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シンバイオ製薬 Research Memo(6):「ブリンシドフォビル」はグローバル治験を2021年から開始(2)

2021/4/21 15:16 FISCO
*15:16JST シンバイオ製薬 Research Memo(6):「ブリンシドフォビル」はグローバル治験を2021年から開始(2) ■開発パイプラインの動向 b) 今後の開発方針 シンバイオ製薬<4582>は「BCV」(注射剤)の開発戦略について、2020年2月に開催したグローバルアドバイザリーボードにおいて、今後の方針を決定している。具体的には、「BCV」の強みとなるマルチウイルス活性を生かした開発を進めていくこと、治療薬が無く、医療ニーズの高いアデノウイルスを含むマルチ感染症をターゲットとすること、医療ニーズの高い小児の移植領域を最優先に開発することの3点を決定した。 専門医の委員からの強い要望もあり、最初の開発ターゲットとしては造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象とした国際共同第2相臨床試験から始めることとした。安全性についてはキメリックスが実施した臨床試験(1,000人超の症例)のデータを活用できるためスキップする。アデノウイルスは自然界に存在するウイルスで、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染することによって、咽頭炎、扁桃炎、結膜炎、胃腸炎、出血性膀胱炎等の感染症を引き起こす。健康な人が感染しても重篤になるケースは稀だが、造血幹細胞移植後の免疫力が低下した患者が感染すると重篤化するリスクが高く、未だ治療薬も無いことから、治療薬や予防薬の開発が強く望まれている状況にある。症例数は少ないもののまずは小児向けを対象に開発を進め、その後、成人向けやその他のウイルス感染症に広げていく予定にしている。 2021年3月10日にFDAに対してIND申請を提出済みで、順調に進めば2021年第3四半期には最初の被験者登録が開始される見込みだ。グローバル治験を進めるにあたってのCRO(医薬品開発業務受託機関)についても、2020年12月に米国のサイネオス・ヘルスと契約を締結し、業務委託していくことになる。治験デザインは24症例を投与量ごとに4組に分けて安全性及び忍容性を見るオープンラベル試験となる。主要評価項目は、試験期間中の有害事象の発生件数となり、副次評価項目として投与開始から5週間の血漿中のアデノウイルスの変化量を見る試験となる。臨床試験の終了見込みは2022年後半で、良好な結果が得られれば2023年にも第3相臨床試験に進み、早ければ2026年に上市する可能性がある。第3相臨床試験の費用としては数十億円規模になると予想される。 骨髄移植手術に関する米国最大規模の医療機関であるMD AndersonがんセンターのChemaly教授は、「BCVは他剤で問題となる腎毒性や骨髄抑制が少なく、優れた治療の選択肢となり得る」との論文を2020年3月に発表しており、同社の開発に対してサポートしていく意向も示すなど、「BCV」に対する期待の大きさがうかがえる。 一方、国内でも造血幹細胞移植後のウイルス性出血性膀胱炎(vHC)※1を対象とした開発を2021年中に開始する予定となっている。同疾患は造血幹細胞移植後の合併症の1つだが、国内で承認された治療薬は未だ無く、対処療法として膀胱灌流を行うか、医師の判断によりCDVを輸入して治療するケースもある。ただ、CDVは腎毒性が強いため効果も限定的であり、副作用が少なく薬効の高い治療薬の開発が強く望まれていた。当初はアデノウイルス感染症のグローバル治験を先行して進めていく予定であったが、日本造血細胞移植学会や医師等からの強い要望もあり、国内でのvHCを対象とした開発も並行的に進めていくことにした。今後、独立行政法人医薬品医療機器総合機構と協議を進め、治験デザインを決めていくことになる。なお、vHCのほかにもHHV-6脳炎※2やBKウイルスなど、造血幹細胞移植後の様々なウイルス感染症に対する開発も、状況を見ながら進めていく計画となっている。 ※1 造血幹細胞移植後の合併症の1つで、ウイルス感染により膀胱が炎症を起こし、激痛とともに排尿障害や血尿を引き起こす。腎不全やウイルス腎症など重症化する症例もあり、発症率は1~3割との研究報告もある。小児のウイルス性出血性膀胱炎の原因として、アデノウイルス感染が最も多い。 ※2 造血幹細胞移植や臓器移植後のヒトヘルペスウイルス感染により発症する脳炎。国内での発症率は2~3%と低いが、感染すると意識障害を生じ、致死リスクも高くなる。国内では治療薬として「ホスカルネット」が2019年3月に承認されているが、腎毒性が高い。また、抗ウイルス活性でもBCVの方が格段に高いことが試験データで確認されている。 また、臓器移植後のウイルス感染症については、パートナー企業の探索を進め、協業によって開発を進めていく方針となっている。将来的には、経口剤の改良開発や皮膚科・眼科領域での開発も視野に入れており、LCM(ライフ・サイクル・マネジメント)による適応拡大により、「BCV」の市場価値の最大化を目指していく考えだ。世界における造血幹細胞移植(他家移植)の件数は年間3.5万件、臓器移植については11万件を超す市場となっている。ウイルス感染症治療薬または予防薬としての「BCV」の潜在的な成長ポテンシャルは大きく、今後の開発動向が注目される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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がん・血液領域やウイルス感染症領域の希少疾患薬を開発。他社から開発候補品を導入して製品化を狙う。24.12期は薬価改定の影響と抗がん剤の後発薬浸透を想定。アデノウイルス感染症向け注射剤候補は開発本格化へ。 記:2024/03/12