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SOU Research Memo(7):グローバルラグジュアリーデータカンパニーを目指す

2019/5/29 15:07 FISCO
*15:07JST SOU Research Memo(7):グローバルラグジュアリーデータカンパニーを目指す ■中期的経営戦略 1. 経営ビジョンと経営方針 SOU<9270>の経営ミッションは「世界中の“価値”をオープンにし、ライフスタイルをスマートにする」ことで、経営ビジョンは「ラグジュアリーリユースカンパニーからグローバルラグジュアリーデータカンパニーへ」である。経営ミッションの「オープン」という言葉は、同社ビジネスモデルのキーワードと言え、従来のリユース業界の発想にはないものである。また、経営ビジョンからは強い海外志向と「SOU Brain」への自負が見て取れる。こうした経営ミッションと経営ビジョンに基づいて、同社は「Luxury Data収集の強化」と「Personal Wealth Managementの推進」を打ち出し、更なる成長へ向けて1)買取拠点の拡充、2)海外買取・販売の強化・拡大、3)資産管理アプリ「miney」の機能向上——に取り組んでいる。これらにより、ビジネスモデルを進化させ、中長期的な成長へつなげていく考えである。 新たな成長エンジンは海外ビジネスと「miney」 2. 中期的経営戦略 既存の国内ラグジュアリーリユースビジネスを拡大させるため、買取専門店を当面、主要都市や商業施設内を中心に年10店程度のペースで継続的に増やしていく方針である。業容拡大のため、立地やノウハウ、ジャンル、客層など狙いを絞ったM&Aも想定している。それだけでも十分中期利益成長を期待できるが、買取拠点数は国内で200店舗くらいが上限だと思われることから、中長期的には従来とは異なるアプローチで仕入元や販売先を創出する必要がある。その切り札が海外戦略と「miney」である。海外戦略によってビジネスのフィールドを拡大し、「miney」によって顧客層の拡大や顧客の囲い込みを推進する方針である。併せてデータも海外戦略によってより幅広く、「miney」によってより深く収集することが可能となり、同社ビジネスのコアである「SOU Brain」の強化、ひいてはグローバルなラグジュアリーユース業界における圧倒的な優位性につながることが期待される。 世界の新品ラグジュアリー市場は、24兆円(2017年)から32兆円(2022年)へと規模拡大が予測されている。一般に新品市場が存在すると、その一定分が中古市場を形成すると言われている。ラグジュアリーも同様で、中古市場は2.5兆円と言われ、2022年には4兆円へと拡大することが予想されている。エリア別のシェアはまちまちで、新品市場は北米25.8%、欧州17.6%、アジア太平洋52.3%で経済成長著しいアジア太平洋が過半を占める。一方、中古市場は北米23.3%、欧州32.9%、アジア太平洋30.1%で欧州においてリユースが浸透していることが分かるが、世界の新品市場をけん引するアジア太平洋の中古市場はまだ小さいということも分かる。しかし、新品と中古の相関関係を当てはめれば、アジア太平洋の中古市場は今後大きく伸びる可能性があると言える。もちろんアジア太平洋以外のエリアにおいても、中古市場への成長期待は少なからずあると考えられる。 このため同社は、アジア太平洋を始め欧米など海外での買取拠点の拡充や販売の強化を模索し始めた。買取拠点については、現在オークションを開催している香港を皮切りに、各国で買い取ることを検討している。直接進出という策もあるだろうが、現地企業への投資などによりローカルをネットワーク化したほうが時間を有効利用できると思われる。また、販売についても、各国の卸業者向けに卸販売を強化する方針である。その際、開催場所が限定されず効率的なオンラインオークションが中心になっていくと思われる。このように、日本での成功モデルを世界で展開していく計画で、併せて得られた買取・販売・家庭内在庫といったラグジュアリーデータを蓄積することで「SOU Brain」のグローバライズも同時に推進する考えである。その際、世界を見渡しても同社同様のビジネスモデルが見当たらないこと、正確・公正な査定と良質な商品を示す「Checked In Japan」という認識が世界で広がっていることは、大きなアドバンテージになると思われる。世界のラグジュアリーリユースのプラットフォームを創ろうという狙いだろうが、そこで良質な商品の公正なオークションが行われるようになれば、情報はますます同社に集中し、同社の収益性・成長性はますます高まることになるだろう。 一方、顧客層を広げ、顧客を囲い込み、より深いデータを収集できる「miney」の強化も本格化している。2017年10月にスタートし、プロモーションもせずに2019年2月には会員数が3.4万人、登録商品数3.7万点、登録資産数55億円に達した。月に3億円が新たに登録されている計算になり、そのうちの5%が既に実際の買取につながっているもようである。このように「miney」はポテンシャルの非常に大きいマーケティングツールと言え、同社は成長ドライバーとして育成する考えである。そのためにも現在、「miney」の機能向上を図っており、2018年12月にはアンドロイド版をリリースした。実際の買取へと誘導する仕掛けとしてプッシュ通知も導入した。2019年8月期中に骨董品・美術品へとジャンルを拡大する計画もある。今後はさらに、異業種との提携や他サービスとの連携を積極化し、不動産や自動車などへとジャンルを拡大していくことを検討しているようだ。もちろん、世界戦略で収集したラグジュアリーデータも反映させることで、あらゆる個人資産の管理・運用に適用可能となる見込みである。そして同社が示すように、すべての財に関して「モノを買って使って捨てる」から「買って使って資産に変える」というライフスタイルが広まれば、「miney」も単なるラグジュアリーリユースのツールから個人資産のパーソナルマネジメントツールのスタンダードへと進化していくことが予想される。そのときには、同社の成長をけん引する立派なドライバーの1つとなっているだろう。 以上のように同社は、国内の既存ビジネスの成長をベースに、海外でのビジネスの拡大や「miney」による新たな顧客の創出などによって、中長期的に成長を継続しようと考えている。一方、現状、国内及び香港ともにインバウンド需要に支えられている面があり、リスクがあるとすればインバウンドだと思われる。しかし国内においては、東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、ここ数年は安定した成長を継続することが期待されている。海外においても、多角化の結果としてリスク分散が進むと考えられる。いずれにせよ、大きなリスクとは言えないと考える。それよりも、ラグジュアリーリユースの入口と出口を押さえ、高速回転で商売をすることで他社の追随を許さない、同社の中長期的な成長に期待したい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《YM》
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ブランド品、骨董・美術品のリユース事業を手掛ける。一般消費者から仕入れ、オークション等で同業他社に販売するCtoBtoB形態に特徴。WEBマーケティングなどによる仕入強化、自動車事業の強化等に取り組む。 記:2024/06/03