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ダイナムジャパンHD Research Memo(7):スマート遊技機の導入を起爆剤として再成長を目指す方針

2023/1/12 16:07 FISCO
*16:07JST ダイナムジャパンHD Research Memo(7):スマート遊技機の導入を起爆剤として再成長を目指す方針 ■2023年3月期の事業方針 1. ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>のパチンコ事業 (1) 営業方針 2023年3月期はコロナ禍での感染対策を徹底したオペレーション体制を継続しながら、客数の回復に向けた取り組みを強化する方針となっている。具体的には、接客サービス品質の維持・向上のための教育プログラムや品質管理方法の再構築、顧客満足の向上を図っていく。顧客満足度を向上させることで、客数の増加と遊技時間の長時間化(=客単価の上昇)を実現し、営業収入の増加につなげていく考えだ。客数の回復においては、近隣の競合店から20~40代のスロット顧客を獲得するための施策に加えて、低迷が続いているシニア層を呼び戻すことができるかがカギを握ることになる。 こうしたなか市場の活性化につながる起爆剤として期待されているのがスマート遊技機(スマートスロット/パチンコ)だ。スマート遊技機とは、メダルや玉に触れることなく遊ぶことができる遊技機で、スロットはメダルを使用せず、パチンコは玉が遊技機内で循環する仕組みとなっており、いずれも電子情報で出玉等が計測される。また、出玉情報や設置情報などは「遊技機情報センター」に送付される。 ユーザーのメリットとして、遊技機のゲーム性やスペックの幅が広がり、玉・メダルレスになることによる利便性や清潔感、感染症対策への安心感が向上することになる。このため、スマート遊技機の導入によって今まで離れていたシニア層や女性層の客足が戻ること、また、新規顧客の獲得などが期待される。 また、ホール側では遊技機を導入する際に、出玉情報等を送信する専用ユニットが新たに必要となり初期投資が従来よりも掛かるものの、玉・メダルの持ち運びや洗浄が不要となることで、ローコストオペレーションが可能になること、島設備(貸玉等の補給機装置)が不要となることで既存店舗のランニングコストや新規店舗のイニシャルコストの削減が見込まれ、さらに従来は横並びに設置されていた遊技機のレイアウトも円形状にするなど自由度が増し、個性的な店づくりにすることによって差別化を図ることも可能となる。 さらに、業界の健全化という点においても進展するものと思われる。出玉情報等が「遊技機情報センター」に送付されることにより、のめり込み防止対策につながるほか、セキュリティが強化され不正遊技の防止にもつながるためだ。 以上のことから、同社では積極的にスマート遊技機を導入して競争優位性を確保し、収益の再拡大を目指す。初期投資コストもかかるため、収益面でプラスの効果が顕在化してくるのは、2024年3月期以降になるものと予想される。なお、スマートスロットについては2022年11月に3機種、12月に1機種が発売予定で、これら機種を積極的に導入することで、低迷していたスロット機のシェア拡大を図っていく(11月末で約2,600台導入)。現状、半導体不足によって専用ユニットの供給能力が制限されているため、2023年3月期は業界全体でも15万台程度の供給にとどまる見通しだが、同社ではバイイングパワーにより優先的に部材を確保し、スマートスロットへの早期完全移行を目指す。一方、スマートパチンコについては2023年春以降に発売見通しとなっている。スペック的には既存の機種と同等、また、スペックの幅は広がるものと見ており、ユーザーの反響を見ながら入替を進めることにしている。 なお、出店戦略については慎重なスタンスを継続する。新規出店に関しては資材価格の上昇により建築コストがコロナ禍前から1.4~1.5倍に跳ね上がっている状況で、投資効率の面から当面は見合わせることにしている。一方で、M&Aについては条件の良い案件であれば検討していくことにしており、2022年12月に1店舗(広島県)を譲受することが決まっている。また、PB機の比率については15%程度と2022年3月期並みの水準を想定している。 (2) 費用の見通しについて 事業費用の見通しについては、遊技機関連を中心とした減価償却費の増加が見込まれる。2023年3月期の遊技機購入額は前期から大きく減少する見込みだが、資産計上した遊技機の減価償却費が増加する。下期の減価償却費の水準感としては中間期の15,749百万円に対して微増となる見通しだ。2022年3月期の21,019百万円に対して、10,000百万円程度増加することになる。また、2024年3月期についてはスマート遊技機の導入ペース次第となるが、遊技機の償却期間が2年のため、増加したとしても微増程度にとどまるものと弊社では見ている。 一方、事業費用の4割弱を占める人件費については、ローコストオペレーションの徹底によりもう少し絞り込める可能性があり、対営業収入比率で30%台前半を維持する見通しだ。ただ、水道光熱費については電力料金の高騰が進行していることから、節電などを実施してはいるものの通期でも前期比2,500百万円以上の負担増が見込まれる。広告宣伝費については全体的に抑制するなかでも、スマートスロットについてはプロモーションを強化する方針で、20~40代の顧客層獲得に注力する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NS》
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