生を防止して歩留まりの向上を実現 (2) 「ステージ」 給電ユニットが付属している静電チャックを“システム”として販売している。具体的には、同社が開発した静電吸着システムの技術を用いて、対象物の吸着/分離をコントロールする“システム”を販売する。現在の主な対象物は、薄いガラス板、スマートフォンのディスプレー用のフイルム、大型ディスプレーのODF(液晶滴下方式工法)向けとなっている。顧客は、スマートフォンを生産するメーカーに部品を納入している部品メーカーや、大画面(2m×2mなど)の液晶ディスプレーを扱うメーカーなどとなる。 (3) 「その他」 静電チャックを用いた応用製品を販売している。対象物がガラスや半導体など特殊なものが多く、一般的な静電チャックやバキュームチャック、メカチャックでは対応できない特殊な環境向け製品(真空環境、ガスが発生すると素材表面が汚染される蒸着装置など)を扱う。例えば、小型の静電チャックを半導体ウエハのハンドリング用マテハンに組み込んだものなどがある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《EY》
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