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富士ソフト Research Memo(8):デジタル技術でIT、OT両面からDXをリード、顧客の価値向上に貢献(1)

2023/3/24 15:48 FISCO
*15:48JST 富士ソフト Research Memo(8):デジタル技術でIT、OT両面からDXをリード、顧客の価値向上に貢献(1) ■今後の見通し 1. 2023年12月期の連結業績予想 富士ソフト<9749>による2023年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比7.6%増の300,000百万円、営業利益が同9.5%増の20,000百万円、経常利益が同5.7%増の20,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.1%増の12,300百万円と、2013年に12月期決算へ移行してから実質的に10期連続での増収及び営業増益を見込んでいる。 配当予想は、2022年12月期実績の年間127円/株(第2四半期末に54円/株、期末に73円/株)から年間137円(第2四半期末に68円/株、期末に69円/株)へと大幅に引き上げられ、9年連続増配となる見通しである。 2023年度は良好なビジネス環境が予想されている。同社は需要増加を背景に、中期的な経営計画に基づき、企業価値向上に寄与する取り組みを行うことで、2024年度までの3ヶ年目標値を1年早く前倒すとしている。配当については、一定の内部留保を確保しつつ、「安定的な利益還元」を基本方針とし、事業の成長性、安定性、資本効率などの状況を総合的に勘案して、連結配当性向を30%以上に設定としている。また、2023年度については、連結配当性向を35%に設定し、1株当たり137円を予定している。 2. 中期経営計画を1年前倒して、2023年12月期に売上高3,000億円・営業利益200億円の突破を狙う 2022年2月、同社は「経営方針」と「各種戦略」「財務方針」「数値目標」を柱とする新たな中期経営計画を公表した。そこで掲げられた「経営方針」と「各種戦略」は連綿と続くブレない内容となっている。他方、「財務方針」と「数値目標」(2024年12月期に売上高3,000億円以上、営業利益200億円以上、ROIC8.0%以上、ROE9.0%以上、EBITDAマージン9.0%以上)については、過去の中期経営計画に比べ内容的にも水準的にも一歩踏み込んだものとなっていた。この「数値目標」は、さらにブラッシュアップされ、2023年12月期の達成を目指すことが発表された。 同社は、2018年から取り組んでいるAIS-CRM分野を成長させながら、新しい技術分野である「DX」「SD」「(5)G2」への取り組みも開始した。ITコンサルティングやサービスデザインといった上流分野の強化も行い、さらに、5Gやメタバースといった新たな分野の技術研究も進めている。 「DX」においては、マルチクラウド化が普及し、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現することが可能となってきている。そのため、クラウドサービスを中心に安定した事業成長が続いている。また、ビジネス基盤を強化するため、同社自身の「DX」にも注力し、業務改革をベースとした社内変革、事業競争力強化のための適用等を推進する。 5G領域におけるインフラの構築では、顧客独自の要望をサービスとして提供することができるという強みを持っている。ローカル5Gの技術研究を行うために、ローカル5G無線局免許を取得し、「ローカル5Gラボ」を開設した。このラボでは、5G技術を活用した新たなサービスや製品の開発に取り組むことで、同社の事業展開を加速させることを目指す。 これらの点を踏まえると、中期経営計画では、さらなる企業価値向上に向けた取り組みが続いていることが窺える。変化の激しい時代に対応しながら、革新を続け、安定的で持続的な成長と付加価値向上に向けた取り組みは、今後も続いていく。これらの取り組みが実績を伴って実現されている点は、注目に値する。 3.「企業価値向上委員会」では企業統治検証と経営財務戦略で検討を実施 同社は新中期経営計画を2022年2月に公表して以降、多くの投資家と建設的な対話を行ってきた。そして2022年8月、そこで得られた多角的な見識を活用しステークホルダーに対するさらなる価値向上を推進するために「企業価値向上委員会」を新たに設置した。 客観的視点を確保するため、「企業価値向上委員会」は取締役会出席者に加え外部アドバイザリーにより構成されており、同委員会の下には、1)企業統治検証WG、2)株主投資家対応WG、3)事業検証WG、4)企業グループ検証WG、5)不動産検証WG、という5つの課題別にワーキンググループ(WG)が設置されている。 1)と2)のWGはコーボレートガバナンスの高度化に関わる課題を担当するもので、その他3つのWGは経営財務戦略(事業戦略、長期的ビジョン、資本配分戦略、子会社上場や不動産所持の意義等)に関わる課題を担当する。そして、各WGは担当課題について調査・検証を実施し、同委員会はWGがまとめ上げた素案を審議することになる。2022年度に企業統治検証WGと、経営財務戦略に関する事業検証WGと不動産検証WGで行われた活動が報告された。 企業統治検証WGは、ガバナンス体制の検証を行い、客観性や実効性を高めるために、経営委員会を3つの委員会に機能分化することを決定した。具体的には、「指名委員会」「報酬委員会」「倫理委員会」という3つの委員会に分化し、より透明性を確保する。また、新たにガバナンス委員会を設置し、ガバナンス課題についてより深く掘り下げ、継続的な議論を行っていく予定である。 経営財務戦略に関する課題は、企業価値の定義を共有し、将来像を明確に示す必要があると認識された。そして、企業価値の向上に欠かせないキードライバーとして、「経済的価値」と「社会的価値」の2つを定義した。「経済的価値」は各種定量指標(売上高成長率・ROE等)で価値を測る。社会・ステークスホルダーに対する貢献を意味する「社会的価値」は、目標や改善策について検討を進めていく。 事業検証WGの報告では、将来のビジョンを「IT×OT分野のシステム/ソフト&サービスを提供するリーディングカンパニー」と定義し、産業と社会の発展に貢献することを目標とした。また、コア事業である業務系SI、組込系/制御系ソフトウェア、プロダクトサービスの成長と収益力向上に取り組むとともに、コア事業を融合させたより付加価値の高い新たなビジネス領域を開拓するために、具体的な戦略検討を開始することが決定された。 不動産検証WGでは、テナント中心オフィスの定量評価の結果、不動産事業としては縮小を目指すことが決定された。これに伴い、事業方針と従業員の働き方、汐留オフィスへの拠点集約によるオフィス効率化を踏まえ、一部首都圏オフィスを対象に、流動化スキームや価格検証等について、専門性を有する外部アドバイザーの新たな選任も含めて具体的に進めていくことが決定された。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 石灰達夫) 《NS》
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独立系の大手ITソリューションベンダー。業務系ソフトウェア開発等のシステム構築、プロダクト・サービス等を手掛ける。オフィスビルの賃貸等も行う。米投資ファンドがTOB実施、成立なら同社株は上場廃止へ。 記:2024/10/06