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シンバイオ製薬 Research Memo(5):「ブリンシドフォビル」はグローバル治験を2021年から開始(1)

2021/4/21 15:15 FISCO
*15:15JST シンバイオ製薬 Research Memo(5):「ブリンシドフォビル」はグローバル治験を2021年から開始(1) ■シンバイオ製薬<4582>の開発パイプラインの動向 3. 「ブリンシドフォビル」(注射剤/経口剤) a) 概要とライセンス契約 「ブリシドフォビル(BCV)」は、サイトメガロウイルス網膜炎治療薬等で知られているシドフォビル(CDV)に脂肪鎖を結合した構造となっており、CDVよりも高活性の抗ウイルス効果が得られるほか、幅広いウイルスに対して抗ウイルス活性を持つこと、優れた安全性を持つことなどが特徴となっている。また、CDVに脂肪鎖を結合した構造となっていることから、CDV単体よりも細胞内に侵入しやすく、侵入後は脂肪鎖が切り離され、二リン酸と結合することでDNAウイルスの複製を阻害する役割を果たす。こうした作用機序から、CDVや他の抗ウイルス薬と比較してウイルスの増殖抑制効果が格段に高くなるというデータがin vivo試験などで得られている。また、安全性という点においては、CDVが腎尿細管上皮細胞に蓄積することで、腎機能障害を発生するなど腎毒性が強いといった副作用リスクがあったが、「BCV」は脂肪鎖と結合することで逆に腎尿細管上皮細胞内に蓄積されず、腎毒性も回避できるといった優れた特徴を持つ。米国食品医薬品局(FDA)からは、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、天然痘を対象としたファストトラック(優先審査)指定を受けており、欧州EMA(欧州医薬品庁)からも同様のウイルスを対象にオーファンドラッグ指定を受けている。 キメリックスでは「BCV」の経口剤タイプの開発を進めていたが、第3相臨床試験で下痢等の副作用が発生したほか、統計的に有意な結果が得られず開発を中断していた。その後、抗がん剤分野に経営リソースを集中させるため「BCV」のライセンスアウト先を探していたところ、新規導入品を探索していた同社とタイミングが合致し、2019年9月にグローバルでの製造・販売・開発(天然痘を除く)に関するライセンス契約の締結に至った。同社が導入を決めたポイントは、「BCV」が優れた安全性と機能性(広域かつ高い抗ウイルス活性)を持っており、開発成功の可能性が高いと判断したこと、また、対象疾患が「希少疾患」かつ「空白の治療領域」であり、同社の開発ターゲットと合致しているだけでなく、対象疾患が「トレアキシン(R)」と同じ血液疾患領域であり、営業面でのシナジー効果も大きいと判断したことにある。 キメリックスが経口剤の開発に失敗した原因について、同社は消化器官からの薬剤の吸収率が低いため、多量の薬剤を服用せざるを得なかったことにあると見ている。注射剤であれば経口剤の1割の投与量で同じ効果が期待できるため、副作用リスクも低く成功確率は高くなる。今回の契約では注射剤だけでなく経口剤についても契約内容に含まれているが、経口剤に関しても今後、製剤改良を行うことでこうした課題を解決できる可能性があると考えたためだ。なお、天然痘だけ契約の対象外となっているのは、バイオテロ対策として天然痘治療薬を米国政府が自国で製造、備蓄しておく必要があるためである。キメリックスは2020年12月にFDAに天然痘を対象とした「BCV」の新薬申請を提出し、2021年7月7日に審査が終了する予定であることを発表している。承認されれば「BCV」の市場価値や注目度も一段と高まるものと予想される。 今回のライセンス契約ではグローバルライセンスであること、また、製造権も含めた契約になっている点が注目される。対象疾患は造血幹細胞移植後または臓器移植後のウイルス感染症等だが、特に、臓器移植に関しては欧米だけでなくアジアでの症例数も多く、潜在的な市場規模は大きい。同社は従来も「トレアキシン(R)」を韓国、台湾、シンガポール向けにパートナーを通じて販売してきたが、規模は小さく業績に与える影響も軽微だった。「BCV」の海外での開発に成功すれば、海外売上規模も大きくなりグローバル・スペシャリティファーマとして成長することも可能となる。 また、製造権も含めたライセンス契約としたのは、2019年に発生した「トレアキシン(R)」での品質不良問題が影響している。製造も含めて自社でコントロールし、事業リスクを極力抑える体制を構築していくことが、患者も含めたすべてのステークホルダーのためとなり、かつ成長を目指していくためには重要であるとの認識だ。製造委託先については既に決定しており、治験薬の製造準備も進めている。なお、「BCV」のライセンス契約では、開発元のキメリックスに対して契約一時金5百万米ドル(約540百万円)を2019年12月期第3四半期に支払っており、将来的なマイルストーンとして最大180百万米ドル(約194億円)、製品売上高に応じて2ケタ台のロイヤリティを支払う契約となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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がん・血液領域やウイルス感染症領域の希少疾患薬を開発。他社から開発候補品を導入して製品化を狙う。24.12期は薬価改定の影響と抗がん剤の後発薬浸透を想定。アデノウイルス感染症向け注射剤候補は開発本格化へ。 記:2024/03/12