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アサヒ衛陶 Research Memo(3):アジアの生産委託先から調達するファブレスメーカー

2020/2/20 15:03 FISCO
*15:03JST アサヒ衛陶 Research Memo(3):アジアの生産委託先から調達するファブレスメーカー ■アサヒ衛陶<5341>の事業概要 1. 事業概要 2009年に本社衛陶工場を閉鎖しており、現在は中国、韓国、台湾、ベトナム、タイの生産委託先から商品をグローバル調達するファブレスメーカーとなる。国内の拠点となる香川事業所は、洗面化粧台などの組立工程のみを行っている。また、事務所は大阪本社のほかに東京支店、大阪支店、九州支店と中四国営業所を配している。なお、2019年11月期下期に行われた大規模リストラにより、仙台営業所は閉鎖、香川事業所は生産規模を縮小している。 衛生陶器市場は、TOTO<5332>が市場の約6割を握る。第2位のLIXILグループ(INAXブランド)<5938>と合わせて、上位2社が約9割を占める寡占市場となっている。同社は、国内事業において長年培ったトイレ・洗面化粧台・温水洗浄便座の製造技術と他社にはない小回りを利かした「もの作り」による提案をしている。グローバル調達では、高品質で価格競争力のある新規サプライヤーの開拓に努め、仕入コストを削減する活動を継続している。 販売先の構成比は、ホームセンター及び量販店、ルート販売、ゼネコン及びデベロッパーが各約3割、残りの1割が建材・住設機器のネット販売業者などになる。コーナン商事<7516>は2018年11月期の販売高337百万円、売上高依存度11.8%の大口顧客となる。他のホームセンター(五十音順)は、(株)カインズ、コメリ<8218>、ナフコ<2790>、LIXILビバ<3564>になる。住宅資材・住宅設備機器の卸売の北恵<9872>は本社所在地が大阪市、ダイキアクシス<4245>は愛媛県松山市といずれも西日本地区を主要な商圏とする。戸建・集合住宅や賃貸住宅の建設会社では、住友林業<1911>、生和コーポレーション(株)、大和ハウス工業<1925>、高松建設(株)(高松コンストラクショングループ<1762>)が、主要な販売先となる。なお、今回のリストラで縮小した不採算分野は、アパート、マンション向けの直需である。これは、経費や物流費など販管費の上昇をカバーしきれなくなったためである。 2. 業界動向 (1) 市場のトレンド 日本の新設住宅着工戸数は、1973年に190.5万戸のピークを付けた。その後、山谷があっても、後のピークが前のピークを上回れず、右肩下がりのトレンドを形成している。2008年のリーマンショックを受け、2009年に42年ぶりに新設住宅着工戸数が100万戸の水準を割り、78.8万戸まで落ち込んだ。それ以降、戻りはあっても100万戸の大台を回復したことがない。 同社の売上高は、2001年11月期の7,228百万円から2009年11月期には3,526百万円へ、翌2010年11月期は2,972百万円まで縮小した。直近期の2019年11月期は、リストラによる不採算品目や販売分野の縮小があり、2,426百万円となった。同社シェアは2~3%に低下しているため、今後は市場全体よりも売上高依存度の大きな得意先の動向に影響を受けることになるだろう。 (2) 競合先 衛生設備機器市場のプレーヤーは、TOTO、LIXILグループ(INAX)、ジャニス工業<5342>、パナソニック<6752>ライフソリューションズ社と同社の5社に限定される。LIXILグループの2020年3月期予想売上高は1兆8,500億円を見込んでおり、衛生設備、水栓金具、バスルーム、システムキッチン等を扱うウォーターテクノロジー事業の売上高は8,600億円、売上高構成比は46.5%になる。また、TOTOの2020年3月期の予想売上高は6,070億円を見込んでおり、グローバル住設事業の売上高は5,839億円、売上高構成比は96.2%である。なお、グローバル住設事業は、衛生設備機器、ウォシュレット、水栓機器、浴槽、キッチン・洗面などをカバーする。ジャニス工業は同社と同様に単一事業で、2020年3月期の売上高は54億円を見込んでいる。タカラスタンダード<7981>が筆頭株主になっており、2019年3月期の同社への売上高依存度は22.6%であった。なお、パナソニックグループでかつて衛生設備機器を扱っていたパナソニック電工は、親会社に吸収合併され、2011年に上場廃止となった。現在、パナソニックの社内カンパニー「ライフソリューションズ社」が衛生設備機器事業を引き継いでいる。ライフソリューションズ社に係るセグメントデータには、ハウジングシステムだけでなく、ライティング、エナジーシステム、パナソニックエコシステムズやパナソニックホームズまで含んでいるため、財務データの比較対象から除いた。 LIXILグループは会計基準にIFRS(国際会計基準)を採用している。他の3社は、連結決算に日本基準を用いているため、TOTO、ジャニス工業、同社とで収益性の比較を行った。高いブランド力と高シェアを誇るTOTOは、過去6期間の売上総利益率がおおむね37~38%程度、売上高営業利益率は7~9%の水準を保っている。ジャニス工業は、売上高の半分程度をOEM生産受託としており、売上総利益率が22~26%と3社の中で一番低い。ただし、販管費率も低くなり、売上高営業利益率は低いものの黒字を維持している。2019年3月期は、OEM先に対する売上高が減少した上、採算性の低い商品の販売が増加するというセールスミックスの変化が災いして、230百万円の営業損失を計上した。2020年3月期は25百万円の営業利益と売上高営業利益率0.5%を見込んでいる。同社は売上総利益率こそ32~36%と高水準であるが、減収傾向が続き、運賃コストなどの上昇により販管費の削減が進まず、営業損失の計上が続いている。なお、2019年11月期の売上総利益率が30%割れしたのは事業構造改革が影響したためで、一時的な水準となるだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《YM》
関連銘柄 15件
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時価総額 101,880百万円
髙松建設、青木あすなろ建設、みらい建設工業などを傘下に収める持株会社。木造戸建住宅事業の企画・販売等を行う不動産事業等をてがける。川下領域ではストックビジネスを強化。建設DX化等で生産効率改善図る。 記:2024/10/06
