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為替コラム:ロンドン市長「EU離脱」の狙いとは

2016/2/27 15:40 FISCO
*15:40JST 為替コラム:ロンドン市長「EU離脱」の狙いとは 英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票の実施をキャメロン首相が発表するや否やいなや、ジョンソン・ロンドン市長は「離脱支持」を表明し、市場の新たな混乱要因となっています。2月20日の発表以来すでに多くのメディアが報じているように、離脱は英国、EU双方にとって経済的なデメリットが大きいことは明らかです。それでも英国の有権者はEU離脱の道を選択するのでしょうか。 英国の政治家には実に政治巧者が多いと感じることがあります。ジョンソン市長はトップクラスでしょう。国民投票の決定後、時間を置かず即座に「離脱支持」を表明して判断の速さを印象づけました。同時に、英国人のDNAにある主権最優先の国民性に火をつけて勢力を結集し、自身の政治的影響力の広がりを狙っているとみられます。 政治家としてのジョンソン氏は2001年6月の総選挙で初当選し、2005年5月に再選を果たしました。その後、2008年にはロンドン市長選で3選を狙っていたリビングストン氏(労働党)を破って初当選し、下院議員をいったん辞職。任期4年のロンドン市長として現在2期目ですが、現職のまま昨年5月の総選挙に出馬し、当選しました。 ジョンソン氏は今年5月5日に実施が予定される次期市長選には出馬せず、市長の任期を終えた後は下院議員としての職務に専念する予定です。キャメロン首相は昨年5月の総選挙で保守党の支持を高めるために、人気のあるジョンソン氏の下院復帰を支援した経緯があります。これが仇になったかもしれません。 6月23日の国民投票までの約4カ月の間に、英国の有権者はEU離脱が国益を損なうと理解するはずです。ただ、EU残留という結果になっても、深い傷跡を残すことになるでしょう。国論を二分するのはもちろんですが、保守党を割ることにもなるので、キャメロン首相の党内での求心力低下は避けられません。そうなれば支持率の低下、政権の弱体化につながります。2020年に予定される次期総選挙では、保守党は別の人物を党首に据えて戦うべきとの声が高まる展開が予想されます。そのタイミングを狙っているのがジョンソン氏です。 かつてのサッチャーからメージャー、ブレアからブラウンのように、向こう3年ぐらいの間に党内で禅譲が行われる可能性が高いと思われます。その際、注目度の高いジョンソン氏は人気だけでなくロンドン市長としての実績を買われ、白羽の矢が立てられるかもしれません。 英国のEU離脱懸念でポンドとユーロへの関心が高まり、両通貨は売りが続いています。ただ、ポンドは相関性の高い原油価格が春先以降に上昇に転じれば下げ止まることが予想され、ユーロも米追加利上げ観測の後退からドルとの対比で消極的な買いが入るでしょう。どちらの通貨も、今後も際限なく下げ続けるとは想定できません。