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大幸薬品 Research Memo(3):医薬品事業は2工場生産体制へ方針変更。「クレベリン」は受験生をターゲット

2024/9/13 11:03 FISCO
*11:03JST 大幸薬品 Research Memo(3):医薬品事業は2工場生産体制へ方針変更。「クレベリン」は受験生をターゲット ■大幸薬品<4574>のトピックス 1. 医薬品事業:供給力増強、値上げが順調に進捗 医薬品事業の外部環境は良好である。外出機会の増加やインバウンド需要が追い風となり、国内止瀉薬市場はコロナ禍前の水準を上回って推移している。同社の安定供給がシェア拡大のカギとなっていたが、これまで準備を進めてきた吹田工場・小国工場におけるシフト生産体制の強化や、京都工場における「セイロガン糖衣A」の包装ライン立ち上げが2024年12月期の上期に完了した。これにより供給不足のため出荷制限を余儀なくされていた主力の「正露丸100粒」「セイロガン糖衣A36錠」の出荷が回復した。2024年12月期下期以降に「セイロガン糖衣A」の84錠や携帯用24錠も出荷する見通しで、供給はさらに改善する見通しである。 2024年5月には、「正露丸」「セイロガン糖衣A」の出荷価格改定を実施した。エネルギー価格・原材料価格・物流費・為替影響(円安)などの観点から安定した医薬品品質システムを構築するため、約20年振りの値上げとなる。消費者や流通企業を含めて市場の混乱は見られず、順調に受け入れられたもようで、中長期的にサステナブルな利益の確保に向けて目処が立った。 2023年12月期にパッケージリニューアル等のマーケティング施策が奏功し業績を伸ばした「正露丸クイックC」は、2024年12月期においても好調を維持している。また、2024年夏におこなった「学生生活」「訪日観光客」といった様々な場面に合わせた動画をYouTubeやInstagramなどのSNSで展開した施策について、同社は手ごたえを得たようだ。 2. 医薬品事業:生産体制の再編を決定 同社は、医薬品事業の生産体制について、段階的に既存の吹田工場から京都工場への集約を予定していたが、中期的な需要見通しを踏まえ、BCP(事業継続性)の観点や海外薬事への対応方針(ライセンス維持など)、生産の拡張性などを総合的に勘案した結果、吹田工場における老朽化対策の投資を行ったうえで、一定の生産を今後も継続し、2工場体制とする方針を決定した。この決定に基づき、京都工場における生産設備の一部を吹田工場に移設し、一部を除却するため、2024年12月期第3四半期以降に230百万円程度を減損損失として特別損失に計上するとしている。 3. 感染管理事業:受験生の家族向けにデジタル媒体を活用したマーケティングを準備 コロナ禍以降、除菌市場の売上予測が難しい状況が続いていることを踏まえ、2024年12月期はコストコントロールを強化し、売上規模に応じたマーケティング費用の投下を行う方針である。そして「クレベリン」の信頼回復に向けてエビデンス強化に関わるR&D(JSA規格の制定、エビデンス取得など)を優先して取り組む。「クレベリン」の主力アイテムである置き型の店頭販売は2024年1月~6月累計で前年同期比102%となり、底打ちの兆しが見られた。需要期である冬季に向け、コロナ禍を経て除菌意識が大幅に上がった受験生の家族にフォーカスしてマーケティングを準備している。受験シーズンの動画配信に加え、各種デジタル媒体での紹介を通じた信頼促進やEC強化策などでターゲットに合わせた施策を行う予定である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《HN》
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正露丸、セイロガン糖衣Aなど一般用医薬品の製造・販売を行う医薬品事業が主力。「クレベリン」シリーズ等の感染管理事業も展開。1946年設立。医薬品事業は京都工場の医薬品ライン立ち上げなど増産施策に取り組む。 記:2024/09/01