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後場に注目すべき3つのポイント~それでも「3万円が遠い」理由

2021/11/16 12:23 FISCO
*12:23JST 後場に注目すべき3つのポイント~それでも「3万円が遠い」理由 16日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は4日続伸、それでも「3万円が遠い」理由 ・ドル・円は小じっかり、円売り主導で ・値上がり寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位がソフトバンクG<9984> ■日経平均は4日続伸、それでも「3万円が遠い」理由 日経平均は4日続伸。64.46円高の29841.26円(出来高概算6億株)で前場の取引を終えている。 週明け12日の米株式市場でNYダウは小幅に反落し、12ドル安となった。11月のNY連銀製造業景気指数が市場予想以上に上昇したことが好感され、航空機のボーイングが5%を超える上昇となったこともNYダウを押し上げた。ただ、インフラ投資法案の成立が更なるインフレ上昇につながるとの見方から、国債利回りが長期の年限を中心に上昇し、NYダウは引けにかけて下落に転じた。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで27円安からスタート。朝方に一時29681.25円(95.55円安)まで下落すると、前日終値近辺での小動きとなったが、米中首脳協議の内容が伝わると緊張緩和に向けた期待から29960.93円(184.13円高)まで急伸する場面があった。もっとも買いは続かず、前引けにかけて伸び悩んだ。 個別では、レーザーテック<6920>やトヨタ自<7203>が2%超上昇し、ソフトバンクG<9984>も堅調。中期経営計画が評価された村田製<6981>は3%の上昇となっている。前日ストップ高のスノーピーク<7816>は商いを伴って大幅続伸。また、決算発表銘柄ではトレックスセミ<6616>やテスHD<5074>が急伸し、チェンジ<3962>が東証1部上昇率トップとなっている。一方、決算発表のリクルートHD<6098>が3%近い下落。決算そのものは評価の声が多かったものの、材料出尽くし感や米金利上昇を受けて売りが出たようだ。郵船<9101>や川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株も軟調ぶりが目立つ。また。ヤーマン<6630>は上期業績を上方修正したが市場の期待に届かなかったとみられ、東証1部下落率トップとなっている。 セクターでは、保険業、鉱業、輸送用機器などが上昇率上位。一方、海運業、サービス業、陸運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の56%、対して値下がり銘柄は38%となっている。 前日の米主要株価指数が揃って小幅反落し、本日の日経平均もこうした流れを引き継いてスタートしたが、米中首脳協議に関する報道を受けて3万円近辺まで急伸する場面があった。売買代金上位ではレーザーテックやトヨタ自が上場来高値(株式分割考慮)を更新。レーザーテックは米金利上昇をものともしない動きだ。一方、高配当利回りで従前賑わっていた海運株がさえない。上場来高値圏にあったリクルートHDは好決算ながら反動安となっている。商品価格と同様に市況関連セクターはまちまち。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円弱で、商いはさほど膨らんでいない。決算発表がおおむね一巡したことに加え、米10月小売売上高などを見極めたいという思惑もあるだろう。 新興市場ではマザーズ指数が+1.06%と3日続伸。メルカリ<4385>やフリー<4478>が下落しているとはいえ、その他の主力IT株はおおむね堅調だ。しかし、それ以上に小型成長株・材料株の賑わいが顕著となっている。売買代金トップのアスタリスク<6522>は大幅に4日続伸し、連日で上場来高値を更新。9月30日に新規上場したばかりだが、現値24460円は公開価格3300円の約7.4倍、初値5760円の約4.2倍だ。2022年8月期会社予想ベースのPER(株価収益率)は約160倍となっている。 決算発表が一巡し、12月のIPO(新規株式公開)ラッシュを控えたこの時期は新興株に物色の矛先が向きやすい。前日のマザーズ売買代金は2033億円で、3月2日以来の2000億円台乗せとなった。アスタリスクの上値追いなどを見ると、株式需給は良好で、個人投資家の売買回転もうまく利いているのだろう。もっとも、株価指標面で正当化しづらい水準まで急騰している銘柄も少なくなく、米インフレ・金利上昇の逆風を跳ね返し続けられるかも見極めたいところ。 さて、前日の米市場では期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)が2.76%(+0.03pt)へ一段と上昇。