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日経平均は小幅続落、底堅さによる「苦痛」と「意外高」への道筋

2020/7/8 12:22 FISCO
*12:22JST 日経平均は小幅続落、底堅さによる「苦痛」と「意外高」への道筋  日経平均は小幅続落。43.14円安の22571.55円(出来高概算5億2000万株)で前場の取引を終えている。  7日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、396ドル安となった。新型コロナウイルスの流行が落ち着いたニューヨーク州やニュージャージー州が他州からの旅行者に対する一定期間の隔離要請を拡大する方針を示し、感染再拡大への懸念が強まった。また、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売りへの懸念も根強く、本日の日経平均は133円安からスタート。日足チャート上で22400円台後半に位置する25日移動平均線水準まで調整すると押し目買いが入り、前場中ごろには小高い水準まで切り返す場面も見られたが、一段の上値を追う動きは乏しかった。  個別では、ソフトバンクG<9984>と任天堂<7974>が2%超下落し、サイバー<4751>は6%超の下落。前日買われた銘柄が反動安となっている。東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、ファーストリテ<9983>は小安い。イオンモール<8905>は決算を受けて売り先行。また、ティアック<6803>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、トヨタ自<7203>やアドバンテス<6857>が小高く、キーエンス<6861>、村田製<6981>、NEC<6701>などは堅調。神戸物産<3038>は商いを伴って4%を超える上昇となり、株式分割考慮後の上場来高値を更新した。子会社が暗号資産交換業者として登録されたマネパG<8732>は急伸。また、スマートフォン「iPhone」の有機ELパネル採用報道を受けて関連銘柄が賑わい、保土谷化<4112>はストップ高を付けている。  セクターでは、鉱業、その他製品、海運業などが下落率上位。半面、電気・ガス業、陸運業、水産・農林業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の48%、対して値上がり銘柄は47%とほぼ拮抗している。  本日の日経平均は上値こそ重いものの、25日移動平均線レベルでの底堅さを見せる展開となっている。度々当欄でも触れているとおり、ETFの決算日に当たる8日や10日を中心に、分配金捻出に絡んで計7000億円規模の売りが出ているとみられている。差し当たり本日は3000億円程度の売り需要との観測があり、新型コロナ再拡大への懸念とともに上値の重しとなっているようだ。  売買代金上位はおおむね前日までの動きのリバーサル(株価の反転)的な様相だが、東エレクなどはここまでの上昇幅の大きさを考慮すればごく軽微な調整と言えるだろう。業種別騰落率では内需・ディフェンシブ系セクターが堅調、一方で景気敏感系セクターの一角が軟調となっている。ここまでの東証1部売買代金は1兆円に届かず、前日より減少。ETFの売り観測への警戒もあってか、売買はやや低調だ。  新興市場ではマザーズ指数が4日続伸。リボミック<4591>やセルソース<4880>といったバイオ・ヘルスケア関連株が根強く買いを集めている。マザーズ指数は1010pt台に位置する25日移動平均線に肉薄しており、戻り待ちの売りを押し返せるかの正念場だろう。前日にマザーズへ新規上場したBエンジニア<7352>はなお買い気配が続いている。  アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数がしっかり。ただ、足元で円相場の下落は一服してきた。前引けの東証株価指数(TOPIX)は0.06%の上昇で、日銀によるETF買い実施は期待しづらい。後場の日経平均も上値の重い展開となりそうだ。  さて、前日の先物手口を見ると野村證券が日経平均先物で、クレディ・スイス証券がTOPIX先物でそれぞれ売り越し筆頭となった。ともに上海総合指数が急騰した6日から一転しての売り越しであり、やはり商品投資顧問(CTA)や個人投資家が本格的に売り持ち高の解消に動いたわけではなさそうだ。また、6月半ばごろからTOPIX先物を売り越していたその他外資系証券も直近で買い戻した様子は見受けられない。一部証券会社はレポートで、マクロ系を中心としたヘッジファンドは足元でも新型コロナ再拡大、米中摩擦、米大統領選といった警戒材料を前に慎重姿勢を崩していないと指摘している。  それゆえに、株式相場が想定以上に底堅く推移していることはこれら投資家にとって「極めて苦痛」だろう。そもそもファンド勢は5月上旬までの戻り相場で売り持ち高を抱え、運用成績を大きく悪化させた。この際に著名投資家が相次いで敗戦の弁と「中央銀行に逆らうな」との教訓、それに戦略転換を表明したが、多くのファンドはこうした教訓を活かせていないようだ。システム系投資家も一時的に売り持ちに傾いているが、株価変動率(ボラティリティー)の落ち着きとともに再び買い持ちに転じてくるとみられている。もちろん株価位置は5月上旬までの戻り相場で高くなってしまったが、足元底堅く推移していることで、再びファンド勢の買い戻しを誘う環境が整いつつあるように見える。  今月下旬から4-6月期決算発表が本格化するため、賞味期限には注意する必要があるものの、ETFによる売りをこなした後の「意外高」の可能性を改めて指摘しておきたい。  なお、まだ投資論点としては注目されていないので詳細は述べないが、国内政治を巡り遠からず政局になる可能性が高まってきたと考えられる。国内政治情勢についても関心を払っておきたい。(小林大純) 《AK》
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8732 東証スタンダード
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