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ダイナムジャパンHD Research Memo(10):スマート遊技機による市場活性化と、大手による寡占化が進む見通し

2023/1/12 16:10 FISCO
*16:10JST ダイナムジャパンHD Research Memo(10):スマート遊技機による市場活性化と、大手による寡占化が進む見通し ■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の今後の成長戦略 1. 市場動向 パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2022」によれば、2021年のパチンコ・パチスロ参加人口は、コロナ禍の影響もあって720万人、市場規模(貸玉料)で14.6兆円となっており、2002年(2,170万人、30.4兆円)と比較すると参加人口で3割強、市場規模で5割弱の規模にまで落ち込んでいる。 こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数も減少傾向を辿っており、2021年末の店舗数は前年末比6.4%減の8,458店と20年前の水準と比較して5割の水準まで落ち込んだ※。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比3.9%減の2,338千台、パチスロ機が同6.1%減の1,475千台といずれも減少傾向が続いている。 ※出所:警察庁「令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」 経済産業省の統計によれば、パチンコホールの売上高はコロナ禍で休業を強いられた2020年度第1四半期(4月~6月)を底に、2021年度以降は回復が見られるがコロナ禍前の水準と比較すると70%台の水準にとどまっており、回復力は依然緩慢だ。レジャーの多様化が進むなど社会環境の変化に加えて、ここ数年はのめり込み防止対策として射幸性に関する規制を強化してきたこともあって客離れが生じ、それにコロナ禍が追い打ちをかける格好となった。 こうした厳しい市場環境から、経営体力のない中小規模のホールで閉店する流れが続いており、店舗数上位5社の市場占有率は2017年末の約10%から2021年末は約13%に上昇したものと見られる。大手企業による寡占化の動きは、1店舗当たりの遊技機設置台数推移からも窺うことができる。2017年末時点の419台から2021年末は451台と年々上昇傾向にある。ちなみに、ダイナムの2022年9月末時点における1店舗当たり設置台数は474台と業界平均をやや上回っている。 今回スマート遊技機の導入によって市場の活性化が期待されている。業界にとっては1992年に導入されたCR機(プリペイドカード対応機種の導入)以来の変革となり、当時はCR機の導入によって市場が一段と拡大した経緯があるだけに業界の期待度も大きい。ただ、スマート遊技機の導入には専用ユニット(1台当たり定価20万円)が必要で、初期投資負担がかかる。このため、投資余力のある大手企業は積極的に導入し稼働率を高めることが可能だが、投資余力のない中小規模のホールにとっては厳しい経営状況が続くことが想定され、そうしたホールは見切りをつけ閉店を進めている状況にあり、2022年10月段階ではホール数は8,000店舗を割り込んでいる。2023年以降は店舗数の減少ペースも落ち着くものと見られるが、同社を含めて大手企業はスマート遊技機の導入を積極化することで収益力を回復する戦略であり、今後も大手企業による寡占化が進むものと弊社では予想している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NS》