いったんは落ち着きつつあった10年物国債利回りも1.61%(+0.05pt)まで上昇した。製造業景況感が改善し、インフラ投資法案が成立したとはいえ、インフレへの懸念がくすぶるうちは素直に好感しづらいかもしれない。足元で複数の前地区連銀総裁から政策金利目標を最終的に3~4%に引き上げることになるとの発言が出てきている。 また、サマーズ元財務長官はインフレ抑制に失敗すればトランプ前大統領の返り咲きをもたらす可能性があるなどと述べた。12日に発表された11月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は予想に反して低下し、10年ぶりの低水準だった。製造業の回復や巨大ハイテク企業の成長で恩恵に浴する人々がいる一方、インフレにあえぐ人々が多いのも事実だろう。25日の感謝祭前後から始まる年末商戦の行方が気掛かりなほか、来年の中間選挙を前に経済的な分断が進む恐れもありそうだ。まずは今晩発表される10月小売売上高を見極めたい。 日本では、引き続き日経平均の3万円台回復に期待する声が根強くある一方、9日の当欄「3万円台回復に向けた買い手は誰?」で述べたように、3万円に向けて上値を買う投資家が少ないとの見方がじわりと広がってきた印象を受ける。米中の緊張緩和を期待材料に挙げる向きもあるが、そもそも足元で投資論点としてそれほど重要視されていただろうか。本日の値動きを見ても買いを入れているのはヘッドラインに反応して機械的に売買するタイプの投資家に限られる印象を受ける。 米金利上昇や円安進行を日本株の追い風と捉える向きもあるが、(1)自動車各社の値動きなどを見るとクオリティ重視が鮮明で、日本株全体に追い風となるバリュー(割安)株シフトは限られる。また(2)原材料高や円安進行による交易条件の悪化も重要な投資論点として浮上しており、素直に円安を好感しづらい。それに後日改めて取り上げたいと思うが、(3)7-9月期決算発表を通過しても日経平均の予想EPS(1株利益)増額は限定的だった。これらも踏まえ、日経平均の3万円台回復はまだまだ「近くて遠い」とみておきたい。 ■ドル・円は小じっかり、円売り主導で 16日午前の東京市場でドル・円は小じっかりとなり、114円前半で小幅に値を上げた。日経平均株価の堅調地合いを受け、株高を好感した円売りに擦れやすい。米中首脳会談で対立が回避されていることも支援材料。一方、米10年債利回りは失速し、ドル買いは後退した。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は114円11銭から114円31銭、ユーロ・円は129円68銭から130円07銭、ユーロ・ドルは1.1360ドルから1.1379ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・FRONTEO<2158>、シーズメン<3083>など、9銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値上がり寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位がソフトバンクG<9984> ■経済指標・要人発言 【経済指標】 ・米・11月NY連銀製造業景気指数:30.9(予想:20.1、10月:19.8) 【要人発言】 ・豪準備銀行11月理事会議事要旨 「インフレ目標を達成するまで金利を引き上げない」 「高度に支援的な金融環境を維持することにコミットする」 <国内> ・13:30 9月第3次産業活動指数(前月比予想:+0.8%、8月:-1.7%) <海外> ・16:00 英・7-9月ILO失業率(予想:4.4%、6-8月:4.5%) 《CS》
関連銘柄 19件
2158 東証グロース
600
11/22 15:30
-8(%)
時価総額 23,614百万円
eディスカバリサービスなどのリーガルテックAI事業が主力。不正検知システム「KIBIT Eye」などを手掛けるAIソリューション事業も展開。塩野義製薬と業務提携。リーガルテックAI事業は受注数が着実増。 記:2024/10/13
3083 東証スタンダード
796
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 3,307百万円
カジュアルファッションの「METHOD」、和柄専門の「流儀圧搾」の運営等を行う。エスニックファッション・雑貨の「チチカカ」を傘下に収める。集客イベント等で客数増図る。事業ポートフォリオの多様化進める。 記:2024/10/24
1,326
11/22 15:30
-38(%)
時価総額 97,928百万円
企業や自治体のDX化支援ビジネスなどを手掛ける。IT人材の育成、ふるさとチョイスの運営等も行う。イー・ガーディアンなどを傘下に収める。LoGoチャット、LoGoフォームは有償自治体数が順調に増加。 記:2024/10/24
4385 東証プライム
2,097.5
11/22 15:30
+29.5(%)
時価総額 344,051百万円
