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筑波精工 Research Memo(7):EV車の課題(航続距離)と解決には極薄半導体が不可欠
2024/7/4 14:37
FISCO
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*14:37JST 筑波精工 Research Memo(7):EV車の課題(航続距離)と解決には極薄半導体が不可欠 ■筑波精工<
6596
>の中長期の展望 1. EV車の今後の課題(航続距離)と解決策 過去数年間、中国と欧米を中心に自動車のEV化は加速度的に進んだが、足元ではその伸び率が鈍化している。ここで指摘されている課題の一つが「航続距離」、すなわち1回の充電で走行出来る距離が短いことだ。特に冬場は、より多くの電気を暖房用に消費するため、充電ステーションに長蛇の列が出来ている。これが最近の「EV離れ」の要因の一つとなっている。 (1) 航続距離が短い主要因はインバータの発熱 一般的なEV車(大衆車)の航続距離が短い主要因は、インバータの発熱にある。EV車では、バッテリーのDC電力をACに変換しモーターを回すが、この役割を果たすのがインバータで、変換時の発熱が電力損失を生んでいる。今後EV車の航続距離を伸ばすためには、インバータでの電力損失を極力抑えることが必須条件となる。 (2) 二つの解決策:SiC基板か極薄Si基板 同社によれば、このインバータでの熱損失を抑える方法は、現時点においては主に二つあるとのこと。一つはSiC(シリコンカーバイド)基板を使うことだが、SiC基板は量的な供給が限られていることから非常に高額であり、限られた一部の高級車にのみ搭載できる。一般大衆車への搭載はコスト面から難しい。 一方でSi基板(通常のシリコンウエハ)は安価で大量供給が可能だが、熱損失を抑えるためには厚みを80μm厚(可能なら60μm厚)以下にすることが必要だ。しかし量産ラインにおいては80μm厚以下のウエハの取り扱いが非常に難しく、通常の「接着剤方式」は使えない。そこで、どうしても同社の「静電チャック方式」が必要となってくる。 注:上記は取材に基づいた同社の説明による 2. 潜在市場の推測 上記のような事業環境から、同社の先行きは楽しみでもある。しかしウエハの薄型化が進むためには、まだ乗り越えるべき課題・壁も多い。当初、同社によるとEV向けにウエハの薄型化が進むのは2024年3月期以降としていたが、実際は2~3年ほど遅れる気配である。したがって、同社の業績が本格的に浮上するのも2026年3月期からと予想される。 では今後、潜在的な市場はどの程度あるのだろうか。同社の説明によると、従来、薄型IGBT生産の主力は6インチウエハであったが、2023年秋から8インチウエハで80μが本格的に稼働し、一部では12インチが立ち上がりつつあるようだ。12インチウエハ1枚からは自動車約3台分のIGBTが取れると言う。したがって今後のEV自動車生産予測から、同社では12インチウエハ用「Supporter」の需要については、遅くとも2027年3月期に7,000枚/年になると見ているようだ。 「Supporter」の価格は正式には開示されていないが、取材に対して会社は「12インチウエハ用で1枚数千米ドルのレベル」と述べている。仮にこの価格を3千米ドル、1米ドルを150円とすると、2027年3月期の「Supporter」の売上高は、7,000×3,000×150=3,150百万円※となる可能性がある。 ※これらの数字は弊社推測によるもので、同社から正式に発表された数字ではない。 同社によれば、既に12インチ月産15万枚を準備している顧客がいるとのことで、事実2024年3月期には12インチ量産用の自動機を販売した。12インチの保持材については、同社の「Supporter」以外に今のところ競合する製品は見当たらない、とのことである。今後は8インチでの同社製品の採用増とともに、12インチへの展開も注視する必要がある。 3. もう1つの潜在市場(MOSFET用)とIGBTの広がり 同社製品(主に「Supporter」)に対して、もう1つ大きな市場として期待されるのがMOSFET用だ。現在、自動車用と携帯電話用バッテリーの大容量化が進んでおり、これらのバッテリーにおいては高速(短時間)での充電が求められている。そのためには、高電圧をかける必要があり、これに耐えられるMOSFET半導体が必須部品となる。MOSFET半導体の厚さは約100μであるが、デバイスメーカーとしては少しでも生産効率を上げるために8インチウエハでの生産を標準としている。その生産工程ではウエハの「反り」が大きな問題となるが、これに対応できるのが同社の「Supporter」である。 同社ではMOSFET用としての「Supporter」の需要は2025年3月期には約1,500枚/年に達すると見ている。IGBT用と並んで楽しみな市場である。MOSFET用(8インチ用)の価格は、IGBT用(12インチ用)よりは低いと予想されるが、将来の売上高は年間200~300百万円に上る可能性があると弊社では見ている。 また最近では、薄型IGBT市場が広がってきている点も注目だ。現在、最も需要が期待されているのがEV自動車なのは言うまでもないが、近年では風力発電用、家電用にも需要が広がっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《SO》
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6596 TOKYO PRO Market
筑波精工
1,000
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時価総額 0百万円
静電チャックの製造・販売に特化。SupporterシステムやESCステージのほか、コードレスホルダー、静電ベルト等を手掛ける。量産化案件の成功で海外半導体業界への認知度が向上。営業体制の最適化に取り組む。 記:2024/07/28
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