1911 東証プライム
5,770
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時価総額 1,189,007百万円
米国の戸建分譲住宅事業などの建築・不動産事業、戸建注文住宅やリフォーム等の住宅事業が柱。1691年創業。木材建材事業、資源環境事業等も展開。戸建注文住宅事業ではZEH仕様住宅の受注拡大、施工効率化を図る。 記:2024/10/07
1925 東証プライム
4,596
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-40(%)
時価総額 3,062,448百万円
賃貸住宅事業、商業施設事業、事業施設事業が柱。戸建住宅事業やマンション事業、環境エネルギー事業等も手掛ける。商業施設事業では大型物件への取り組みを強化。中計では27.3期売上高5兆5000億円目指す。 記:2024/06/13
2790 東証スタンダード
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時価総額 59,240百万円
ホームセンター「ナフコ」、家具・ホームファッションストア「TWO-ONE STYLE」の運営等を行う。福岡県北九州市に本社。360店舗超。資材・DIY・園芸用品の売上比率が高い。雑草対策商品などは順調。 記:2024/09/02
3564 東証1部
2,593
10/19 15:00
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時価総額 115,959百万円
ホームセンターのビバホームを展開する小売企業。不動産賃貸も行う。プロ向けリフォーム用建築資材など品揃えは充実。アークランドサカモトによるTOBは成立。ホームセンター商材は増収。21.3期1Qは2桁増益。 記:2020/08/13
4245 東証スタンダード
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時価総額 9,707百万円
浄化槽・排水処理システムや地下水飲料化等を手掛ける環境機器関連事業が主力。愛媛県松山市に本社。住宅機器関連事業、再生可能エネルギー関連事業も。環境機器関連事業はメンテナンス事業、上水エスコ事業の拡大図る。 記:2024/07/08
5332 東証プライム
4,313
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-14(%)
時価総額 763,319百万円
水まわり住宅総合機器メーカー。1917年創立。福岡県北九州市に本社。国内トイレ市場首位。レストルーム、バス、キッチン、洗面商品等の製造・販売を行う。日本住設事業ではサステナブル高付加価値商品の提案を強化。 記:2024/10/08
5341 東証スタンダード
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時価総額 2,203百万円
アサヒ衛陶を中核とする持株会社。衛生機器・洗面機器や建築仕上塗材の販売を行う住まい事業、リフォームやリノベーション等を行う暮らし事業が柱。プロモーション強化に加え、EVスタンド機器の販売活動を推進。 記:2024/08/19
5342 名証メイン
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時価総額 893百万円
衛生機器メーカー。便器や洗面ボウル等の衛生陶器、蛇口等の水栓金具などの製造・販売を行う。1935年創立。愛知県常滑市に本社。非住宅・リフォーム市場における拡販図る。中計では27.3期売上高51億円目標。 記:2024/08/26
5938 東証プライム
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時価総額 496,093百万円
住宅設備機器メーカー大手。トステム、INAX、新日軽等が統合して誕生。水廻り設備や金属製建材に強み。住宅窓サッシで国内トップシェア。リフォーム関連製品は売上順調。循環型素材「レビア」の拡販等に取り組む。 記:2024/06/11
1,379.5
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時価総額 3,385,908百万円
電機大手のパナソニックを中核とする持株会社。1918年創業。家電や住宅設備、AV機器、デジカメ、電子部品、産業電池・車載用電池等を手掛ける。配当性向30%目安。車載電池、空質空調等を投資領域に位置付け。 記:2024/09/02
7516 東証プライム
3,580
11/8 15:30
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時価総額 124,162百万円
大手ホームセンター運営会社。DIY中心の「ホームセンターコーナン」、「コーナンPRO」などを展開。関西地盤。グループ店舗数は590店舗超。中計では26.2期売上高5000億円、総還元性向30%以上目指す。 記:2024/05/10
7981 東証プライム
1,624
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-16(%)
時価総額 110,996百万円
総合住宅機器メーカー大手。1912年創業。システムキッチンで国内トップシェア。洗面化粧台、ユニットバス、トイレ等も手掛ける。ショールームに強み。都市部の営業強化図る。27.3期売上高2500億円目標。 記:2024/08/30
8218 東証プライム
3,245
11/8 15:30
±0(%)
時価総額 176,557百万円
ホームセンター大手。新潟県新潟市に本社。店舗数は1200店舗超。園芸・農業用品に強み。ECサイト「コメリドットコム」の運営等も行う。コメリカード等のカード会員数は500万人超。既存店の改装を推進。 記:2024/05/10
9872 東証スタンダード
939
11/8 15:30
+5(%)
時価総額 9,401百万円
住宅資材の専門商社。関西地盤。フローリング材の国内輸入シェア高い。商品調達力、メーカー機能を有する点などが強み。LIXIL、ノーリツなどが主要取引先。環境配慮商品、オリジナル商品の拡販等に取り組む。 記:2024/05/06