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為替コラム:北朝鮮ミサイル発射と通貨の動き

2016/2/6 17:04 FISCO
*17:04JST 為替コラム:北朝鮮ミサイル発射と通貨の動き また地政学リスクが浮上しています。北朝鮮は1月6日の「水爆」実験に続き、「地球観測衛星」を今月8-25日の間に打ち上げると国際機関に通告してきました。これまでの経緯から今回は長距離弾道ミサイル発射の可能性があり、着弾の状況次第では金融市場に大きな影響がありそうです。通貨はどのような値動きを見せるでしょうか。 北朝鮮は1993年以降、複数回にわたり異なるタイプのミサイル実験を行ってきました。そのほとんどは日本海に着弾しており、日本をターゲットにしているのは間違いありません。1998年にはミサイルが日本の国土上空を通過し、太平洋まで飛来したこともあります。長距離弾道ミサイルが発射されれば、東シナ海に着弾した2012年12月以来、3年2カ月ぶりになります。 国内メディアによると、日本の領域内に落下する場合に備え、北朝鮮のミサイルが大気圏外を飛来した際にはイージス艦に搭載した海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で、また大気圏内に突入した段階では首都圏や沖縄本島に配備された地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)で撃ち落とすことになっています。着弾する場所や状況によって事態は急変しかねず、金融市場も注意が必要です。 これまでのように北朝鮮のミサイルが日本の海域に着弾し、被害がなければ、日本、韓国、中国、台湾の各市場は限定的な株安・通貨安にとどまるでしょう。問題は日本がミサイル迎撃に成功せず、国土内に着弾した場合です。一気に戦時モードとなって日本の株、国債、円が売られる「トリプル安」は避けられないでしょう。 日本のような経済大国が直接被害を受けたとなれば、周辺国、特に経済情勢の悪化が懸念される韓国にも甚大な影響が及ぶと予想されます。韓国銀行(中央銀行)が1月26日に発表した国内総生産(GDP)によると、2015年の成長率は+2.6%と、2012年以来の低水準を記録しています。韓国ウォンは足元で1ドル=1200ウォン台と5年半ぶりの安値圏で推移しており、今後急激なウォン安に振れれば1998年の通貨危機が想起されるでしょう。それが日本に跳ね返って円をさらに押し下げ、東アジア全体が通貨危機に陥るシナリオも想定する必要があるでしょう。 これまで地政学リスクが浮上すると、「有事のドル買い」や「リスク回避の円買い」などが常識的な選択でした。ただ、今回は「中国ショック」の際にもみられたように、ユーロやスイスフランあたりが物色対象になるかもしれません。昨年11月に国際通貨基金(IMF)が特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用した人民元は、中国の北朝鮮に対する強い影響力からも、実は売りではなく買いに振れる可能性もあるでしょう。