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コロナ悲観論の信ぴょう性【フィスコ・コラム】
2020/4/19 9:00
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*09:00JST コロナ悲観論の信ぴょう性【フィスコ・コラム】 新型コロナウイルスで大恐慌が直撃——といった不安を煽る記事が氾濫し始めました。未曾有(みぞう)の危機で、世界的に経済が大きく落ち込むのは想像できます。が、経済には人々の心理も作用するため、無責任な悲観論が回復を妨げる可能性もあります。 国際通貨基金(IMF)が4月14日に発表した世界経済見通しによると、2020年の成長率は1月時点の+3%台から-3.0%へと大幅に下方修正されました。リーマンショック直後の09年もマイナス成長に陥りましたが、それをさらに大きく下回り、1930年前後の大恐慌当時に迫る収縮を予測しています。IMFは影響力の大きさを考慮して控えめな内容にとどめており、さらに下方修正されるとの見方もあります。 確かに、非常事態宣言などで各国の経済が止まっているのですから、激しい落ち込みは避けられないでしょう。アメリカでは4週間で2000万人以上が職を失うといった驚愕のデータに言葉を失います。株式市場でもNYダウが3000ドル近くも下げた日があり、投資家心理は大きく圧迫されました。一時期に比べ株価は落ち着きを取り戻したように見えるものの、戦々恐々の毎日が続いています。 そうした状況下では「最悪シナリオ」といった見解に目を奪われがちです。もちろん最悪の事態を想定しておくことは、実際にそうなる前に対応できる手段を考えるなど、危機管理の点で重要かもしれません。しかし、日々感染被害が拡大している現状では、最悪シナリオを描こうにもダメージを把握するだけの情報が得られないため、今のところ「シナリオ」は憶測でしかないと言えます。 2016年の大統領選直後、トランプ政策について金融機関は「当局者にタカ派を起用し政策金利を高めに誘導する」(英系)、「減税は実現困難」(欧州系)と予想していました。このようにその時の情勢を踏まえ専門的な立場から分析したはずでも、外れることは多々あります。まして、現在進行中のコロナ禍では、まずアメリカが下げ止まったのを見極めないと、適格なシナリオを描くのは難しいでしょう。 メディア業界も競争の激化で、何かが起これば他社に先んじて、しかもセンセーショナルに報じなければなりません。悪気はなくても、世の中の不安を煽る内容になってしまうのは理解できます。しかし、「国富論」でも指摘されるように、経済と心理は切り離して考えることはできません。根拠もなくネガティブな情報ばかりを植え付けられたら、困難に立ち向かおうとする気力さえ失ってしまいます。 さらに大きな視点でみると、世界的にグローバル化が進む一方、アメリカのトランプ政権発足やブレグジット(英国の欧州連合離脱)のように反グローバルの動きも一部に芽生えていました。コロナショックでは、各国がそれぞれ自力で再建していく必要に迫られるでしょう。「災い転じて・・・」ではありませんが、前向きなマインドが経済の原動力になると個人的には思います。 ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません (吉池 威) 《YN》
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