国内で断トツのフリマアプリ「メルカリ」を運営。スマホ決済「メルペイ」や米国開拓に注力。連結子会社に鹿島アントラーズ。メルカードの発行枚数は300万枚を突破。定額払い、メルカードが成長。米国事業も赤字縮小へ。 記:2024/06/09
4478 東証グロース
2,589
11/22 15:30
-92(%)
時価総額 151,741百万円
中小企業向けに統合型クラウド会計ソフト、人事労務ソフトの提供等を行う。クラウド会計ソフトで国内トップシェア。有料課金ユーザー企業数は53万件超。サブスク売上比率が高い。金融サービスの拡大等を図る。 記:2024/10/24
5074 東証プライム
278
11/22 15:30
-5(%)
時価総額 19,639百万円
エネルギープラント等の設計・調達・施工を行うエンジニアリング事業、再生可能エネルギー発電所の運営等を行うエネルギーサプライ事業を展開。蓄電システム関連事業などが注力領域。27.6期営業利益64億円目標。 記:2024/08/19
9,824
11/22 15:30
+288(%)
時価総額 16,208,048百万円
米国発の求人情報サイト「Indeed」等のHRテクノロジー事業、リクナビNEXTやSUUMO等のマッチング&ソリューション事業、人材派遣事業を展開。人材派遣事業は需要増により、日本の稼働人数が順調。 記:2024/06/28
6522 東証グロース
472
11/22 15:30
+7(%)
時価総額 3,357百万円
飲料向けバーコードリーダーと自販機向け赤外線通信が主力。POS等のシステムインテグレーションも。「AsReader」ブランド。米国や中国など海外展開も。AsReader事業は堅調。スマホ搭載型発売へ。 記:2024/10/31
1,317
11/22 15:30
+35(%)
時価総額 15,217百万円
超小型電源IC特化のアナログIC専業メーカー。DC/DCコンバータや電圧レギュレータ、電圧検出器、負荷スイッチ等を手掛ける。海外ではベトナムに生産拠点。車載機器・産業機器向け製品の企画、開発等に注力。 記:2024/08/10
6630 東証プライム
779
11/22 15:30
+1(%)
時価総額 45,454百万円
美容健康機器の製造・販売、化粧品や生活雑貨の販売等を手掛ける。美顔器で国内トップシェア。ヤーマン、ミーゼなどのブランドを展開。中計では28.4期売上700億円目標。オリジナル機能性化粧品の拡充を図る。 記:2024/10/25
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
6981 東証プライム
2,562
11/22 15:30
-8(%)
時価総額 5,099,951百万円
大手電子部品メーカー。コンデンサやインダクタ、EMI除去フィルタ等を手掛ける。チップ積層セラミックコンデンサ等で世界トップシェア。海外売上高比率が高い。コンデンサはモビリティ向けなどで販売増を見込む。 記:2024/06/04
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
7816 東証プライム
1,246
7/8 15:00
±0(%)
時価総額 47,522百万円
アウトドア用品メーカー。オートキャンプ製品を中心に、高級アウトドア製品を製造、販売。全国で専門店を展開。販管費は増加。23.12期通期は業績苦戦。24.12期は大幅増益計画。MBO実施で非公開化図る。 記:2024/02/23
8035 東証プライム
22,250
11/22 15:30
+470(%)
時価総額 10,493,834百万円
世界的な半導体製造装置メーカー。TBSの出資で1963年に設立。塗布現像、ガスケミカルエッチング、拡散炉などで世界トップシェア。配当性向50%目処。研究開発投資を積極化。固定費の最適化などにも取り組む。 記:2024/07/07
9101 東証プライム
4,975
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 2,293,475百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
9104 東証プライム
5,430
11/22 15:30
-9(%)
時価総額 1,968,668百万円
海運国内2位。1884年創業。三井グループ。ドライバルク事業、エネルギー事業、製品輸送事業が柱。LNG船の所有・管理・運航で世界シェアトップクラス。配当性向30%目安。非海運事業のアセット積み増し図る。 記:2024/07/29
9107 東証プライム
2,155
11/22 15:30
-34(%)
時価総額 1,454,996百万円
海運国内3位。1919年設立。自動車船事業などの製品物流部門が主力。ドライバルク事業等も。持分法適用関連会社にコンテナ船事業を行うONE社。LNG船等は順調推移見込む。27.3期経常利益1600億円目標。 記:2024/06/17
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17